2018.06.05
直前展望! 羽生VS豊島 第89期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負
羽生善治棋聖に豊島将之八段が挑戦する第89期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負が6月6日に開幕します。本ページでは両者のこれまでの対戦成績などから、楽しみなシリーズのゆくえを占います。
絶対王者・羽生に悲願のタイトル初戴冠を目指す豊島が挑戦する図式となった今シリーズ。
両者はこれまで2回タイトル戦番勝負を戦っており、いずれも羽生の防衛という形で終わっています。
羽生―豊島の2度の番勝負は、いずれもドラマがあった。ファーストコンタクトは2014年9月に始まった第62期王座戦五番勝負。豊島はこのシリーズ連敗からの連勝で羽生を追い詰め、最終第5局もチャンスがあったが敗れてタイトル初戴冠ならず。終盤にはモニターに、羽生の勝ちを確信した指の震えではなく、動揺するようなそれが映し出されたという。羽生がシリーズ3―2で薄氷の防衛。写真は第1局開始の様子。
2度目の番勝負は2015年、第86期棋聖戦五番勝負。決着局となった第4局、羽生は中盤で豊島陣の金頭にたたき歩の手筋を放つが、金を逃げられてみると効果がなく、すぐに成り捨てる「反省手」を指さざるを得なくなった。豊島は成り捨てを緩手と見て羽生陣に切り込むも、終局後、普通に成り捨てのと金を払う△同金が最善だったと結論が下された。羽生がシリーズ3―1で防衛。写真は決着直後の様子。
これまでの両者の対戦成績は下図の通りです。
22局中9局が番勝負で、前述の通り2シリーズとも羽生が制していますが、全成績としては羽生の12―10と非常に均衡しており、特に直近の成績ではむしろ豊島が押しているという印象です。
6月4日には王位戦挑戦者決定戦という大一番で相まみえ、角換わりからのねじり合いを制した豊島が菅井竜也王位への挑戦権を獲得しています。
この将棋は棋聖戦番勝負と同じ持ち時間4時間で行われた、「前哨戦」とも取れる一局でしたから、これをものにしたという点も、豊島にとって有利な材料と言えるでしょう。
しかし、相手はタイトル戦登場134回のうち獲得99回、シリーズ制覇率実に0.739と、番勝負に特に強さを発揮する百戦錬磨の羽生。
昨年度は若手・中村太地、菅井の2人に初タイトルを許しはしましたが、そう何度も献上してたまるかと、ここ一番、強さを見せてくるに違いありません。
いずれにしましてもこのシリーズは、ワンサイドにはならないでしょう。大激戦の予感がします。
戦型は、両者の直近の対戦から、また両者の公式戦による戦型選択の傾向からも、横歩取り、角換わりが中心になると予想します。
ずっと見ていたいような充実の両者による五番勝負は、第5局まで指されれば7月17日まで。ファンとしては楽しみな1カ月になりそうです。
注目しましょう。
五番勝負の日程は下図の通りです。
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