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藤井聡太王位への挑戦権を懸けて争われる、お～いお茶杯第63期王位戦（主催、新聞三社連合）の挑戦者決定リーグ紅組の豊島将之九段―佐々木大地六段戦と黒沢怜生六段―伊藤匠五段戦が４月22日に東西の将棋会館で行われ、佐々木六段と伊藤五段が勝利しました。

まずは豊島―佐々木戦から。本局の一週間前に近藤誠也七段との無敗対決を制した豊島九段は３勝０敗で佐々木戦を迎え、ここで勝てば最低でもプレーオフは確定します。対して佐々木六段は１勝２敗と苦戦しており、リーグ残留には残る２戦の連勝が必須です。この一戦は豊島九段の先手で角換わりとなりました。

中盤、豊島九段が銀交換を実現します。攻めの銀と守りの銀の交換は攻めている側の得としたもので、この時点では豊島九段が指しやすくなっていました。しかし、その後に攻め急ぎが生じた結果、佐々木六段の52手目△２六角が攻防に利く絶好手となり、形勢が入れ替わります。最後は先手の攻めが切れた瞬間に逆襲に出た佐々木六段が大きな勝利を手にしました。

続いて黒沢―伊藤戦に目を移します。ここまで２勝１敗の伊藤五段は、最終戦に豊島九段戦を残しているのが大きく、自力で挑戦者決定戦進出を決めることが可能です。対して１勝２敗の黒沢六段は、前述の佐々木六段同様、リーグ残留にはもう１敗もできません。本局は先手の黒沢六段が中飛車に振り、急戦の将棋となりました。中盤で伊藤五段が先手の飛車を捕獲すると、その結果として飛車銀交換となりますが、黒沢六段は手にした銀を元に飛車を取り返します。以下も駒を取ったり取られたりが繰り返され、局面が目まぐるしく動きます。お互い、手にした金駒を自陣に打ち付ける順が続き、本格的な囲いが組みあがる前に開戦したはずが、いつの間にかお互いの玉がものすごく堅くなっていました。

どちらが先に堅陣を崩すかですが、伊藤五段の放った104手目の△５八銀が見た目以上に厳しい一着でした。次に△４九銀成が実現すると先手陣は崩壊しますが、それをうまく受ける手段がありません。黒沢六段は▲７九桂と、５八の銀を支えている６七の馬に働きかけますが、伊藤六段は構わずに△４九銀成を決行し、ほどなく黒沢六段を投了に追い込みました。

この結果、紅組は３勝１敗で豊島九段、近藤七段、伊藤五段が並びました。上記で触れた通り、リーグ最終戦で豊島―伊藤戦があります。近藤七段が佐々木六段との最終戦に勝利すれば、豊島―伊藤戦の勝者とのプレーオフが実現します。紅組を制して挑戦者決定戦へ進出を果たすのは誰になるでしょうか。

紅組首位に並んだ伊藤五段（写真は第52期新人王戦三番勝負第２局のもの　提供：日本将棋連盟）

相崎修司（将棋情報局）

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