油断してると即KO?角換わり腰掛け銀▲4五桂速攻 通称"桂ポン"を解説!|将棋情報局

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油断してると即KO?角換わり腰掛け銀▲4五桂速攻 通称"桂ポン"を解説!

今回は角換わり戦で先手が速攻を仕掛ける形、通称"桂ポン"を解説します。
角換わりは研究が生きやすく、激しい変化も多いので、油断していると即座にやられてしまいます。
細かな違いまで詳しく解説していますので、角換わりを指す方にはとても勉強になる内容ですし、それ以外の方にも角換わりの奥深さをお伝え出来る記事となっております!

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本記事では、「角換わり腰掛け銀」の指し方をご紹介します。
詳しくは、2024年7月17日に発売の『角換わり腰掛け銀の探究』(徳田拳士)にも載っていますので、チェックしてみてくださいね。


※本稿は、徳田拳士著『角換わり腰掛け銀の探究』の内容をもとに編集部が再構成したものです。
※「▲6九玉と引く形」についてはこちらの記事で解説しています。

角換わり▲4五桂速攻

角換わりは近年プロ間で大流行の戦型です。
理由としては先手の利が得やすく、研究の形に誘導しやすいという点が挙げられます。
角換わりの出だしとはいえ、後手が「どうせ先手は▲4八金~▲2九飛の下段飛車だから、とりあえず同じ形を作っておこう」と漠然と駒組みを進めると泡を食うことになります。


ポイント①早めの▲1六歩が速攻の合図

そのいい例が、▲4五桂速攻です。「桂ポン」とも言われるこの作戦は、受け方を知らなければ即座に潰されてしまいます。
その威力を解説していきます。

下図が基本図。

先手が13手目に▲1六歩と突いた局面です。
▲4八銀や▲3六歩~▲3七桂など、指したい手の多い局面で▲1六歩は一見早いタイミングに見えます。
しかし、この手には非常に深い理由があり、速攻のための布石でもあります。

後手が最も無難に腰掛け銀を目指すと、基本図から△1四歩▲4八銀△3三銀▲3六歩△6二銀▲3七桂△6四歩▲4六歩と進めて第1図となります。

まだ21手目ですが、先手はすでに攻撃準備を完了しています。

対して後手が△6三銀としてきたら、これにはいきなり▲4五桂が成立。
以下△4四銀▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲3四飛(第2図)と仕掛けていきます。


△4四銀に代えて△4二銀もありますが、以下▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲3四飛△3三桂▲6六角(参考1図)と攻め立てていきます。

難解な形勢ですが、先手の攻めがつながる形で主導権を握ることができます。


第2図以下、△2五角▲4四飛△同歩▲5三桂成△5二銀▲同成桂△同玉▲2二歩(第3図)と激しい展開に。

先手は△2五角と打たれると飛車が捕まって困ってしまったように思えますが、▲4四飛と切り飛ばしてしまうのが返し技。銀2枚をはがされた後手玉は薄い形で、2五角の働きも弱いです。
更に▲2二歩が急所の一手。△同金は▲3一角から馬を作って先手有利になります。

第3図以下△3三桂▲2一歩成△3六角▲4七銀打△2七角成▲1一とで結果1図。

歩を取れない後手は桂を逃げるしかありませんが、先手のと金作りが間に合う格好です。後手が馬を作っている間に香を補充すれば駒損を回復できます。
結果1図は玉形の差が大きいため、先手有利となります。


ポイント②△4二玉+△4四銀には▲3四角から馬をつくる

第1図の局面で△6三銀は5筋が薄くなるのでやや危険でした。
ここからは△6三銀に代えて△4二玉(第4図)と指した場合を見ていきます。


第4図以下、▲3五歩△同歩▲4五桂(第5図)と進みます。

△4二玉は5三の地点を補強しながら囲って手堅いように見えますが構わず先手は仕掛けます。
▲4五桂と跳ねられたとき後手はどちらに銀を逃げるかですが、まずは△4四銀から見ていきます。

第5図以下、△4四銀▲1五歩△同歩▲3四角(第6図)。

このときに▲1五歩と突き捨てておけば、後々、攻めのバリエーションが増えます。
これが早めに▲1六歩△1四歩の交換を入れた効果です。
そして▲3四角がこの形の覚えておきたい一手。2筋を交換しておくのも有力ですが、さらに厳しく攻め立てます。
次の2筋の突破が非常に受けづらいです。

第6図以下、△4一角▲2四歩△同歩▲1五香△同香▲1二角成で結果2図。

後手は次に2筋を突破されては収拾困難となるので△4一角と打って数を足してきますが、▲2四歩~▲1五香が攻めをつなげる好手。このときに先手が1筋を突き捨てていることが役に立ちます。
対して△1三歩は▲1二歩が厳しいため取るしかありませんが、結果2図は馬を作って先手の攻めが成功している形。

結果2図以下、後手は△3三桂と逃げたいですが、▲2四飛△2三歩▲1四飛(参考2図)となれば先手大成功。

次の▲2一馬~▲1二飛成が分かっていても受けることができず、後手の守備の裏を取った形です。


ポイント③△4二玉+△3四銀には▲6六角と設置

さて第5図の局面に戻って、△3四銀と逃げた場合を解説します。
△3四銀以下、▲2四歩△同歩▲6六角(第7図)と進みます。

△3四銀に対して▲1五歩は、無視されて△4四歩と突かれて先手失敗。この場合は桂を取られる前に手を作る必要があり、2筋を突き捨ててから▲6六角と設置するのが急所になります。このラインに角を設置するのは頻出するので覚えておきたい手です。

2筋の突き捨てを入れずに▲6六角は、以下△4四角▲2四歩△5二金▲2三歩成△同銀(参考3図)が一例で、▲2四歩を放置される可能性があります。

2筋を手抜くのは△3四銀型ならではの受け。この変化も難解ですが、先に突き捨てておけば応手を限定させることができます。

第7図以下、△4四角▲2四飛△2三銀▲4四飛△同歩▲同角△3三桂▲3一角△同玉▲3三桂成(結果3図)と攻めまくります。


△4四角に代えて△3三桂は、以下▲2四飛△2三銀▲6四飛△6三歩▲8四飛△同飛▲3三桂成△同金▲8四角(参考4図)と進みます。

次に▲2一飛~▲4五桂の攻めが厳しく先手有利です。

よって後手は角を打つ一手となりますが、△2三銀としたときに▲4四飛と切れるようにしたのが▲6六角と打った効果です。

そして手順中の△3三桂に対して▲3一角が強烈な一手で、結果3図は先手の攻めがつながった形。結果3図以下、△2九飛には▲3四歩と力をためる手が好手になります。



ポイント④△4二玉+△2二銀には▲1五香~▲1二角

最後に第5図以下、△2二銀と逃げた場合を解説します。
△2二銀は最強の応手。次に△4四歩を見せた受けですが、その分悪形になるため先手からの猛攻を浴びやすいです。

この局面の場合、先手は1筋を絡めて攻めていきます。
△2二銀以下、▲1五歩△同歩▲2四歩△同歩▲同飛で第8図。

▲2四歩のところでうっかり△4四歩と突くと、▲3四角が激痛となります。

第8図以下、△6三銀▲1五香△同香▲1二角△2三歩▲2五飛(第9図)と進みます。

△6三銀は6四歩を守って自然に見えるものの、やや危険な手。
対して▲1五香~▲1二角は覚えておきたい攻め方です。香を捨てて角を打つ筋は部分的に頻出します。

▲1五香の局面で△1三歩と謝るのは、以下▲同香成△同香▲1四歩△2三銀▲同飛成△同金▲1三歩成△同桂▲2四歩△2二金▲8四香△同飛▲6六角(参考5図)が一例で先手有利です。


先手が先に香を捨てていますが、後手の1五香も不安定です。第9図まで進むと飛車を逃げた手が手順に香取りになっているため、攻めがつながります。

第9図以下、△3三桂▲同桂成△同金▲1五飛△1一香▲4五桂△2四金▲2一角成△1五香▲2二馬(結果4図)と進みます。


△1一香の田楽刺しを食らって先手がまずいようにも思えますが、結果4図は駒損ながらも次の攻めが厳しく先手有利。後手玉の急所である3三と5三に駒がよく利いています。
結果4図以下、例えば△1九飛のように攻めてきたら、▲5六香△4一桂▲3二銀といった要領で攻め合いに持ち込めばよいです。
この超速攻の形は、度々飛車を切る攻めが出てきます。先手の居玉で低い陣形が、飛車打ちの隙が少ないからこその攻め筋ですね。 

角換わり腰掛け銀を体系的に学ぶならこの本がおすすめ

ここまでお読みいただきありがとうございました!
以上が角換わり腰掛け銀で先手が▲4五桂速攻を仕掛けた形の戦い方です。

詳しくは、2024年7月17日発売の『角換わり腰掛け銀の探究』(徳田拳士)に載っています。


本書ではほかにも、「△5二金→△6二金一手ずらし」や「徳田先生おススメ戦法」などの戦い方も解説しています。
ぜひ本書を読んで、角換わり腰掛け銀をマスターしてください! お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
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