前記事の▲２四歩に対し、里見女流五冠は△同角と取り、以下▲６五歩△４三銀▲５五銀と進みました。
先手の次の狙いは▲４六歩と言われており、本局を観戦している阪口悟五段は「（１）△３三桂にも▲４六歩でしょうね。桂跳ねに▲２五歩は△５七角成▲同銀に△４五桂の味がいいです」と話しています。ほかには▲５五銀に対し、（２）△３二金▲４六歩△３三角と収めて１歩得を主張する指し方もあるようです。

（中飛車を得意とする阪口悟五段。まだ難しい形勢だと話す）

（夏芽）

盤上は26手目△４四歩の局面で貞升女流初段が時間を使い、26分の考慮で▲２四歩と仕掛けました。貞升女流初段は、過去の対局では▲２四歩のところ、代えて▲５五歩と打っていました。長考の末に自身の前例から離れる決断の一手です。

（貞升女流初段は、本局に勝てば初のベスト４入りとなる）

（夏芽）

これまで両者は２度対戦し、いずれも里見女流五冠が勝っています。マイナビ女子オープンは第９期（2015年）の一斉予選で対戦があり、これが両者の初手合いでした。将棋は里見女流二冠（当時）のゴキゲン中飛車に対し、貞升女流初段は４七銀型急戦を用いて中央を押さえ込む展開に。

図は貞升女流初段が▲６三角と詰めろをかけた局面ですが、ここで里見女流二冠は△３四角▲８八玉△７七銀▲同玉△６七成桂▲８六玉△９五銀と、豊富な持ち駒を生かして即詰みに打ち取っています。

【2015年8月1日第９期マイナビ女子オープン予選　▲貞升－△里見香】
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/result/9/mynavi201508012501.html

（夏芽）

開始から30分が経過しました。戦型は里見女流五冠のゴキゲン中飛車に対し、貞升女流初段は右銀を足早に▲３七銀～▲４六銀と進める「超速」と呼ばれる作戦を選んでいます。局面は25手目▲５七同金まで進み、早くも中央で動きが起きています。

（全冠制覇を狙う里見女流五冠）

（夏芽）

定刻の10時になり、対局が始まりました。振り駒の結果、先手は貞升女流初段になりました。

◆貞升 南（さだます みなみ）女流初段◆
・女流棋士番号31
・1986年４月19日生まれ
・東京都府中市出身
・堀口弘治七段門下
・2003年、女流２級
・2013年、女流初段

◆里見 香奈（さとみ かな）女流五冠（女流王座・女流名人・女流王位・女流王将・倉敷藤花）◆
・女流棋士番号33
・1992年３月２日生まれ
・島根県出雲市出身
・森けい二九段門下
・2004年、女流２級
・2011年、女流五段
・タイトル戦登場は34回。獲得は女王１期、女流王座２期、女流名人８期（クイーン名人）、女流王位４期、女流王将６期（クイーン王将）、倉敷藤花８期（クイーン倉敷藤花）の計29期

（夏芽）