- Tweet
- mixiチェック
花束と「女流五冠 里見香奈」と記した色紙を手に撮影。
株式会社マイナビ 土井祥康 執行役員社長室長から花束が贈呈されました。
感想戦後に記者会見が行われました。
＜谷川浩司 日本将棋連盟会長＞
「報道関係の皆様、遅くまでお疲れ様でした。里見さんは特にこの１～２年、奨励会に入会したこともありまして、引き出しが増えたと感じております。持ち味でもある攻めと寄せの鋭さが元々あったわけですが、戦法の幅も広がりましたし、粘り強さや指し手の緩急のつけ方など、どんな局面になっても自分の力を出せる強さが備わってきたと思います。もちろん女流全冠制覇という目標もありますし、奨励会の方で勝ち進んで四段昇段という２つの大きな目標があると思いますけれども、報道関係の皆様方には里見さんを温かく見守っていただきたいと思っております」
＜里見香奈 新女王＞
※ 代表質問
―― 女流棋戦で五冠を達成、女流最高峰のタイトル「女王」を獲得したことで名実共に第一人者となられたと思いますが、率直な感想をお願いします。
「女王に挑戦してから地元の方々に限らず、多くの方々から応援の声をいただいておりました。女流五冠を達成できたことは私自身も嬉しいのですが、そういう方々の期待に応えられたことが本当に嬉しいです」
―― 男性棋士では羽生善治三冠がかつて七冠を達成されています。囲碁界では同世代の井山裕太さんが全冠制覇に向けて挑戦中ですが、里見さんの抱負をお聞かせください。
「期待していただくことは本当に嬉しいことですし、励みにもなるのですが、あまり目標を立ててしまうとよくないこともあるのかなと思いますので、今は少しずつ力をつけることを目標に頑張っていきたいと思います」
―― 多忙なスケジュールをどう乗り切っていくのか、ご自身の強さの秘訣もお聞かせ願えますか。
「すごく良い方向に行っていますけれど、好調かどうかは自分でよくわからないところもあります。こうやって多くの報道の方に注目していただいているので、これからも頑張らないといけないなという気持ちです。今は多忙なんですけれど、それなりに充実させたいなと自分では思っております」
―― 和服で対局されたご感想をお願いします。
「あまり慣れていないので不安もありました。実際に対局してみて普段と違うようなところで戸惑いもあったのですが、気持ちが引き締まるところもあり、凄くよい経験になったなと思います」
（若葉）
大盤解説会場を訪れた後、再び対局室に戻って感想戦が行われました。
感想戦では一局を振り返り、お互いの読み筋や感想を交換します。対局の中で勝負を分けた手は何だったのか、他にもっとよい手はなかったかを明らかにするのが主な目的です。
対局者は勝負の相手であると同時に、将棋の真理を追求するパートナーでもあります。
（感想戦の様子）
（里見新女王。「女王」は５つ目のタイトル。女流五冠は史上初の快挙である）
（上田前女王。防衛は叶わなかったが、女王在位中に大きく飛躍。いまや女流棋界を代表する棋士へと成長した。今後の活躍が期待される）
（若葉）
終局後、両対局者はファンの待つ大盤解説会場へと移動しました。
立会人の久保九段が主導する形で一局が振り返られ、それぞれが自身の読み筋や局面の感想を語りました。
（左から久保九段、上田前女王、里見新女王）
（解説会場では笑顔も見られた）
（ファンに挨拶をする上田前女王）
（今後の抱負を語る里見新女王）
（若葉）
＜里見新女王＞
―― 一局を振り返って感想をお願いします。序中盤はどのような印象でしょうか。
「序盤は指しやすいかと思ったのですが、途中から難しいかなと感じるようになりました。序盤の分かれはちょっとよかったかなと思います。
―― 具体的にはどの辺りでしょうか？
「▲６四歩（79手目）と打つことができてよくなかったかなと思いました」
―― 勝ちを意識したのはどの辺りでしょうか？
「本当に最後の、▲７二金（119手目）と打ったところです」
―― タイトル獲得となりました。感想をお願いします。
「同郷の人に限らずたくさんの人に応援していただいたので、その期待に応えられて嬉しいです」
―― 女流五冠の記録達成となりました。感想をお願いします
「すごく期待していただいていたので、そういう記録を作ることができて嬉しいです」
＜上田前女王＞
―― 一局を振り返って感想をお願いします。
「女流名人位戦（第39期五番勝負第５局）と同じ戦型だったんですが、そのときとは少し変えてみようと思って指していました。
対局中は、６五の位を取らせちゃいけなかったのかな、と途中で後悔しながら指していました。もう少し早く私の方から△６四歩と押さえないといけなかったかなと反省していました。位を取られてから、少しずつ模様が悪くなっていったように思います」
―― 負けを意識したのはどの辺りでしょうか？
「ずっと苦しかったので、具体的にどこというのはないです。どの変化も少しずつ足りない変化が多かったように思います。もっと序盤で何かしないといけなかったかのかもしれません。相手の駒が前にきはじめてからはかなり苦しいと思います」
―― いまの気持ちをお聞かせください
「結果は結果なのでしょうがないなと思います。私自身まだまだ足りないところがあると自分でもわかるくらいたくさんあるので、この２年間の経験を生かしてまた戻って来れるようにがんばります」
（若葉）
これで挑戦者・里見女流四冠の３勝０敗となり、タイトル奪取となりました。女流五冠は史上初となります。
（終局直後の様子。主催社によるインタビューが行われた）
（若葉）