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神谷広志八段の面白すぎるコラム(2) 「ウサイン・ボルトとディープインパクト」

神谷八段による戦術書「禁断のオッサン流振り飛車破り」のコラム紹介第2弾です

神谷八段による「禁断のオッサン流振り飛車破り」が見事、第29回将棋ペンクラブ大賞技術部門の大賞を受賞しました!

この受賞を記念して、特別に書籍のコラムを掲載いたします。前回の「容疑者Xの献身」につづいて、今回のテーマは「ウサイン・ボルトとディープインパクト」です。

それでは、どうぞ。

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ウサイン・ボルトとディープインパクト

 筆者は競馬と陸上競技(100Mからマラソンまで全て)が大好きです。
 陸上競技の中で超人が人間の限界までいってしまったフィールド競技(走り幅跳びのマイク・パウエル、三段跳びのジョナサン・エドワーズ、走り高跳びのハビエル・ソトマヨル、棒高跳びのセルゲイ・ブブカ)を除いては徐々に進化していくものとの考えを持っていました。
 男子100Mを例にとりますと、ボブ・ヘイズよりカール・ルイスが強く、カール・ルイスよりモーリス・グリーンが、モーリス・グリーンよりもアサファ・パウエルが強い。その時々で一時的に記録が停滞することはあっても、現在の最強者より20年後の最強者が、20年後の最強者より40年後の最強者が明らかに強い。
 これは競馬も同じで、シンザンよりもトウショウボーイが、トウショウボーイよりシンボリルドルフが、シンボリルドルフよりナリタブライアン(全盛期)が明らかに強い。そしてこういう連鎖はこれからもずっと続くとずっと信じていました。
 しかし今は違います。一人の男と一頭のサラブレッドが私の信じていたものを粉々にしてくれました。
 それはウサイン・ボルトとディープインパクトです。
 ボルトは北京オリンピックとベルリン世界陸上で100Mは9秒69と9秒58。200Mは19秒30と19というすさまじい世界記録を出しました。
 ベルリンでの9秒58というのは現在の陸上界では破るどころか誰も近づくことすら(ボルト本人が衰えたこともあり)できない記録。いやそんなものではなくて、例えば今から3千年後、50世紀に開催されるオリンピックでもこの記録ならメダルは間違いない(メダルの色は分かりませんが)、というくらい人間の限界に迫ったものだと思います。
 ディープインパクトに関しては完全に主観的なことになります。史上最強とは競馬に関わる人ほとんど全てが認めているのですが、国内でハーツフライに一度負けたことも事実ですし、凱旋門賞は失格(3着入線)になりました。
 しかし彼のレースぶりを見れば、そんなことは全く気にならないはず。特に春の天皇賞ではスタートで1秒以上出遅れながら、従来の記録を1秒更新する3分13秒4のコースレコード。それも3コーナーから脚を使ったにもかかわらず上がり3ハロンを33 秒5という短距離レースのような末脚。それも最後の100Mくらいは騎手の武豊が流し、馬なりでのゴールインです。
 ディープよりGⅠレースを多く勝っている馬は既に存在しますし、これから日本生産馬が凱旋門賞を勝つということもあるかもしれません。しかし春天でのディープのようなパフォーマンスを見せてくれる馬は今後絶対に現れないと私は断言できます。ボルトとディープを生で見られた、本当にいい時代に生まれました。

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現在、受賞を記念して、本書の書籍版を弊社サイトにてご購入の方に期間限定で神谷八段のサイン入り書籍をお届けしています!

毎回ユニークなサインを書いていただく神谷八段、ぜひ皆様もこの機会にサイン本をゲットしてください。


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