西山朋佳女王「向上心を持ち続けて」~7/9 第11期マイナビ女子オープン就位式謝辞|将棋情報局

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西山朋佳女王「向上心を持ち続けて」~7/9 第11期マイナビ女子オープン就位式謝辞

7月9日、第11期マイナビ女子オープン女王就位式が東京都千代田区「マイナビルーム」で行われた。西山朋佳女王には就位状が手渡され、多くの来場者が初戴冠を讃えた。本記事では西山新女王の謝辞を紹介する。

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皆様こんばんは。

ご紹介にあずかりました第11期女王に就位させていただきます西山朋佳です。

本日はご多忙の中にもかかわらずこのようにお集まりくださいまして誠にありがとうございます。

思い返すと、マイナビ女子オープンに初めて出場させていただいたのは第5期、高校1年生で奨励会4級の時でした。

当時の私は「勝てるんじゃないか」と根拠のない自信を持って挑んだのですが、結果は予選を通過できず早々に負けてしまい、気づけば大阪にとんぼ返りしていたことを昨日のことのように思い出します。

それからは毎年出場させていただいておりますが、私にとってこういった公の場で大勝負を経験させていただくということは、奨励会とはまた違った刺激や緊張感がありましたし、将棋を続ける上でひとつの大きなモチベーションにつながっておりました。毎年少し結果が伸びては、また負けてを繰り返すことで、本当に成長させていただいたなというのを感じます。

そういった紆余曲折を経て、このたびようやく初めて自力で挑戦権を手にしました。お相手の加藤さんは同年代で、かつ将棋界で唯一と言っていい近しい立場の存在。また加藤さんは永世女王の懸かったシリーズでした。これまでずっとその活躍を蚊帳の外で見ているような寂しい気持ちもありましたので、今回のシリーズは私が勝ちたいという気持ちと同じぐらい、加藤さんの永世女王を阻止したいという気持ちが強くありました。

そういった心境の中で迎えた第1局は、憧れの、かの有名な「陣屋」様での対局でした。かなり意気込んで挑んだのですが、結果は自分の力が出しきれなかったというよりは、加藤さんの勝負強さをまざまざと見せつけられました内容でした。あまりにも完敗だったので、その日は最初の意気込みとは一転、もうタイトルは取れないんじゃないかなとマイナス思考に陥るくらい落ち込みました。

第2局は山梨県甲府市の「常磐ホテル」様での対局でした。こちらでは これまで数々のタイトル戦が開催されておりますが、今回は女流棋戦も初めて開催していただけるということで大変楽しみに思っておりました。またホテルに着いて、館内のほうには尊敬する男性棋士の先生方と同じように今回のシリーズのポスターを飾っていただいて、大変身の引き締まる思いがしたことを覚えております。

第2局の内容は、第1局の完敗から開き直って自分のやりたいことを正々堂々選び、指して勝てた将棋でした。後日、いろいろな方に「よくあんな手(△4五同桂)が指せたね」とか「(西山さん)らしいね」と話題にしていただいて、それらを褒め言葉として受け取って、大変大きな自信になった一局でした。

第3局は福島県郡山市の「ホテル華の湯」様での対局でした。検分の際に対局室に入った途端、鮮やかな山々が一望ができ圧倒されました。百面指しぐらいできそうな広々としたお部屋を贅沢に使わせていただいての対局でした。

第3局は自分の中で一番印象に残っていて、対局中の考えていた大局観と感想戦で出た結論の形勢がかなり近かったということで、ずっと課題に感じていたので少しの成長を感じられた一局でした。この将棋に勝てたことで、全体としての流れが自分に向いているのを感じておりました。

第4局は将棋連盟での対局でした。自分の肩書が変わるかもしれない大一番ということで、ここまでとは段違いの緊張感の中で挑んだ一局でした。第4局は二転三転、どちらが勝ってもおかしくなかったといった内容で、良くも悪くも奨励会でよく見てきたような泥仕合だったかなというふうに思います。対局中はタイトル戦の魔物を垣間見たような、薄氷を踏むような気持ちで指していましたが、結果はなんとか幸いして、ずっとひとつの目標だったタイトル獲得を実現できて今は大変嬉しく、またホッとしております。

私がいまこの場に立てておりますのは、普段の勉強場を貸してくださる道場の席主様のご厚意や、研究会やVSでお世話になっている先生方、体調や精神面まで気遣って応援してくださる方々、そして一番近くで支えてくれる師匠や家族、友人、そして日頃より将棋界を支えてくださるスポンサー様のおかげだと思っております。それらがあって今の自分があるということは、今後の自分にとって大きな良いプレッシャーになるのではないかと思っておりますので、感謝を忘れず今後も邁進してゆきたいと思います。

最後になりましたが、奨励会員という立場の私としては、このような大舞台や、重みのある肩書を背負わせていただくことで見えてくる世界観や未来像があることと思っておりますので、今後も将棋には積極的な行動を心がけてゆきたいと思っております。

ですので、この度あずからせていただきました女王の肩書に恥じない技術をつけるべく、向上心を持ち続けて、来る防衛戦や目標である四段昇段に向けて今後も頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくおねがいします。

皆様、本当にありがとうございました。

 

中川信行株式会社マイナビ代表取締役社長から賞金目録とカップが、佐藤康光公益社団法人日本将棋連盟会長から就位状が手渡された

 

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