図は11時頃の局面。熊倉女流初段は▲1五歩と1筋の位(くらい)をとった。将来の端攻めを見た大きな手だ。ただしその分中央で遅れをとることになり、バランスの取り方が問題になる。振り飛車の布陣で特徴的なのは、6六の銀。この銀は▲5五歩と突き、飛角両方と連携をとって後手陣に攻め入ることができる。攻め重視の配置なのだ。ただし、▲1五歩と突いた形では少し事情が異なる。というのも、やはり中央にかける手が遅れているため、▲5五歩から攻めた場合に損をする可能性があるからだ。したがって、▲1五歩と突いてある形では▲5七銀と引き、陣形を引き締めつつ角筋を通す指し方が一般的。
いっぽう後手の矢内女流四段は、△4二銀と引くチャンス。△4二銀~△3一銀右と固めた形は、松尾歩七段が公式戦で採用したことから「松尾流穴熊」と呼ばれる。一時期は「松尾流に組めれば勝率8割」と言われたほど、振り飛車に対して猛威を振るった。ここでは、その松尾流穴熊に組むチャンスが訪れているかもしれない。
ここ数手が本局の流れを決める岐路になりそうだ。
(今朝の鳩森神社。色づいた銀杏が地面を覆っている)
(文)
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