角換わり早繰り銀で棒銀の速攻に対抗するには?定跡史に残る名場面も解説!|将棋情報局

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角換わり早繰り銀で棒銀の速攻に対抗するには?定跡史に残る名場面も解説!

角換わりにおいて早繰り銀に並ぶ優秀な急戦策が、棒銀です。お互いの強みを活かした攻防、早繰り銀の秀逸な棒銀対策を詳しく解説します。

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本記事では、「角換わり早繰り銀」の指し方をご紹介します。
詳しくは、2022年8月19日に発売の『1冊でわかる!角換わり早繰り銀』(真田圭一)にも載っていますので、チェックしてみてくださいね。

※角換わり早繰り銀の基本についてはこちらの記事で解説しています。
※本稿は、真田圭一著『1冊でわかる!角換わり早繰り銀』の内容をもとに編集部が再構成したものです。
 

早繰り銀対棒銀

棒銀側が良くなる手順①△8四銀▲9六歩△9四歩の変化

まず最初に、棒銀の狙いを理解するため、棒銀側が良くなる手順をいくつか解説します。
その後、早繰り銀側がいかに棒銀の狙いを打ち破るかを解説します。

基本図を掲載します。

後手が棒銀を目指すなら、△7二銀と上がるのが大事なところ。
次に△8三銀と上がって棒銀を明示します。
次に△8四銀~△9五銀の狙いで、完全に攻めの戦法です。

先手は▲4六銀と早繰り銀で攻める態勢を作り、後手は△8四銀と我が道をいきます。
ここで▲1六歩は△9五銀(参考1図)で棒銀の方が一手早く攻め込んできます。

これは先手がまずいです。
早繰り銀は銀の進出のための▲3六歩と△1五角の王手を防ぐ▲1六歩の二手が必要なのに対し、棒銀はその必要がなく二手早いことが要因です。
後手番でも素早く攻撃態勢を作れるのが棒銀の長所です。

▲9六歩と銀の進出を止めた手に対し、△9四歩(第2図)と新たに9筋を争点にしてきます。


第2図以下、先手は▲7八金と守備を整えておきます。
棒銀は速攻が持ち味なので、すぐに△9五歩(第3図)と仕掛けてきます。


以下▲同歩に△同銀(第4図)と銀で取るのが大事な点。


代えて△同香は▲9七歩(参考2図)です。

参考2図は棒銀の失敗例。
銀が前に出られず立ち往生してしまっています。

第4図以下は▲同香△同香(第5図)で銀香交換になるので駒割りで後手が損な気もしますが、棒銀は銀が捌ければいい勝負ができます。

第5図は次に△9八香成という自然な攻めが見えているので、先手としても漫然とした指し手は許されない局面です。

第5図以下、▲9七歩で香成りを防ぎます。そこで△9八歩(第6図)が覚えておきたい手筋の歩。


と金づくりは許せないので▲8八銀は当然ですが、それでも後手は△9九歩成としてきます。
以下▲同銀に△2六香(第7図)が狙いの一手。


▲同飛には△4四角(第8図)で飛車銀両取りの大技が掛かってしまいます。


▲2八飛△9九角成と進んだ結果1図は後手の攻めが成功。

▲8八銀に代えて▲8八銀打にも△2六香が厳しいです。
以下▲同飛には△1五角(参考3図)が準王手飛車になります。


棒銀側が良くなる手順②△8四銀▲7八金△9五銀の変化


先ほど解説した順では、△8四銀と棒銀が進出してきたときに、△9五銀を防ぐ▲9六歩は端が争点になりました。
今度は▲9六銀に代えて▲7八金として、△9五銀(第10図)と出る形を解説します。


第10図で▲3五歩と先攻するのは、以下△同歩▲同銀△3四歩(参考4図)で先手が困ります。

▲1六歩と突く手が間に合ってないので、▲2四歩から銀交換すると△1五角の王手飛車を食らってしまいます。
▲4六銀と引くのでは△8六歩から棒銀に先に捌かれます。
残念ながらスピードでは棒銀に勝てません。


後手の狙いは、言わずと知れた△8六歩からの銀交換。
それをどう防ぐかですが、▲8八銀(第11図)が争点をずらして受ける手筋。

以下△8六歩▲同歩△同銀▲8七歩と進んで、銀がぶつかることなく受けることができます。

8七の地点は先手が勢力で負けていませんが、それでも▲8七歩に△同銀成と突進してきた場合、▲同金と取るのが大事な手。
以下△8六歩▲7七金(参考5図)で大丈夫です。

▲同金に代えて▲同銀は△8六歩▲9六銀△8七角(参考6図)で食いつかれてしまいます。


棒銀を追い返して一息ついた先手は、▲1六歩と攻撃準備をします。
△8四銀と立て直す手に▲3五歩と反撃に転じます。
ところが、あっさり△同歩▲同銀△3四歩(第12図)と対応する手がありました。


以下▲2四歩は△3五歩▲2三歩成△2七歩▲同飛△4五角(参考7図)でハマリ形。

3二とが王手にならない居玉+一歩保持で可能になる早繰り銀撃退の手筋です。

▲4六銀とやむを得ない撤退に、△8五銀(第13図)と再び前進。


第13図は7六の歩を守りづらくなっています。▲7七銀と上がると△8六歩から銀交換されてしまいます。
とはいえ苦し紛れに▲7五歩と突くのは、△8六歩▲同歩△同銀(参考8図)でやぶ蛇。


仕方ない▲7七銀に△9四歩(第14図)が心憎い落ち着きです。

△8六歩はいつでも決行できますし、先手に有効手がないことも見越しています。

以下▲6八玉△9五歩▲5八金△8六歩から銀交換して△8二飛と引いた結果2図は、棒銀が理想の展開です。


▲5六角が本命の棒銀対策


ここまで棒銀側が良くなる変化を解説しました。
棒銀は優秀な戦法ですが、安心してください。

第10図を再掲します。


ここで▲5六角(第15図)が本命の棒銀対策。

4六の銀が角を守っているので、早繰り銀との相性もいいです。
また、いずれ▲3五歩と攻める場合も角の右上のラインが攻撃力を高めています。

棒銀封じとしては明快で、△8六歩▲同歩△同銀に▲8三歩(参考9図)を用意している意味があります。


角の圧力を避けて△8四飛は▲8八銀(参考10図)が好手。

後手は銀を引けなくなっているので、参考10図は次に▲9六歩が厳しい狙いです。

少し戻って、▲5六角に△7四角(参考11図)と角を消しにいくのはどうでしょうか。


この場合は、▲同角△同歩(参考12図)となり、棒銀側がまずいです。

理由は、▲5五角や銀がいなくなった後の▲9五角の筋が生じるからです。

△7四角とできない後手は△7二角(第16図)と自陣角を打ちます。


△7二角と打っておけば、△8六歩▲同歩△同銀▲8三歩に△同角と取れます。
以下、▲8六銀△5六角▲同歩△8六飛(参考13図)が一例で、後手は▲8三歩を気にせず仕掛けられます。


第16図以下、▲6六歩△8六歩▲同歩△同銀▲同銀△同飛(第17図)と、先手は素直に銀交換に応じます。


棒銀が捌けて後手不満なしに見えますが、先手には狙いがあります。
それが第17図での、▲8七歩ではなく▲7七金(第18図)。


飛車先を放置してビックリですが、これが定跡史に残る名場面であり、何度でもじっくり見る価値のある局面です。
後手の飛車がどこにも成れないことを確認してください。
さりげなく突いた▲6六歩が角の左下のラインを通していることが分かります。

第18図以下、△8二飛は自然な逃げ場所ですが、▲8三歩(第19図)と今度は先手が攻勢に出ます。


自然な応手は△同角ですが、▲8八飛(参考14図)が狙いの一手です。

▲5六角(第15図)~▲8八飛までが先手の大構想。

▲8三歩に△同飛▲同角成△同角と後手は飛車角交換に甘んじますが、以下、▲8八飛△8二歩(結果3図)の局面は飛車を手に入れた先手が十分の形勢です。


 

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ここまでお読みいただきありがとうございました!
以上が早繰り銀対棒銀の戦い方です。

詳しくは、2022年8月19日発売の『1冊でわかる!角換わり早繰り銀の基本』(真田圭一)に載っています。
本書ではほかにも、「早繰り銀対腰掛け銀」や「後手番での早繰り銀」などの戦い方も解説しています。
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