編集部島田が語る藤井聡太の名局 ~『藤井聡太全局集令和3年度版』付録より~|将棋情報局

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編集部島田が語る藤井聡太の名局 ~『藤井聡太全局集令和3年度版』付録より~

(1)危ないんですか?
(2)それはない

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中 皆さんこんにちは。「お金がないから何もできないという人はお金があっても何もできない」でおなじみの編集部島田です。

今日は細かすぎて伝わらないシリーズ第5弾!・・・ではなく、絶賛予約受付中の『藤井聡太全局集』のお話です。




藤井聡太竜王の1年間の将棋を本人のコメントとプロ棋士の解説で紹介する書籍で、毎年楽しみにしてくださっている方も多いと思います。令和3年度版は重要局が多いため、上下巻の2冊(!)刊行することになりました。その分藤井先生のコメントもたくさん掲載していますので、楽しみにしていてください。

藤井先生への取材の模様。

午後の日差しの中の藤井先生


身振り手振りを交えて楽しそうにコメントする藤井先生

さて、本日はこの『藤井聡太全局集』の予約特典「編集部島田が語る藤井聡太の名局」の一部を紹介できればと思っています。その名の通り、本書担当編集の島田が、独断と偏見で藤井先生の名局を振り返る、というものです。

『藤井聡太全局集』には抽選で藤井聡太竜王のサイン本がゲットできるという凄まじい予約特典があります。島田の小冊子はおまけだと思って、楽しんでいただければ幸いです。

さて、前置きはこれくらいにして、早速参りましょう!

(1)危ないんですか?
 まず取り上げたいのは叡王戦五番勝負第3局。豊島先生との19番勝負の中間地点といったところです。角換わりから豊島先生の攻めが続き、△6六香と打たれたところで、馬と香で挟まれて藤井先生の玉は一歩も動けなくなりました。



 普通は何とかして脱出を図るところですが、藤井先生の選択はなんと攻め。しかも相手に駒を渡す攻めなので、その駒を使われて自分の玉が詰まされてしまう危険性がかなり高い。
「こんな危ない指し方をするのか?」と控室の棋士が言ったのに対して、後日それを聞いた藤井先生の回答が何ともカッコいい。

「これが危ないんですか?」

 ひゃー。しびれるー。将棋のアマチュアはなんとなく危ないからとにかく安全に勝とうとします。厳密には受ける必要のない時も過剰に受けますし、それが「勝ちやすい指し方」と言われます。プロの先生は危険度を見極めて1手違いで勝つことができます。1手違いとは自分の玉も次に詰まされる状態ですが、その直前に相手の玉を詰ます、ということです。
 そういう芸当ができるプロ棋士が危ないと言っているのに、藤井先生は「え?どこがですか?」と素知らぬ顔。相手の攻めを全部読み切っていて、どう来られても勝てる自信があるのでしょう。カッコ良すぎます。
 両辺が切り立った崖になっている細い道を笑顔で歩いているようなものです。

 見ている私はヒヤヒヤしていますが、藤井先生本人は何とも思ってないという、こんなに心配しているのに。なんかちょっと悔しいです(笑)


(2)それはない
 続いては竜王戦。挑戦者決定戦は研究パートナーである永瀬拓矢王座との三番勝負になりました。
 藤井先生が先勝して迎えた第2局の終盤。



 図の▲8三飛が好手!以下△8二飛▲同飛成△同銀として相手の銀を一歩前に進めてから▲6三金としたのが、飯島先生が「神の手順」と絶賛した寄せ。言われてようやく意味が分かるくらいのすごい手順ですが、この寄せを何手も前から読んでいることがすごいです。

 永瀬先生とは挑戦者決定戦で当たることの多い藤井先生。藤井聡太全局集のためのインタビューでライターの鈴木宏彦さんが質問されたのですが、そこに私も同席していました。
 鈴木さんの質問はこうです。

――永瀬王座との大一番はこれまでことごとく勝っていますが、相性の良さは感じますか。

 対して藤井先生の回答が早かった。

「相性のよさ? いや、それはないです。永瀬王座とはこれまで挑戦者決定戦で対戦することが多かったのですが、普段からVSをやっていただいているので、自分としては自然な気持ちで指しやすいという面はあるかもしれません」

 永瀬先生に勝つことの難しさを誰よりもわかっている藤井先生だからこそ「相性の良さ」という言葉で片付けてほしくなかったのかなと思います。
 以前に私が豊島先生と渡辺先生を2強だと言った時に藤井先生が即座に「永瀬さんを含めて3強だと思っています」とおっしゃったことがありました。その時に藤井先生からほんの少し、コンマ1㎜くらいの怒気を感じたのですが、そのときのことを思い出しました。藤井先生と永瀬先生の間には他の人が入れない聖域があるように感じます。


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小冊子のチラ見せは以上です。

他の部分も読みたい!と思った稀有な方はぜひ『藤井聡太全局集』をご予約下さい(^^)
よろしくお願いします。

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