執筆したのは大学生! 『早指しのコツ~秒読みで負けない感覚と技術~』|将棋情報局

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執筆したのは大学生! 『早指しのコツ~秒読みで負けない感覚と技術~』

きっかけは雑談から

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本を読み終わって、奥付の著者プロフィールを見たとき、「この人、若っ!」と驚いた経験はないでしょうか。もしかすると、本書でそのように感じた方がいらしゃったかもしれません。

最近、弊社ではアマ強豪に執筆をお願いすることが増えましたが、みなさん社会人。しかし、『早指しのコツ~秒読みで負けない感覚と技術~』は、弱冠20歳の学生によって世に出ました。当然、私にとっても初の試みでした。ここでは、書籍の内容を紹介しながら、どのようにして制作していったのかをお話ししていきましょう。

残業時間の即決

ネット将棋・早指しをテーマにした書籍はどうだろう―。 2020年6月某日、時刻は午後9時。静まり返ったオフィスで、私は上司とそんな雑談をしていました。テーマの性質上、著者はプロよりアマチュアが向いている。しかし誰が良いのか。そんなとき、ふと木村孝太郎さんの顔が浮かんだのです。

木村さんは、早指し棋戦の銀河戦でプロに4連勝した実績がありました。アマトップクラスの棋力であることはもちろん、木村さんとは過去に対局した経験からも声を掛けやすかったので、すぐにオファーをしました。大学生だから執筆の時間があるだろう、などという下心を含んでいたことは口が裂けても言えません。

現実を見た

さて、木村さんに快く引き受けていただいたのですが、問題はここからでした。当時、私は新卒入社3ヶ月目で、右も左も分からない状態でした。その私が、大学生の担当をするのです。そんなに経験も年齢も変わりません。自分で本当に大丈夫か?指し過ぎだったか?もう少し長考すべきだった?などと心配に駆られましたが、待ったはできません。なんとか指し切ろう、そう覚悟して臨んだのです。

「実戦的」を追求

しかし、打ち合わせから執筆まで、すんなり進んでいきました。

漫画やドラマで見るような、殴り合いの喧嘩をすることはなく、(そもそもそういう会社ではありません。)木村さんの早指しのテクニックに驚くばかりでした。

本書では優勢を拡大する指し方と劣勢を捲る指し方それぞれを解説しています。2つほど紹介しましょう。

局面は中盤戦。自玉周りを固めて負けにくくしようということです。普通の考え方ですが、アマチュア向きの指し方ですよね。 そしてこれ。

劣勢の終盤戦では、攻守を交互に繰り出して、相手の判断ミスを狙う。実戦心理を踏まえた指し方です。

このように、本書は人間同士の対局を意識して書かれています。心理戦に焦点を当てるのは目新しいですね。AIによる技術面の進歩が著しい現代だからこそ、メンタルにアプローチする指し回しは有効かもしれません。

反響

刊行後の反響について。 読者の反応が気になりましたが、好意的なご意見が多く、ありがたい限りです。 また、著者の地元の新聞にも本書を紹介していただきました。ニュースとして取り扱ってくださりましたこと、この場を借りて御礼申し上げます。

最後になりましたが、試合巧者を目指している方は、ぜひご一読を!

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