将棋への熱い想い実る! 渡部愛女流王位 3年前のインタビュー|将棋情報局

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将棋への熱い想い実る! 渡部愛女流王位 3年前のインタビュー

6月13日にタイトル戦初登場での初戴冠を果たした渡部愛女流王位が3年前、週刊将棋のミニインタビューコーナー『クローズアップ…あの人に聞いてみたい…』に登場していました。 当時女流初段だった渡部はどんな生活を送っていたのか。 そして女流棋士としての目標は? 今だから読み返したい内容です。

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週刊将棋2015年3月11日号『クローズアップ…あの人に聞いてみたい…』より

新人王戦出場 公式戦初勝利
渡部愛女流初段

 渡部愛女流初段にとって、2014年度は女流棋士として初めてフルに女流公式棋戦に参加した1年となった。各棋戦でコンスタントに勝ち星をあげ、30局近い対局数は女流の中でも上位だ。この1年を振り返ってみての感想、そして印象に残る対局は。

「色々な人と対局することができて、勉強になる1年でした。悔しかったのはマイナビ女子オープン準々決勝の上田初美女流三段との対局です。苦しい将棋から終盤チャンスが来ていたのに、必要以上に形勢を悲観してしまって……。勝負手気味に指した手が悪手で、敗着となってしまいました」

 若手では唯一日本女子プロ将棋協会(LPSA)の女流棋士として活動している。普段の仕事はどのようなものがあるのだろう。

「普段は月に1~2回、LPSA麹町将棋サロンで指導対局を担当しています。他にはイベントに出たり、小中学生の大会の審判をすることもあります。出張で地方に行くこともあって、楽しめています。3月21日(※注・2015年)には『府中けやきフェスティバル』が開催されますので、お時間のある方は足を運んで頂けると嬉しいです」

 1カ月の生活サイクルについて、将棋と仕事などのバランスはどうなっているのだろうか。

「今は研究会中心の生活で、だいたい月に10回から15回ほど行っています。LPSAの研究会が毎週あって、他に棋士や奨励会員、アマチュア強豪の方など、色々な人に教えていただいています。詰将棋や棋譜並べもやりますが、勉強に関しては、こうした実戦がメーンです。
 対局以外の仕事は対局がどれくらい入るかにもよりますが、合わせてだいたい10日くらいでしょうか。残りは家で勉強したり、休んだりといった感じです」

 故郷の北海道から上京して年月が流れた。東京での暮らしには慣れたのだろうか。

「高校を卒業してから上京したので、3月でちょうど3年ですね。いまだに電車の人の多さは慣れません。あと、北海道の冬はもちろん寒いのですが、東京も寒いです。北海道と違うのは、こちらは部屋の中も寒いことですね(笑)」

 2月には男性棋戦初参加となった第46期新人王戦で三枚堂達也四段を破る星を挙げ、話題を呼んだ。

「連絡をいただいたときは『まさか出られるとは』と、すごく嬉しかったです。勝敗はともかく思いっきりぶつかっていこうと思い、序盤で差がつかないように準備をして、力を出し切ることを考えていました。終わった後に色々な人からメッセージをいただきましたが、正直自分が一番驚いています」

 今後の目標についてはきっぱりと語ってくれた。

「まずはタイトル挑戦を目指して、頑張っていきます!」

(終)

「まずはタイトル挑戦を目指して、頑張っていきます!」

このインタビューより3年余が過ぎ、渡部は見事目標を達成、さらに挑戦するだけにとどまらず、一気にタイトル奪取という「大目標」まで達成しました。

18歳で北海道から単身で上京、そして月10~15回の研究会に参加のうえ、10日前後の稽古など将棋関連の仕事という、「将棋漬け」とも言える生活・・・

タイトル奪取の瞬間は、まさに将棋への熱い想いが結実したその時だったのではないでしょうか。

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