桂交換後、脇田女流初段は上図から△９五桂と異筋の桂を打ちました。△８七桂成の両取りを見せ、▲７九桂の受けには△８七桂成▲同桂に△８一飛で、次の△８六歩を見せられます。実戦は▲８八飛△７五歩▲同歩△同銀▲同銀△同飛▲７八飛に、△６六銀と進みました。

手順中の▲７八飛は、▲３三角成△同角に▲７五飛の素抜きを用意した受けの手筋ですが、△６六銀がそれを上回る強手です。▲３三角成を消しており、▲６六同歩は△８七桂成の両取りが決まります。
里見女流五冠は△６六銀を見て、手を止めました。
 

上図は、先手が桂を跳ねて角銀両取りをかけた局面です。里見女流五冠は角銀交換の駒損ですが、玉頭戦に打って出ました。金銀の厚みで勝負形に持ち込めるでしょうか。
 

辛抱強く粘る里見女流五冠に、脇田女流初段は厳しく迫ります。上図は△２五桂と跳ねた局面です。▲１六香は△１七歩や△１五香▲同香△１六桂があって、一気に先手玉の寄せが見える局面になります。勢いのいい指し回しが続く脇田女流初段は、このまま押しきれるでしょうか。
端攻めに対して里見女流五冠は、受けずに▲５四歩と取り込みました。
 

脇田女流初段が攻め込みます。上図の局面の考慮中に持ち時間を使いきるまで考え、△１八香成で△２八角までの詰めろをかけました。ここからは１手60秒未満での着手になります。

（武蔵）

△６八成桂は、△５八成桂▲同玉△６八金▲５七玉△５九飛成までの詰めろです。先手は受けが難しく、▲１二飛の王手成香取りも△２一玉で手が続きません。形勢は後手勝勢と見られています。

（武蔵）