都立中学校 将棋部発!『5秒で解きたい3手詰』レビュー|将棋情報局

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都立中学校 将棋部発!『5秒で解きたい3手詰』レビュー

『5秒で解きたい3手詰』棋書アンバサダーによるレビュー、第2弾です!

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中 『5秒で解きたい3手詰』棋書アンバサダー企画第2弾は都立中学に通う将棋部の武藤様に書いていただきました!
中学生とは思えないしっかりしたレビューに感動です。ありがとうございました!

それでは、どうぞ。

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『5秒で解きたい3手詰』棋書アンバサダーの武藤直音と申します。

私は現在中学生で、在籍している都立中学校で将棋部に所属しています。将棋は受験後に趣味として始め、歴としては1年半程です。棒銀から覚えた生粋の居飛車党で、最近は角換わりを主戦場に指しています。棋力は初、二段くらいです。

『現代将棋ってこういうこと』の棋書アンバサダーの方々の記事を見て、私もこういった活動ができたらなと思い応募したところ、ご返事をいただきました。ずっと将棋の普及に携わりたいと思ってきて、将来は日本将棋連盟に就職できればとすら思っていた身としては、非常に嬉しかったです。

それでは本題に入りましょう。

【本書のイメージ】
本書『5秒で解きたい3手詰』の著者は、指導棋士六段でありこども将棋教室「棋友館」館長である小田切秀人先生です。先生は私の所属する学校にも指導に来てくださったこともあります。その際は分かり易い例えを用いた、本質的な指導で大変勉強になったことを覚えています。
まえがきに「サッカーや野球など球技スポーツでは、どうしたら点が取れるかが分からないとゲームになりません。将棋で言えばそれは『詰み』です。将棋はより早く相手の玉を詰ましたほうの勝ちとなります」とある通り、将棋は終盤が命です。
いくら序盤を深く研究しても、大抵の場合は一手違いの終盤になります。そこで詰まし損ねて負けた日には、夜も眠れないことでしょう。
そんな終盤の「強化」書がこの『5秒で解きたい3手詰』です。

【本書の構成】
本書はまず、基本的な詰み筋が講座形式でまとめられています。そこでは本書の問題についても触れられており、そこで「基本は3手詰ですが玉方の対応で手数が伸びたり、持ち駒が余る手順で詰むこともあります」とあるように、本書の詰将棋は「作品」というよりは「練習問題」というイメージです。



詰み筋はそれぞれにイメージしやすいような、具体的な題が付いており、とても分かり易いです。この辺りも小田切先生の丁寧な指導が表れていると思いました。
次の章からは3手詰が200問出題されています。どの詰み筋を使うかが明記されているので、3級くらいの棋力があれば講座の部分をしっかり読めば、題名通り5秒で解けるようになると思います。
さらに、盤上の細かな違いから手順を考える練習もすることができます。
例えばこの問題。



問7は▲3二銀成から、問8は▲3二銀不成からの詰みです。
銀を成るか成らないかという細かな違いが、結果に大きく影響するという良い問題です。実戦で見逃しやすい形の違いが、問題を解きながら自然と身についていきます。

駒が余る問題も紹介しておきましょう。



問197は2二の銀が動けないことに着目した問題で、▲3一角成△1二玉▲2二馬までの詰みです。▲3一角成が盲点になりやすいですが大事な詰みの手筋です。このように駒が余る問題は、これまでの詰将棋の本には載っていないことが多かったのですが、本書には沢山散りばめられています。実戦では駒が余らないことのほうが珍しいくらいで、このような問題があったほうが遥かに棋力の向上につながると思います。

私自身、詰将棋作品集が本当に実戦の練習になっているのかとよく疑問に思うこともありました。そんな方もこの本ならば、俗手ではっきり詰ましに行くテクニックを学ぶことができます。
このように駒が余ったり5手詰めになったりする場合は、問題に注意書きが添えてあるので安心して解くことができます。

【最後に】
先日最年少で七冠を達成された藤井聡太先生も、強さの秘訣は幼少期に大量に解いた「詰将棋」だといいます。やはり将棋の上達の基本である詰将棋の練習帳である本書を読むことは、棋力の向上に一役買ってくれることでしょう。

少し長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。このような貴重な機会をいただきましたマイナビ将棋情報局様、著者の小田切先生、並びに関係者の方々に心から感謝申し上げます。

ぜひ本書を手に取っていただき、楽しい将棋ライフをお送りください!


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