藤井叡王が2手損の構想を披露 第7期叡王戦五番勝負第3局|将棋情報局

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藤井叡王が2手損の構想を披露 第7期叡王戦五番勝負第3局

藤井叡王が初防衛か、出口六段が一矢報いるか

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藤井聡太叡王に出口若武六段が挑戦する、第7期叡王戦五番勝負第3局が、5月24日(火)に千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター(三井ガーデンホテル柏の葉2階)」で行われています。

今期の叡王戦はここまで藤井叡王の2連勝で、タイトル防衛まであと1勝としています。第2局は相掛かりから千日手となりましたが、再び相掛かりとなった指し直し局では、序盤に生じたわずかなスキを捉えてからは的確に形勢を広げる快勝譜を見せました。出口六段は先手番を千日手にされて、指し直し局は後手番で圧倒されるという何ともつらい状況です。そして第3局は今期3度目の後手番となります。

■後がなくなった出口六段

初出場で2連敗からタイトル奪取を果たした例として、塚田泰明九段が挙げられます。1987年の第35期王座戦で中原誠王座を破った塚田七段(段位は当時)は、得意の相掛かりを駆使して大逆転奪取へと結びつけました。タイトル戦の舞台へ慣れる間もなく、カド番に追い込まれた苦境の出口六段ですが、何とかして一矢を報い、大逆転への足掛かりに結びつけたいところです。

■藤井叡王、驚きの手損作戦

午前9時に始まった対局は、第1局・第2局・第2局指し直し局に続き4度目の相掛かりの戦型になりました。後手の出口六段は7四の横歩を取らせる作戦を採用、途中までは昨期の叡王戦第5局▲藤井二冠-△豊島将之叡王をなぞる展開となりました。前例から離れた直後、藤井叡王は6八に上がった玉を▲5八玉と一手損の移動、その少し後に▲6八玉とさらに玉を戻し、玉の動きで都合2手損となりました。

角換わりなどの戦型でお互いに手詰まりになることが想定される場合は、あえて手損をして間合いを測る高等技術があり、これはプロの対局ではよく見かけるものとなりました。しかし本局はまだ速攻の含みもある状況です。しかも、ただでさえ藤井叡王は横歩を取る動きのため飛車を2四-7四-7五-2五-2九と5手かけて動かしており、手が遅れている印象がある中、さらに手損を重ねるのは非常に大胆な動きです。

藤井叡王は▲5八玉に4分、▲6八玉には5分というわずかの考慮で指しています。時間の使い方を見る限りでは予定の行動といえるでしょう。これからの藤井叡王の構想が注目されます。

本局はチェスクロック使用で持ち時間4時間。対局終了は本日夕方以降になる見込みです。

前日検分でインタビューを受ける藤井叡王(提供:日本将棋連盟)

相崎修司(将棋情報局)

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