対振り右玉ってどんな戦法?メリットや駒組みのポイントを詳しく紹介!|将棋情報局

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対振り右玉ってどんな戦法?メリットや駒組みのポイントを詳しく紹介!

対振り右玉は経験がモノを言う戦法と言われますが、指し方が分からないとなかなか手を出せませんよね。そこで今回は、対振り右玉の特徴とメリット・駒組みのポイントを詳しく紹介しています。

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本記事では、「対振り右玉」の特徴とメリット・駒組みのポイントをご紹介します。
詳しくは、2024年5月21日に発売する『実戦で学ぶ対振り右玉の勝ち方』(磯谷祐維)にも載っていますので、チェックしてみてくださいね。

今回は、対振り右玉の基本を解説します。
対振り右玉の指しこなし方をしっかり覚えましょう!

※本稿は、磯谷祐維著『実戦で学ぶ対振り右玉の勝ち方』の内容をもとに編集部が再構成したものです。
 

対振り右玉の特徴

まずは、対振り右玉の特徴について解説していきましょう。
対振り右玉とは「玉頭に厚みを作って相手の仕掛けを封じる戦法」です。
右玉の好形を見ていきましょう。
ここでは四間飛車を例にあげます。

第1図まで組めれば、既に居飛車が作戦勝ちなのです。
第1図で先手は、▲5六銀左~▲5八金~▲6九飛と攻撃態勢を作る狙いや、▲5六歩~▲5八金~▲7九角のように使う展開もあります。

後手も△4五歩から仕掛けられそうですが、それには▲同桂(参考1図)が角に当たり、余計に忙しくなります。

以下△同銀には▲同歩△同飛▲5六銀左△4二飛▲4六歩(参考2図)で、駒得の先手が有利です。

△1五角の王手には、▲5八玉で問題ありません。

対三間飛車や中飛車でも右玉の理想形は似ています。
共通して大事なのは、自分だけ仕掛けることができて、相手からは動きにくい駒組みをすることです。
右玉は、手が進めば進むほど形がよくなっていきます。
裏を返せば、怖いのは駒組みが終わる前に攻められること。
序盤の十数手が勝負所という意識を持ちましょう。

 

対振り右玉のメリット

右玉のメリットは
・相手の飛車角を押さえ込みやすい
・玉が広くて耐久力がある
・相手に研究されにくい

の3つです。
順に解説していきます。


 

相手の飛車角を押さえ込みやすい


対抗形の将棋では、「振り飛車はさばく、居飛車は押さえ込む」と言われますよね。
でも、振り飛車にうまくさばかれて嫌な思いをしたことはないですか?

通常の対抗形では、お互いの玉・攻撃陣がそれぞれ向かい合います(第2図)。

急戦でも最低2枚は囲いに金駒を使うので、居飛車は押さえ込むのに神経を使います。
一方で右玉の場合は、自玉が相手の攻撃陣と向かい合います。
とても怖そうですが、金銀で相手の飛車角を押さえ込みやすくなっているとも言えるのですね。

 

玉が広くて耐久力がある


下図は右玉対振り飛車の実戦図です。

次に△2八飛と打たれると先手玉は寄ってしまいます。
ピンチに見えますが、ここで▲5六歩(第4図)と突きました。

三段目に逃げれば、先手玉が安全になります。
右玉は堅くないものの、耐久力があります。

 

相手に研究されにくい


地味に大事なのが、相手に研究されにくいこと。
対振り飛車の作戦としてマイナーな方なので、相手は経験の少ない形だけど自分だけが知っているという、最も勝ちやすいパターンにもっていきやすいのです。

 

対振り右玉の駒組みのポイント

右玉の駒組みのポイントは
・右辺→左辺の順に陣形整備
・角の働きを意識する
・桂を跳ねるタイミングに注意する
の3つです。
こちらも順に解説していきます。


 

右辺→左辺の順に陣形整備


右玉が一番怖いのは、駒組みが終わる前の速攻。
対四間なら4筋からの仕掛けが気になります。
早い段階で左辺の駒を触り過ぎると、玉を囲えないまま倒される危険性があります。

第5図は、後手が△4二飛と四間飛車にしてきたところ。


ここでは▲3六歩(第6図)から右辺の整備を優先するのがおすすめです。


以下、一例として△3二銀▲3七桂△4四歩▲3八金△6二玉▲4六歩△7二銀▲4七銀△7一玉▲2九飛(第7図)と進みます。

こうなれば4筋を厚くできたので、いきなりやられる心配はなくなります。


 

角の働きを意識する


第8図は、右玉の失敗図。相手に9筋を突き越されてしまいました。

右玉では角を端に出ることも多く、また、端攻めの展開も頻出します。
端の位を取られると攻め筋が狭まるのです。

角は▲7七角から使えばいいんじゃない?と思うでしょう。
しかし、△5四銀(第9図)と出られると、次の△6五銀が受けにくくなります。

▲6六歩は角道が止まりますし、▲5六銀は玉頭が薄くなります。
▲7七角に代えて▲7七桂と跳ねれば、△5四銀を予め受けることができますが、角を使いにくくなりますね。

また、右玉は自陣に角打ちのスキがないため、積極的に角を交換していきたいです。
たとえば第10図なら、▲2二角と打つことができます。
このように、相手陣に角を打てそうなときに交換をねらうのがおすすめです。



 

桂を跳ねるタイミングに注意する


先ほど角の働きについて解説しましたが、角が働くかどうかは桂を跳ねるタイミングにかかっています。
「△5四銀に▲7七桂」。この2手をセットで指すことを覚えてください。

さて、第11図を見ていきましょう。
ここで何を指しますか?



なんとなく▲7七桂と跳ねると、以下△9四歩▲9六歩△5四歩▲7八銀△4二角▲2九飛△3三桂(第12図)と進みます。

これでは、▲9七角△同角成▲同香と進めても、後手陣に角の打ち場所がなく、角が使いにくいです。
角が使いにくくなる原因は、▲7七桂を早く跳ねたことにあるのです。

また、▲7七桂の代わりに▲7八銀は、角が一瞬浮くため危険。
すかさず△4五歩と開戦されて、右玉がかなり気を使う展開になってしまいます。

第11図では、▲5六歩がおすすめです。A△5四銀と出てくれば、そこで▲7七桂(第13図)と跳ねて、△6五銀を防ぎます。

以下△4二角▲6八銀△9四歩▲9六歩(第14図)の進行は先手満足。次は▲9七角と使うことができます。


B△5四歩には▲6六角△4二角▲6八銀(第15図)と進みます。

このあと▲7七桂と跳べば、やはり角・桂両方を活用できそうです。

相手の5筋の形(△5四歩か△5四銀か)が決まってからこっちも形を決めると、作戦負けしにくくなります。

以上が対振り右玉の基本です。
この後は、上記の考え方を相手の形に合わせて応用していきます。


対振り右玉を体系的に学ぶならこの本がおすすめ

ここまでお読みいただきありがとうございました!

詳しくは、2024年5月21日発売の『実戦で学ぶ対振り右玉の勝ち方』(磯谷祐維)に載っています。
本書ではほかにも、「対三間飛車」や「対向かい飛車」などの戦い方も解説しています。
ぜひ本書を読んで、対振り右玉をマスターしてください!
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