2018.02.21
インタビュー 藤井聡太四段 「2018年は“ 飛翔”の年に」2/全3回
日本中を席巻した15歳の俊英がさらなる飛躍を誓う。
※2017年12月29日発売、将棋世界2018年2月号に掲載のインタビュー全文を3回に分けてお送りします。段位は掲載当時のものです。
第1回から続く
―― 藤井四段は、棋士としても発展途上ですが、思春期でもあります。一人の人間として日々成長しているわけですが、この1年で自分の中で、ここが変わったなと感じるところはありますか。
藤井「どうですかね……まあ。将棋に関して言えば、序中盤の形勢判断というのは改善されたところはあるかなとは思いますね。また、たくさんの報道陣の方に囲まれるということも、いままでなかったことなので、そういった経験も今後の糧になると思っています」
―― 藤井四段にとって、15歳というのはどういう年頃だと思いますか。
藤井「あははは。年齢のことはそこまで意識はしていないですけど、ただ、将棋の実力のピークは20代前半にくると思っていますので、それまでにしっかり強くなるようにとは思っています」
―― 藤井四段は、自分の棋士としての人生設計というか明確なビジョンがあるようですね。いまおっしゃった20代前半のピークまでの青写真はありますか。
藤井「うーん、そうですね。少なくとも10代のうちにはトップレベルの実力に達していないといけないと思っています」
―― 現時点では課題は山積みでしょうが、一つ一つ克服できている感触は?
藤井「ある程度は強くなっている部分はあるかなとは思っています。特に形勢判断が以前より明確にはなってきている実感はあります。トップ棋士の方と比較したらまだまだ差はあると思いますが、絶対的に見てまだまだものすごく強くなれる余地があると思っています」
―― 序盤、中盤、終盤で特に難しいと感じているところは?
藤井「序盤っていうのはやっぱり漠然としているので、難しいというよりも分からないですね。だから結局、自分の感覚で指していくしかないのですが、その感覚というのも正確にしなければいけないと思います。終盤については、例えばチェスは駒が減ってきますし、オセロは升目が埋まっていきますけど、将棋は全然分岐が減らないので複雑さを保ったまま終盤になるのが特徴です。完全に読みきるということはなかなか難しいと最近思っています。なので、どれも違った難しさがあります」
―― 自分の理想とする将棋というのは。
藤井「個人的には、勝ち負けという以前に、まずは最善手に少しでも近づきたいという気持ちが強いですね」
―― 将棋の真理を追究してみたいという気持ちもあるのですか。
藤井「いや、真理とまでは……。何しろ10の220乗ですからね(笑)。すごく難しい中で、少しでも近づけるようにとは思っています」
―― 新しい将棋を作ってみたいという思いはありますか。
藤井「そうですね……。将棋ソフトが教えてくれたことの一つとして、将棋はもっと自由で、いろいろな手があるっていうこと。その中で、自分で考えて新しい将棋を作っていきたいです」
―― 10月25 日に、高校進学を決めたことを発表されました。かなり長考されたようですが、悩んで悩み抜いての決断だったのでしょうか。
藤井「そうですね……。これからの3年間は、将棋にとってはもちろんですが、それ以外でも非常に重要な時期になるかなとは思っていて。高校進学は、将棋のうえでは時間的な制約っていうのがある程度は出てきますけど、その中でももっと強くなることは十分可能かなと思いました」
―― ご家族の方といろいろ議論されたのですか。
藤井「そんなことはありません。自分で決めたことです」
―― マスコミへのコメントで「すべてをプラスにする気持ちでこれからも進んでいきます」とおっしゃっていましたが、もう少し具体的に真意を教えてください。
藤井「将棋が強くなるというのはもちろんですが、それだけでなくてもっといろいろ視野を広げていきたいということです」
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第3回へ続く
※本記事はWEB掲載用に本誌記事から若干の変更を加えております
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