図は▲７四銀と７五の銀を出たところです。△７七歩が鋭い手で、▲同桂は△７六歩、▲７七同金は△８八歩があります。実戦は▲８八金△８六歩▲７七金と進んでいます。

△８六歩を手抜くとは気づきにくい受けで、伊藤女流名人らしい力強い受けです。現局面で△８七歩成なら▲８二歩△同飛▲８三歩と飛車先を止めます。▲７七金に代えて、▲８六同歩は△同飛▲８七歩△５六飛が嫌だったのでしょうか。

（東京・将棋会館前の鳩森八幡神社は、色づいたイチョウがはらはらと散っていく）

（紋蛇）

互いに強気の応酬から激しくなっています。山根女流二段は△５七銀と打ち込み、伊藤玉に迫りました。好機に△８七歩成▲８二歩△７七とを決め手にできれば、後手が一気に追い込めます。

（再開後の山根女流二段）

（紋蛇）

１図は△５七銀に▲７二金と攻め合ったところ。☖８四飛なら☗５七金☖同歩成☗３二銀☖５一玉に☗２一馬で先手勝勢です。後手玉に☗４三桂☖同金☗５二歩以下の詰めろがかかっており、先手玉は詰みません。
実戦は△４八銀成▲同金△１五角でした。

△１五角は攻防手で、金取りで４二に逃げ道を作っています。☗８一金☖４八角成まで進むと先手玉は受けなし、後手玉は▲３二銀や▲３一飛から王手は続くものの詰みません。つまり、２図で飛車を取る変化は後手勝ちなので、先手は金取りを受ける必要があります。形勢は難解です。
伊藤女流名人は２図で手を止めています。29分22秒考えたすえに、▲４九金と逃げました。残り時間は▲伊藤22分、△山根35分です。

（紋蛇）

図で山根女流二段は△８七歩成と攻め続けます。以下▲８一金△７七と▲３一飛△４二玉
▲３二飛成△５三玉▲７七馬の進行です。

と金を払いながら馬を自陣に引きつけ、先手玉は詰めろがかからなくなりました。実戦は△５七歩成でしたが、▲８六馬や▲３五竜で後手玉は一手一手の寄りになります。伊藤女流名人が勝勢になりました。

（紋蛇）

伊藤女流名人が山根玉の中段の粘りに手を焼いています。１図から▲５八歩△６七と▲５七金△同と▲同玉△４七玉で、後手が入玉しています。

２図から▲４八歩と打ちましたが、△同角成▲同金△同玉で後手玉はさらに前進しています。回りに守り駒はありませんが、先手は手駒が不足しており、竜も遊んでいるので後手玉を捕まえにくいです。形勢は逆転しています。

（紋蛇）