(第1局を制した西山女王)
【西山朋佳女王インタビュー】
――9筋から仕掛けられましたが、あのあたりはどのような印象でしたか?
西山 かなり早い段階だったので予想外ではあったのですが、▲9五同香(25手目)に△9三歩などいろいろな方針があり、どれがいいのか。そのあたりで形勢を損ねてしまったかなと思っていました。
――控室では差がついてしまったと見ていた場面がありましたが、△9五角(56手目)と打ったあたりの手応えはいかがでしたか?
西山 途中で結構、致命的な見落としがあって、かなり形勢に差がついてしまったと感じました。怪しい手が残っていたのが幸いで、実際の形勢よりは難しいのかなと思っていました。
――見落としたのは具体的にどの手ですか?
西山 昼食休憩前の▲9三歩(31手目)だったり、△8四歩(38手目)にすぐ▲同角と取られたり、あまり深掘りできていなかったのがひどかったと思います。
――終盤の反撃が奏功しましたが、どのあたりで勝ちを意識しましたか?
西山 △7八銀(72手目)と打って歩も利くので逆転していてもおかしくはないかなと思いました。
――防衛に向けて幸先のいいスタートになりました。第2局へ向けて意気込みをお願いします。
西山 内容としては反省が多いですが、すぐに第2局がありますので、しっかり立て直して挑みたいです。
(黒星スタートとなった福間女流五冠)
【福間香奈女流五冠インタビュー】
――本局は趣向から斬新な仕掛けでした。成功したように見えましたが、準備した仕掛けだったのでしょうか。
福間 いや、一手一手考えながらという感じでした。
――端攻め以降、指しやすくなったように見えましたが、手応えはいかがでしたか?
福間 ちょっと危険な順を選んでしまったかなと思います。
――優勢になったと思いますが、そのあとは混戦模様になりました。ご自身ではどのあたりで他にいい手があったと感じましたか。
福間 銀を見捨てたところ(60手目△3七歩成の局面)や、本譜だともう少しわかりやすく剥がしていく順のほうがよかったかなと思います。
――第2局に向けて抱負をお願いします。
福間 引き続き、頑張りたいと思います。
(終局直後の様子)
(琵琶)
△3七歩成に対して福間女流五冠は▲4六桂(1図)と打ちました。1三の角筋を止めながら飛車を取りにいったのです。1図以下△4七と▲3四桂で、後手玉は▲7二飛以下の詰めろになっています。西山女王はその筋を△7一香(2図)と打って受けたのですが、後手玉は簡単には捕まらないようです。後手は手番が回ると△5七角成が厳しいので、先手もゆっくりはしていられません。
屋敷九段は「西山さんがうまく粘っていますね。後手は△5七角成というわかりやすい手があるのに対して、先手はどう切り返したりしのいだりするか悩ましいです。評価値は先手がよくても、正確に指して優位を維持するのはなかなか難しいと思います」と話しています。先手がまだわずかに優勢ながらも、混戦模様になったといえそうです。
(控室の継ぎ盤で検討する立会人の屋敷九段)
(琵琶)