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先手が▲４五歩と歩を取り込んだ。この手が非常に厳しく、急所を突いた決め手と見られている。
△５三銀と引くのが自然だが、それには▲同銀成△同金▲４四銀と後手玉の守りを削いで行けば明快だ。
対する先手玉は、まだ美濃囲いが完全な状況で残っている。どうやら、形勢判断としては先手勝勢で固まりつつあるようだ。
△５六銀と出て飛車銀の両取りをかける手が見えるが、それには▲９三歩成と一直線の切り合いに来られてしまう。▲９三歩成以下、進行の一例は△９九角成▲９二と△６五銀▲６二角成△７九飛▲５一馬△７八香成▲６二飛。この▲６二飛の詰めろが厳しく、先手の攻めが早いようだ。【参考図A】
そこで、後手は△５二金右と角のラインから金を逃がして、耐えに出た。【図２】
しかし、先手も一気に畳みかける。
▲９三歩成△９一飛▲７三角成△９三飛▲８四馬△９一飛▲７五馬と進み、これで先手の桂・香得。
先手が、着実にリードを広げているようだ。
中盤戦、駒割りは互角だが、先手が▲７三歩成とと金を作って有利に事を運び始めているようだ。
後手はと金の代償をどこかに求めたいところだが、今すぐの厳しい攻めはない。
じわりじわりと優勢を拡大させていくという、いつもの甲斐女流二冠ペースにも見えるが、今井アマの反撃にも期待したい。
13時半頃、中継室を千葉幸生六段が訪れた。
本局の進行については、「午前に不思議な手順がありましたね。△４一金～△４二金上と。後手はどこかで△９五歩と端を詰めれたはずなのですが、緊張しちゃったのかな」と振り返っている。
確かに、△９五歩と端を詰めていれば本譜にあった▲９五歩からの仕掛けがない。指摘されてみると、これは大きそうな要素だ。
本局は、「週刊将棋」10月15日号にレポートが掲載されます。
詳しい内容については、こちらの中継と併せてお楽しみ下さい。
（写真は、「週刊将棋」10月８日号。羽生善治王座と挑戦者の豊島将之七段によって争われている第62期王座戦、第３局を豊島七段が制したニュースが一面を飾っている）