図は11時ごろの局面。先手は金銀４枚で玉を固めました。銀冠穴熊への移行もあるかもしれません。守備力では先手が上でしょう。後手は穴熊と石田流を組み合わせました。攻撃力は後手に分があります。こうなると注目すべきは飛車側（盤の右半分）の攻防です。後手は攻めでリードを奪いたいところ。先手は飛車側で互角のわかれに持ち込めば玉形の差でよくなります。

（牛蒡）

図の局面で12時になり、昼食休憩に入りました。消費時間は、☗上田、☖甲斐ともに59分。昼食注文は上田女流四段が「なべ焼きうどん」（ほそ島や）、甲斐女流五段はなし。対局は12時40分から再開されます。


（12時５分ごろの対局室。甲斐女流五段が考えていた）

（牛蒡）

対局が再開しました。甲斐女流五段はすぐに△４五歩を着手。以下▲８六角△５二銀まで進みました。先手は６筋の歩交換に成功。後手はそれを逆用し、６三から銀を活用していくのかもしれません。


（上田女流四段）

（甲斐女流五段）

（△４五歩を着手）

（▲８六角△５二銀まで進んだ）




（牛蒡）

１図から▲３六歩と先手が仕掛けました。４枚穴熊の堅さを生かし、▲６四飛や▲６二飛成の猛攻も考えられましたが、上田女流四段は筋よく歩を使っていました。

棋譜コメントでは、▲３六歩に☖同歩☗５四歩☖同飛☗３六飛☖３二歩☗３四歩☖２五桂☗３三歩成☖同歩☗同飛成☖７三角☗２二竜☖６三銀☗１一竜☖１九角成☗５七香☖６六歩☗６八金引☖５五香☗５六歩☖同香☗同香☖同飛☗５七香☖２六飛☗５三香成☖７三馬（参考図）という変化を紹介しています。これもあったかもしれません。


実戦は１図から▲３六歩△８四角▲５六飛△４八角成▲５四歩△同歩▲４二角成（２図）と進みました。


互いに馬を作りましたが、２図は５二の銀取りになっています。△６三銀は▲６四歩、△６一銀は▲５三歩があるため、△６二金寄と受けることになります。まだ、どちら一方が具体的な戦果を挙げたわけではありませんが、先手が互角以上のわかれに持ち込んだのではないでしょうか。


（上田女流四段は戦機を逃さず、機敏に動いた）

（牛蒡）

図は15時の局面。先手は銀得を果たしました。これは確実なリードです。しかし、後手にはと金があります。このと金を生かして飛車を取れば駒の損得は逆転します。飛車ではなく、先手陣の金を目標にするのも有力。相穴熊戦は金の価値が高いため、金を１枚でも取れれば大きな戦果になります。先手は駒得とはいえ、悠然としていられません。上田女流四段は図の局面で長考に入りました。うまく攻めないと後手に反撃の手番が回ります。


（甲斐女流五段は反撃の機会を待つ）

（牛蒡）