本局の観戦記を務める高野秀行五段。

高野五段による観戦記は「週刊将棋」紙の1月19日号に
掲載されます。こちらもどうぞお楽しみに。

（吟）

下が先手の上田。▲８九飛とぐるりと転回した局面。
ときおりモニターに矢内の頭が見える。ここから矢内は
△３三桂と跳ねた。高野五段は「△４六角とぶつけた
かったが、▲同角△同歩▲４五歩がイヤだったのかな」
と話した。

（吟）

手厚い居飛車が作戦勝ちではないかと控室。▲６六銀と上がって
銀を活用したいが、△４六角と出る手が生じる。以下▲５七銀△７
三角▲６六銀△４六角...ならば千日手だが、△４六角▲５七銀に
△２八角成▲同金に△７八金と打たれてしまう。これは後手が１枚
剥がされて損な展開となる。

（吟）

矢内が△５二飛と回った局面。「▲７四歩△８四角▲７三歩成△同
角▲７九飛と回るのが、パッと見える攻めです」と高野五段。

（吟）

上田が▲３五歩と攻めた局面。後手のイヤミな所を
突いていく。△同歩▲同角△４四銀▲５三歩△同金
▲６五桂は△３五銀で角を取り▲７三桂成には、かま
わず△２五歩と突く。これは攻めている場所が違うの
で後手が良い。３五に銀を置いたまま△２五歩が突け
れば相当な迫力となる。

（吟）