2024.05.16
対振り右玉で中飛車に勝つ方法は?相手の攻めを受け止める手筋や注意すべきポイントまで詳しく紹介!
対振り右玉は、相手にさばかせないように気を使う戦法と言われています。そこで今回は、序盤の駒組みのポイントから、相手の攻めを受け止めて反撃する手順まで詳しく紹介しています。
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皆さんこんにちは。
本記事では、「対振り右玉」の指し方をご紹介します。
詳しくは、2024年5月21日に発売する『実戦で学ぶ対振り右玉の勝ち方』(磯谷祐維)にも載っていますので、チェックしてみてくださいね。
今回は、対中飛車を題材にお送りします。
実戦譜をもとに、対振り右玉の狙い筋や手順をしっかり覚えましょう!
※対振り右玉の基本的な考え方については、こちらの記事で解説しています。
※本稿は、磯谷祐維著『実戦で学ぶ対振り右玉の勝ち方』の内容をもとに編集部が再構成したものです。
ここからは、対中飛車の戦い方を紹介します。
対中飛車でも右玉の駒組みはほとんど同じですが、序盤では5筋の歩交換をさせないことに気を付けます。
第16図は、△5四歩に▲4六歩と突いたところ。
以下△5二飛に▲4七銀で、5筋を受けることができました。
次いで△5五歩▲7六歩△4二銀▲3六歩△5三銀▲3七桂△5四銀に、▲7七桂(第17図)も大事な手。
後手から△6五銀と出られると、△5六歩からさばかれてしまいます。
対中飛車では角道をすぐに開けて、▲7七桂を用意するのがおすすめです。
第17図までいけば、後手がすぐに攻めてくることはできません。
ここからは駒組みに移ります。
第17図以下、△6二玉▲3八金△7二銀▲2九飛△7一玉▲9六歩△9四歩▲7八銀△8二玉▲5八金△3二飛(第18図)と進みました。
5筋からの仕掛けが難しいと見れば、中飛車から三間飛車に振り直すのは常とう手段ですね。
ただ、通常の三間飛車とは、手損していることと5筋を突き越していることが異なります。
先手はこの2つを咎める指し方を目指しましょう。
第3図から▲4八玉△5二金左に▲9七角(第19図)がその第一歩。
狙いは後々明らかになります。
第19図から△5一角▲6六歩△3五歩▲同歩△同飛▲3六歩△3四飛▲6七銀と進んで第20図。
このとき、△3三桂に▲3一角成を用意したのが▲9七角の意図。
桂を跳べないとなると、後手が攻撃態勢を築くのは容易ではありません。
実戦は第20図で△4四歩でしたが、とっておきの研究があります。
それが▲5六歩(第21図)。5筋で一歩を持って、将来の端攻めなどに使う狙いです。
対して①△同歩なら、▲同銀左△5五歩▲6五銀とぶつけます。
本譜は②△4五歩でした。以下▲同歩△5六歩▲同銀左△5五歩に、今度は▲6七銀(第22図)と引くのが無難です。
▲6七銀に代えて▲6五銀は、△同銀のときに困ります。
A▲同歩は自然ですが、次に厳しい手がないうえに手番を渡します。B▲同桂は△6四歩がピッタリ。
△4五歩はこの進行を見据えてのものでした。
本譜に戻りましょう。
▲6七銀に△6四歩(第23図)が柔らかい受け。
「ただやん!」と思って▲同角と食いつくのは△4五銀(失敗図)の角取りで切り返され、大やけど。
△6四歩には▲1六歩と突いて、将来の△1五角を消しました。
次いで△6二角に▲2七金(第24図)も見落とせない受け。
△6二角は、次に△4六歩~△3六飛~△2六飛の飛車ぶつけを狙っています。
△2六飛の瞬間に▲2七金では間に合わず、△同飛成▲同飛△2六金で上から潰されそう。
右玉では4六の地点が急所になりやすいので、常に相手の大駒の動きには注意したいですね。
4筋の歩を切って打ち直すのが手筋ですね。
右玉は手が付くと早く、特に△4六歩や△4七歩という符号が出始めると自玉ピンチのサインです。
怖いと思ったら受けに回るのがおすすめです。
先受けしてから攻めるのが、右玉のよくある手の流れでしょうか。
第25図以下、後手は△3三桂と跳ねて、あくまでも4筋をこじ開けるつもりです。
さて、先手も考えどころ。▲6四角は相変わらず指しにくいです。
かと言って、角を使えないと攻めになりません。
そこで、▲6五歩(第26図)と突きました。
以下△4四金に▲6四角(第27図)が狙いの手。
今度は歩の土台があるので、角の素抜きはありません。
さらに、桂が手に入ると▲7四桂があるので、後手の攻め方に制限がかかっているのです。
桂を渡せない後手は、第27図から△4五歩▲同歩△同銀と突っ込んできました。
以下▲同桂△同金▲4六歩△5六金に▲4二角成(第28図)で、馬を作ることができました。
先手のここからの方針は、この馬を攻守に使って後手陣を抑え込んでいくことです。
先手陣にもプレッシャーがかかっていますが、5六金だけでは寄りません。
また、持ち駒に銀もあるので、受けきれそうです。
先手玉にはしばらく詰めろがかからないので、この辺で反撃に出ます。
▲9五歩△同歩▲9三歩(第30図)と垂らしました。
今回は7三歩・6二角の形で後手玉の逃げ道が少ないため、特に端攻めが有効になります。
第30図で△9三同香は▲8五桂があるので、この歩は取りにくいでしょう。
実戦は△7四歩でしたが、これにも▲8五桂とします。以下△8四角▲7五歩△同歩(第31図)と進んで、最後の方針を決めるタイミングです。
形勢は先手優勢ですが、次に△7六歩が王手になります。
さらに△7七歩成が間に合うと、焦る展開になりそうです。どうしましょうか。
最速で勝ちにいくなら、▲4三馬や▲7三歩が候補手です。
実戦は▲6六銀打(第32図)で安全策を取りました。
以下△7六歩に▲7五歩と打ちます。
馬と銀の力が強く、開き王手も△7七歩成も消すことができました。
最善の手順ではないですが、この後の指し手が分かりやすくなりますし、何より負けにくくなります。
▲7五歩から△5二金打▲1五馬△2四歩に▲7九飛と回って、7筋からの攻めを見せます。
次いで△6三金▲7六飛△6二角▲7四歩△同金に、▲2五馬(第33図)が決め手。
▲9四桂~▲8二金までの詰めろと飛車取りがかかり、先手の勝ちとなりました。
以上が対中飛車の戦い方です。
詳しくは、2024年5月21日発売の『実戦で学ぶ対振り右玉の勝ち方』(磯谷祐維)に載っています。
本書ではほかにも、「対三間飛車」や「対向かい飛車」などの戦い方も解説しています。
ぜひ本書を読んで、対振り右玉をマスターしてください!
お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
本記事では、「対振り右玉」の指し方をご紹介します。
詳しくは、2024年5月21日に発売する『実戦で学ぶ対振り右玉の勝ち方』(磯谷祐維)にも載っていますので、チェックしてみてくださいね。
今回は、対中飛車を題材にお送りします。
実戦譜をもとに、対振り右玉の狙い筋や手順をしっかり覚えましょう!
※対振り右玉の基本的な考え方については、こちらの記事で解説しています。
※本稿は、磯谷祐維著『実戦で学ぶ対振り右玉の勝ち方』の内容をもとに編集部が再構成したものです。
目次
1 序盤のポイント:5筋の歩交換はさせない
2 中盤のポイント:△5五歩を咎める
3 中盤のポイント:受けながら攻める
4 終盤のポイント:端攻めで崩す
5 対振り右玉を体系的に学ぶならこの本がおすすめ
1 序盤のポイント:5筋の歩交換はさせない
2 中盤のポイント:△5五歩を咎める
3 中盤のポイント:受けながら攻める
4 終盤のポイント:端攻めで崩す
5 対振り右玉を体系的に学ぶならこの本がおすすめ
序盤のポイント:5筋の歩交換はさせない
ここからは、対中飛車の戦い方を紹介します。
対中飛車でも右玉の駒組みはほとんど同じですが、序盤では5筋の歩交換をさせないことに気を付けます。
第16図は、△5四歩に▲4六歩と突いたところ。
以下△5二飛に▲4七銀で、5筋を受けることができました。
次いで△5五歩▲7六歩△4二銀▲3六歩△5三銀▲3七桂△5四銀に、▲7七桂(第17図)も大事な手。
後手から△6五銀と出られると、△5六歩からさばかれてしまいます。
対中飛車では角道をすぐに開けて、▲7七桂を用意するのがおすすめです。
第17図までいけば、後手がすぐに攻めてくることはできません。
ここからは駒組みに移ります。
第17図以下、△6二玉▲3八金△7二銀▲2九飛△7一玉▲9六歩△9四歩▲7八銀△8二玉▲5八金△3二飛(第18図)と進みました。
5筋からの仕掛けが難しいと見れば、中飛車から三間飛車に振り直すのは常とう手段ですね。
ただ、通常の三間飛車とは、手損していることと5筋を突き越していることが異なります。
先手はこの2つを咎める指し方を目指しましょう。
第3図から▲4八玉△5二金左に▲9七角(第19図)がその第一歩。
狙いは後々明らかになります。
中盤のポイント:△5五歩を咎める
第19図から△5一角▲6六歩△3五歩▲同歩△同飛▲3六歩△3四飛▲6七銀と進んで第20図。
このとき、△3三桂に▲3一角成を用意したのが▲9七角の意図。
桂を跳べないとなると、後手が攻撃態勢を築くのは容易ではありません。
実戦は第20図で△4四歩でしたが、とっておきの研究があります。
それが▲5六歩(第21図)。5筋で一歩を持って、将来の端攻めなどに使う狙いです。
対して①△同歩なら、▲同銀左△5五歩▲6五銀とぶつけます。
本譜は②△4五歩でした。以下▲同歩△5六歩▲同銀左△5五歩に、今度は▲6七銀(第22図)と引くのが無難です。
▲6七銀に代えて▲6五銀は、△同銀のときに困ります。
A▲同歩は自然ですが、次に厳しい手がないうえに手番を渡します。B▲同桂は△6四歩がピッタリ。
△4五歩はこの進行を見据えてのものでした。
本譜に戻りましょう。
▲6七銀に△6四歩(第23図)が柔らかい受け。
「ただやん!」と思って▲同角と食いつくのは△4五銀(失敗図)の角取りで切り返され、大やけど。
△6四歩には▲1六歩と突いて、将来の△1五角を消しました。
次いで△6二角に▲2七金(第24図)も見落とせない受け。
△6二角は、次に△4六歩~△3六飛~△2六飛の飛車ぶつけを狙っています。
△2六飛の瞬間に▲2七金では間に合わず、△同飛成▲同飛△2六金で上から潰されそう。
右玉では4六の地点が急所になりやすいので、常に相手の大駒の動きには注意したいですね。
中盤のポイント:受けながら攻める
第24図から△4四歩▲同歩△5三金▲4三歩成△同金▲4六歩と進んで第25図。4筋の歩を切って打ち直すのが手筋ですね。
右玉は手が付くと早く、特に△4六歩や△4七歩という符号が出始めると自玉ピンチのサインです。
怖いと思ったら受けに回るのがおすすめです。
先受けしてから攻めるのが、右玉のよくある手の流れでしょうか。
第25図以下、後手は△3三桂と跳ねて、あくまでも4筋をこじ開けるつもりです。
さて、先手も考えどころ。▲6四角は相変わらず指しにくいです。
かと言って、角を使えないと攻めになりません。
そこで、▲6五歩(第26図)と突きました。
以下△4四金に▲6四角(第27図)が狙いの手。
今度は歩の土台があるので、角の素抜きはありません。
さらに、桂が手に入ると▲7四桂があるので、後手の攻め方に制限がかかっているのです。
桂を渡せない後手は、第27図から△4五歩▲同歩△同銀と突っ込んできました。
以下▲同桂△同金▲4六歩△5六金に▲4二角成(第28図)で、馬を作ることができました。
先手のここからの方針は、この馬を攻守に使って後手陣を抑え込んでいくことです。
先手陣にもプレッシャーがかかっていますが、5六金だけでは寄りません。
また、持ち駒に銀もあるので、受けきれそうです。
終盤のポイント:端攻めで崩す
第28図から△6七金▲同金△5六銀▲5八銀打△6七銀成▲同銀△2五桂と進んで第29図。先手玉にはしばらく詰めろがかからないので、この辺で反撃に出ます。
▲9五歩△同歩▲9三歩(第30図)と垂らしました。
今回は7三歩・6二角の形で後手玉の逃げ道が少ないため、特に端攻めが有効になります。
第30図で△9三同香は▲8五桂があるので、この歩は取りにくいでしょう。
実戦は△7四歩でしたが、これにも▲8五桂とします。以下△8四角▲7五歩△同歩(第31図)と進んで、最後の方針を決めるタイミングです。
形勢は先手優勢ですが、次に△7六歩が王手になります。
さらに△7七歩成が間に合うと、焦る展開になりそうです。どうしましょうか。
最速で勝ちにいくなら、▲4三馬や▲7三歩が候補手です。
実戦は▲6六銀打(第32図)で安全策を取りました。
以下△7六歩に▲7五歩と打ちます。
馬と銀の力が強く、開き王手も△7七歩成も消すことができました。
最善の手順ではないですが、この後の指し手が分かりやすくなりますし、何より負けにくくなります。
▲7五歩から△5二金打▲1五馬△2四歩に▲7九飛と回って、7筋からの攻めを見せます。
次いで△6三金▲7六飛△6二角▲7四歩△同金に、▲2五馬(第33図)が決め手。
▲9四桂~▲8二金までの詰めろと飛車取りがかかり、先手の勝ちとなりました。
対振り右玉を体系的に学ぶならこの本がおすすめ
ここまでお読みいただきありがとうございました!以上が対中飛車の戦い方です。
詳しくは、2024年5月21日発売の『実戦で学ぶ対振り右玉の勝ち方』(磯谷祐維)に載っています。
本書ではほかにも、「対三間飛車」や「対向かい飛車」などの戦い方も解説しています。
ぜひ本書を読んで、対振り右玉をマスターしてください!
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