持久戦に持ち込まれたときの方針は?四間飛車の中盤を解説!|将棋情報局

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持久戦に持ち込まれたときの方針は?四間飛車の中盤を解説!

「四間飛車+美濃囲いには組めたけど、ここからどうしていいか分からない…」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、四間飛車+美濃囲いに組んだ後にどう指し進めていけばいいかを解説します。
初段を目指す方が読んで役に立つ内容になっています!

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本記事では、「四間飛車」の指し方をご紹介します。
詳しくは、2024年6月18日に発売の『初段になるための四間飛車』(宮本広志)にも載っていますので、チェックしてみてくださいね。


※本稿は、宮本広志著『初段になるための四間飛車』の内容をもとに編集部が再構成したものです。
※四間飛車の序盤についてはこちらの記事で解説しています。

四間飛車 中盤の戦い方

本記事では、四間飛車対居飛車の中盤戦を解説していきます。
下図が基本図です。


相手は△2二玉としており、玉を堅くする構え。こうなると持久戦模様です。
基本図から△3二銀と左美濃に囲ってくるパターンもありますが、今回は△1二香(第1図)と上がって居飛車穴熊を目指してくる順を解説します。

ポイント①△5一角と引いたタイミングで仕掛ける

居飛車穴熊は深くて堅い囲いで、振り飛車にとっては天敵ともいえます。
組み上がってしまえば王手がかからない強みを生かして、多少駒損になっても攻めさえつながればという感じで攻めてきます。
ただし完成するまでには手数がかかるので、先手はそれまでにどういう構えを作って迎え撃つかが重要です。

まずは ▲6七銀(第2図)と左の銀を使って、攻めの形を作っていきましょう。


第2図以下、△1一玉▲6五歩△2二銀▲6六銀(第3図)と進みます。

後手が△1一玉から△2二銀で穴熊のハッチを閉める間に、先手は▲6五歩から▲6六銀と上がって銀を使っていきます。

▲6六銀に代えて▲5六銀(参考1図)もありますが、左美濃の形と違って玉を深く囲っているので、角の利きを生かした攻めは、しにくくなっています。

参考1図から ▲2五桂 △4二角 ▲4五歩と攻めていっても △同歩と取られて後続がありません。
穴熊に対しては ▲6六銀から棒銀のような形で飛車と銀を使って攻めていきます。

第3図から△7四歩▲5六歩△3二金(第4図)とお互いに陣形を整備します。

 ▲6六銀に対して △7四歩と突くのは ▲7五銀と出られる手を消して自然な一手です。
対する先手は ▲5六歩と突いて、いつでも ▲5五歩から攻められるようにしておきます。

 ▲5六歩に対して △5一角と角の転換を目指してきたら、 ▲5五歩 △同歩 ▲同銀 △5四歩 ▲6四歩(参考2図)と棒銀の要領で飛車先突破を目指して先手十分です。

角を引いた瞬間は働きが悪くなるので、仕掛けのチャンスと覚えてください。
後手は △3二金か △3一金と、守りの金を玉に近づけて攻めに備えておきます。

第4図から先手は▲1六歩(第5図)と様子見。

玉の逃げ道が広くなるのは大きいですし、後手が △5一角と引いたタイミングで ▲5五歩と仕掛けたほうが、角の働きが悪くなって効果的になるからです。
▲1六歩を指さずにすぐに▲5五歩と仕掛けるのは △同歩 ▲同銀に、 △8六歩 ▲同歩 △7五歩(参考3図)と反撃してきます。

参考3図から ▲6四歩と攻め合うのは △7六歩と取り込まれる手のほうが厳しく、 ▲6六飛と受けに回るのも △4五歩と突かれて5五銀を狙われるとうまくいきません。

ポイント②▲2五桂と跳ねてから▲5五銀

第5図以下、△4二銀▲5五歩△同歩▲1五歩(第6図)と進みます。

 △4二銀と引いて4枚穴熊を目指してくるのは有力な指し方で、次に △3一銀右まで進めば松尾流穴熊と呼ばれる堅い形になります。
 △4二銀と引いたことによって5筋が薄くなったので、先手は ▲5五歩と突き捨てて △同歩に ▲1五歩と端を詰めておきます。

先に ▲5五歩と突き捨てておくのが好手で、単に ▲1五歩と突くのは、 △3一銀右 ▲5五歩 △8六歩 ▲同歩 △4二角(参考4図)となって、5筋の歩を放置されてしまいます。


第6図から△3一銀右(第7図)と先述の松尾流穴熊に組んできました。

△3一銀右に代えて △5六歩と伸ばす手も有力です。
対して先手は ▲同金と取ると金が囲いから離れてしまうので、▲6四歩△同歩▲2五桂△2四角▲5五銀(参考5図)と△5六歩を相手にせず攻めていきます。

先手は ▲6四飛や ▲4四銀と攻める手が残っていて方針がわかりやすくなっています。
▲4四銀と攻めると角筋が通ってくるので2二銀が動けなくなって、穴熊の弱点である端攻めが効果的になってきます。
ただし先手も銀冠まで組めていないので攻めすぎると反動もきつく、注意が必要です。

第7図以下▲6四銀△同歩▲2五桂△2四角▲5五銀(第8図)と攻めていきます。

△3一銀右には ▲6四歩と突き捨てて、飛車先を軽くしておくのが大事なところです。

△6四同歩に対して ▲5五銀と出ていくのは △8六歩 ▲同歩 △5四歩 ▲6四銀 △4五歩(参考6図)と反撃されて失敗します。

▲2五桂と跳ねて3三角に動いてもらってから ▲5五銀と攻めていくと覚えてください。
角をどかした効果で、 △5四歩には ▲4四銀と出ることができます。
▲5五銀と進出する攻めは飛車と角が使えるので迫力があります。

第8図以下、△8六歩▲同歩△5四歩▲4四銀△同金▲同角(第9図)と金銀交換になります。

後手は8筋を突き捨てたあと △5四歩と打って攻めを催促します。
後手は穴熊の堅陣なので、攻めさせてから反撃しようという狙いです。

△5四歩の他には △7五歩と角の頭を狙うのも有力で、▲6四飛△7六歩▲5九角(参考7図)と進みます。

これもありますが、参考7図は5五の銀が威張っているので △4五歩とは突きにくく、後手の指し手が難しい局面です。

第9図から△5五銀(第10図)と角に当てて銀を打ってきました。

後手は7七角がいなくなったので△5五銀に代えて△8六飛とさばきたくなるところですが、▲1四歩△同歩▲1三歩△同桂▲同桂成△同香▲2五桂(参考8図)と穴熊の急所である端を攻めて、激しい攻め合いになります。

参考図から △8九飛成とさらに踏み込んでくるのは▲1三桂成△同角▲1八香打と端に香を並べるのが厳しく、先手が十分といえるでしょう。

4四角が玉の筋をにらみながら端を攻める展開は厳しい攻めとなるので、後手は △5五銀と急所をにらんでいる角に働きかけてきました。

第10図以下、▲5五同角△同歩▲6四飛(第11図)と飛車をさばいていきます。


△5五銀に対して▲5三角成と駒損しないように逃げるのは、△4六銀(参考9図)とされて先手が苦戦です。

先手の飛車が後手の2四角のラインに入っているので、 △4六銀が厳しい攻めとなっています。

序盤はなるべく駒を損しないようにしないといけませんが、中盤から終盤になると1手の価値が高くなるので、手番を握ることを意識しましょう。
角を取られたのは痛いですが、狙われていた飛車をさばくことができたのは大きいです。
 

ポイント③1九の香はギリギリまで動かさない

第11図から△8六飛▲1四歩△同歩▲1三歩△同香(第12図)と進みます。

後手も △8六飛と飛車をさばいてきたところで、▲1四歩△同歩▲1三歩と端を攻めて後手の対応を見ます。

対して △1三同桂は ▲同桂成 △同香 ▲4四桂 △4二金 ▲6一飛成(参考10図)と進めて先手が十分になります。

居飛車穴熊は2一桂がいなくなると、横からの攻めに対して極端に弱くなります。
参考10図は次に ▲3二銀が狙いの一手です。
それを △4一歩と底歩を打って受けてきても先手玉がまだ堅いので、 ▲5三歩のと金攻めが間に合うでしょう。

第12図から▲1三同桂成△同桂▲2六香(第13図)で角を狙いに行きます。

 △1三同香に対しては ▲同桂成と香を取ります。
対して後手は銀で取るか桂で取るか悩ましいところですが、 △1三同銀は玉のコビンが開くことに加えて、 ▲2五銀(参考11図)と上部を手厚くしながら角を攻めてくる手もあるので、 △1三同桂と取るほうがいいと思います。

△1三同桂に ▲1四香は △1六桂の王手が生じます。
1九香は守備駒でもあるので、ぎりぎりまで動かさないようにしましょう。
▲2六香は △1三同桂に対しても有力な攻め方です。

第13図以下、△4八歩▲同金上△8九飛成▲6九歩と進んで結果図です。

△4八歩が急所の叩きです。
対して ▲4八同金引は △4六角と角に逃げられてしまいます。
▲3九金も△8九飛成▲2四香に△1六桂▲同香△1九角(参考12図)が厳しく、▲同玉は△3九竜、▲2九玉も△1七桂で寄せられてしまいます。

先手は ▲4八同金上と取って △8九飛成に ▲6九歩(結果図)と辛抱しておきます。
桂を取りながら先手で △8九飛成とされましたが、先手も飛車成りや角取りの楽しみが残っているので、結果図はこれからの勝負です。

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ここまでお読みいただきありがとうございました!
以上が四間飛車の戦い方です。

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本書ではほかにも、「対急戦の戦い方」や「終盤の戦い方」も解説しています。
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