『5秒で解きたい3手詰』棋書アンバサダーレビュー みっひー様|将棋情報局

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『5秒で解きたい3手詰』棋書アンバサダーレビュー みっひー様

『5秒で解きたい3手詰』棋書アンバサダーによるレビュー、第5弾です!

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これまでは有段者の方のレビューでしたが、第5弾は観る将&撮る将のみっひー様に書いていただきました!

観る将&撮る将とは言いつつ、将棋の棋力アップにかなり前向きに取り組んでおられる方とお見受けしました。きちんと時間を計っていただいたようで、大変ありがたいです。

それでは、どうぞ。

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観る将&撮る将のみっひーと申します。小学生の息子がいる働く主婦です。ツイッター(@Jun _miffy)のほか、note(jun _miffy)で将棋イベントレポを書いています。

私は、6年前まで、将棋とは全く縁のない人生を送ってきました。2017年6月、藤井聡太四段(当時)のデビュー以来の連勝記録更新がニュース速報で流れるようになったことで興味を持ち、インターネット生中継で藤井聡太四段の対局を見て、ルールも知らないのにすごくおもしろいと魅力を感じたことをきっかけに観る将になりました。

その後、将棋イベントで、棋士の方々と将棋盤を挟んでぐるぐる将棋形式の指導対局を受けている将棋ファンの姿を見て、将棋界は推しとリアルに将棋を指せる世界なのだと知って衝撃を受け、自分も指せるようになりたいと思いました。また、将棋を指せれば、解説の内容や、藤井聡太四段の指し手の何がどうすごいのかをもっと理解できて、観るのをより楽しめるのではないかとも思いました。そこで、2018年2月に将棋教室の門をたたき、駒の持ち方から教わって、仕事や家庭の事情で時々お休みしながらもゆるゆると指し続け、今に至ります。

棋力は、指導対局を受けるのが大好きで駒落ちメインで指しており、今は飛車香落ちです。一方、平手は、将棋ウォーズ3級で伸び悩んでいる中飛車党です。棋神解析に中終盤での悪手が目立つと怒られています。
詰将棋は、アプリ「駒サプリ」有料版を利用し、浦野真彦八段の「【新版】3手詰ハンドブックI」と「【新版】3手詰ハンドブックII」を一日ごとに交互に解いています。200問をランダムモードで解き、正答率は9割、一問当たりに要する平均秒数は約5秒です。

それでは、本書のレビューに入ります。

1 第1章 3手詰のパターン



目次をご覧いただくとわかるとおり、詰みのパターンが12種類に分類されています。それぞれに局面図がつき、詰み筋について簡潔な説明が付されており、論理的にも視覚的にも理解しやすいです。
3手詰を毎日解いている私ですが、本書で改めて詰みのパターンとコツを整理することができ、勉強になりました。もちろん、これから3手詰にチャレンジする方にもわかりやすい内容だと思います。

2 第2章 詰む将棋200題

(1)実際に解いてみた

まずは初見で200題を一気に解き、かかった時間をストップウォッチで計測することにしました。頭の中で解き、答えは書かずに、解けたらその都度解答を見て確認し(問題の裏のページに解答が載っています)、30秒ほど考えてもわからなかったら解答を見て次に進む方法でチャレンジしました。

結果は、1時間3分でした。1題当たりの平均は18.9秒。間違えた&解けなかった問題は200題中9題。
1秒で解けた問題もあれば、うんうん唸りながら考えて解けた問題もあったので、時間の平均値にどの程度の意味があるかは微妙ですが(汗)、初見にしては正答率が高かったです。

2周目はタイムを計測せず、頭の中で解いて答えを書く方式にしました。解くスピードは上がりましたが、1周目で解答を見たにもかかわらず、2周目も再び間違えた問題が5題ありました。

(2)解いてみて感じた本書の特徴

① 配置されている駒の数が少ない
シンプルな問題が多く、詰将棋に苦手意識のある方でもとっつきやすい印象を受けます。また、駒が少ない分、玉方の逃げ方を読みやすく、「5秒で解ける3手詰」という本書のコンセプトどおり、短時間で解ける難易度ではないかと思います。

② 詰み形の基本である「頭金」で詰ませる問題が多い
「金はとどめに残せ」の格言のとおり、頭金の詰み形は実戦でも頻出します。本書を繰り返し解くことで、自然と「これって頭金で詰むのでは?」という形が見えるようになっていくのではないでしょうか。

③ 第1章で示された詰みのパターンごとに複数の問題が出題されている
問題番号の下に、どの詰みのパターンで解けるかが記載されているので、3手詰に慣れていない方でも解きやすいと思います。また、同じパターンの問題が続けて出てくるので、パターンごとの解き方のコツを早く会得できます。
私が間違えた問題を見返してみると、利きが長い駒を離して打つパターンが多かったです。自分にとって見えにくい詰み筋に気づくことで、「もしかしたら、この筋があるのではないか」と思い出す助けになり、詰将棋力の向上につながると感じました。

④ 似た形の問題が1ページの上下に並べて出題されている
私が本書をおすすめする一番のポイントはここです。
詰将棋でも実戦でもよくあるパターンの「持駒に金と銀がある場合、どちらを先に打てば詰むか」問題を例にして説明します。



問題35と問題36の盤面を比べてみてください。どこが違うでしょうか。
そうです。問題36では1三の地点に玉方の金がいますね。この1枚の駒がいるために、答えが変わるのです。
問題35では、初手で3三の地点に金を打つと、玉が下段に逃げれば次に銀打ちで詰みますが、1三の地点に逃げられた時に詰まなくなってしまいます。一方、銀を打てば、2四にも銀が利いているので、1三に逃げられても2四に金を打てば詰みます。
問題36は、1三の地点に玉方の金がいます。初手で3三の地点に銀を打つと、玉を2三に逃げられた時に、2四に金を打っても玉方の守備駒である金に取られてしまい詰みません。というわけで、玉を上に逃がさない金打ちから入るのが正解になります。
このように、似た局面を比べながら解くことで、理解が深まる工夫がされています。

⑤ 駒余り問題、玉方の逃げ方によっては5手詰になる問題がある
他の詰将棋本ではほとんど見かけません。実戦での詰め手筋の活用を意識した良い構成だと思います。注釈がついているので、初心者の方でも大丈夫です。

3 おわりに

私は、谷川浩司十七世名人の講演会に参加したことがあります。その時、詰将棋を解く意味について、谷川先生が「この形は詰みだと知っていれば、詰むか詰まないかを読む時間を省略することができる。」とおっしゃったのを聞いて、目から鱗が落ちる思いでした。
本書は、詰将棋の基本的なパターンを学ぶのに最適だと思います。老若男女を問わず、それぞれのペースで、楽しい指す将ライフを送る仲間が増えてくれたら嬉しいです!
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