新刊案内「中飛車名局集」 ~大山先生マジ強い~|将棋情報局

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新刊案内「中飛車名局集」 ~大山先生マジ強い~

ここでは5月29日発売の新刊「将棋戦型別名局集5 中飛車名局集」を紹介します。

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中 こんにちは。山口絵美菜女流1級の「チャンク式将棋ドリル」のあまりの反響の大きさにびびっている編集部島田です。今日も元気に新刊案内いきます。
本日紹介するのは「将棋戦型別名局集5 中飛車名局集」です。





将棋の各戦法ごとの名局100局を解説付きで収録した「将棋戦型別名局集シリーズ」の第5弾で、中飛車をテーマにしたものです(タイトル見ればわかる)。

本書の冒頭に収録された「鈴木大介、中飛車を語る」でも語られていますが、中飛車の変遷をざっくりいうと「角道を止めるツノ銀中飛車系」→「角道を止めないゴキゲン中飛車系」ということになります(ざっくりしすぎ)。

鈴木先生はその両方に良さがあり、片方しか知らない人はぜひもう一方も知ってほしい、そうすれば棋力アップにも必ず役立つはず、と言っています。


で、今日は「角道を止めるツノ銀中飛車系」の方から、その大家であるところの大山康晴十五世名人の将棋を紹介したいと思います。

鈴木先生いわく、史上最強の棋士は大山先生。四間飛車名局集でもマジ強かったですが、この中飛車名局集でもその強さは健在です。早速みてみましょう。





図は第28期名人戦七番勝負第7局。空前にしておそらく絶後であろう、師弟による名人戦。大山圧倒的有利の下馬評を覆し、勝負は名人戦史上初めて、第7局までもつれ込みます。「勝った方が名人」の大一番で大山名人が採用したのが中飛車です。

局面はこう進みました。





大山先生のツノ銀中飛車に対して、中央を厚く構えた有吉陣。今△7二飛と寄って△7五歩からの仕掛けを見せたところです。首尾よく歩交換ができれば桂も攻撃に参加させて手になりそうですが・・・。

ここで大山先生の指した手は▲7九金!!





じっと!!!

これがまさに大山流の金引き。対して△7五歩と突くのは▲同歩△同飛▲7八飛!!△7二飛▲6五歩で振り飛車がさばけます。





なるほど。▲7八飛を用意しておくのがポイントなんですね。
この順がダメなので居飛車は仕方なく△4四歩。




これで居飛車が持久戦に切り替えたのを見た大山先生は、悠々と左金を▲6八金~▲5七金~▲4七金と移動させて高美濃の堅陣を完成させます。



この「いったん急戦を受け止める」→「相手が持久戦模様になったら高美濃へ」は中飛車のセオリーです(と、解説に書いてあります)。

大山先生の金銀は気がつくと玉周辺に密集しているとよく言われますが、まさにその通りの駒運び。中飛車名局集を購入されて、本局を盤に並べる方がおりましたら、この▲7九金、▲6八金、▲5七金、▲4七金の4手を指すとき心のなかで「おおやまぁ!」、「おおやまぁ!」と唱えることをお忘れなく。盤にグリグリと金を打ち付けて、体に大山流を染み込ませましょう。


以下、中央で激しい戦いが起こって迎えた図を見てください。





こうなると高美濃囲いの方が明らかに戦場から遠くて堅い!
△6八との飛車取りを無視して、強く▲5三歩成と指してはっきり振り飛車優勢となりました。これは振り飛車の勝ちパターンですね。

このあとも盤石の指し回しで大山先生の勝利。師弟対決を4勝3敗で制し名人11連覇を成し遂げたのでした。


本当はもう一局、かの有名な「大山の△8一玉」が出た将棋を紹介したかったのですが、紙面の都合でまた今度にします。


「中飛車名局集」は5月29日発売です。どうぞお楽しみに!



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著者

島田修二(編集)