杉本―藤井戦で現れた「千日手」って何でしょう?|将棋情報局

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杉本―藤井戦で現れた「千日手」って何でしょう?

「千日手」についてお勉強しましょう。

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皆様こんにちは。将棋情報局です。

杉本昌隆七段―藤井聡太六段戦は千日手指し直しの末、藤井六段が勝利を収めました!

決着局もさることながら、両者の意地がぶつかりあったかのような千日手! 見ていて興奮しましたし、2局観戦できて、少しおトクな気分です。

 

ところで、千日手って、いったい何なのでしょう。

将棋を普段指している方はご存じでしょう。でも観る将棋ファンの方にとっては「???」の方が多いかも知れません。

いや、もしかしたら指す将棋ファンの中にも「正確に説明しろと言われるとちょっと・・・」という方もいらっしゃるかと思います。

そこで、本ページで少しおさらいしましょう。

日本将棋連盟の対局規定にはこうあります。

千日手

同一局面が4回現れた時点で「千日手」となり、無勝負とする。尚、連続王手の千日手は反則である(第8条反則の第7参照)。なお、同一局面とは、「盤面・両者の持駒・手番」がすべて同一を意味する。

なるほど。同一局面が4回現れる将棋は、たとえ1000日指し続けたとしても堂々めぐりで勝負がつかないでしょう。疲れちゃうからもう1回最初からやったらいかがですか? ということですね。

ちょっと違うかもしれませんが、対局者にやさしいルールですね。

さて、上で紹介した対局規定ですが、昔はちょっとルールが違いました。

昔のルールは以下の通り。

「同一手順が3回現れたら千日手」

杉本七段―藤井六段戦で現れた手順なら、このルールでも千日手が適用されそうですが・・・わざわざルールを変えたのには理由がありました。

昭和58年名人挑戦者決定リーグ、▲米長邦雄王将―△谷川浩司八段(いずれも当時)戦で、次のような局面が現れたのです。

【図は△7八同銀不成まで】

この局面から、両者の指し手は以下の通り。

観る将棋ファンの方は、△同銀不成に注目していただくだけでも構いません。

▲8八金 △6七銀打▲8七銀 △7九金
▲7八銀 △同金  ▲同金  △同銀不成
▲8八金 △6七銀打▲8七銀 △7九金
▲7八金 △同金  ▲同銀  △同銀不成
▲8八金 △6七銀打▲8七銀 △7九金
▲7八銀 △同金  ▲同金  △同銀不成
▲8七銀 △6七銀打▲8八金 △7九金
▲7八銀 △同金  ▲同金  △同銀不成
▲8八金 △6七銀打▲8七銀 △7九金
▲7八金 △同金  ▲同銀  △同銀不成
▲8七銀 △6七銀打▲7八銀※△同銀不成
▲8七銀 △6七銀打▲8八金 △7九金
▲7八銀 △同金  ▲同金  △同銀不成
▲8八金 △6七銀打▲8七銀 △7九金
▲7八銀 △同金  ▲同金  △同銀不成
▲8七銀

この手順中、△同銀不成のところで何が起こっているかといいますと・・・

実は、最初にお見せした図と同じ局面になってしまっているのです。

指すこと60手以上、実に9回の同一局面が出現しているのに、同一手順3回は見当たりません。

この対局からほどなくして、「同一手順3回」というルールでは堂々めぐりになることがある、これはまずかろうということで、現行の「同一局面4回出現」というルールに改められたのでした。

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