藤井竜王のA級昇級が懸かった一戦は「鬼門」の横歩取りに 第80期順位戦B級1組 |将棋情報局

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藤井竜王のA級昇級が懸かった一戦は「鬼門」の横歩取りに 第80期順位戦B級1組 

昇降級を大きく左右するラス前の大一番

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第80期順位戦B級1組(主催:朝日新聞社、毎日新聞社)の12回戦が2月3日に、東京・大阪の将棋会館で一斉に行われています。本日の組み合わせは下記のとおりです。

▲藤井 聡太竜王(8勝2敗・11位)-△阿久津主税八段(3勝7敗・10位)

▲松尾  歩八段(2勝8敗・9位)-△稲葉  陽八段(7勝3敗・1位)

▲郷田 真隆九段(5勝5敗・4位)-△佐々木勇気七段(7勝3敗・12位)

▲屋敷 伸之九段(5勝5敗・8位)-△横山 泰明七段(6勝5敗・13位)

▲久保 利明九段(3勝7敗・6位)-△三浦 弘行九段(5勝5敗・2位)

▲木村 一基九段(3勝7敗・3位)-△近藤 誠也七段(4勝6敗・5位)

抜け番:千田 翔太七段(8勝3敗・7位)

上位2名がA級に昇級し、下位3名がB級2組に降級します。本局を含め今期順位戦は残り2局。1局1局の結果が昇降級に直結する最終コーナーに差し掛かりました。

■混戦の昇級争い

現時点で昇級の可能性を残しているのは藤井竜王、稲葉八段、千田七段、佐々木七段の4人です。前節で千田七段に苦杯を喫した藤井竜王ですが、いまだ唯一の2敗で首位に立っています。が、3敗勢に藤井竜王より順位が上の稲葉八段・千田七段がいるため、1局落とすと昇級圏外になる可能性があります。一方、本局で藤井竜王が勝ち稲葉八段が敗れると、1局残して藤井竜王の昇級が確定します。

■大一番は横歩取りに

藤井竜王は阿久津八段との対戦です。本局は後手の阿久津八段が誘導し、横歩取りに進んでいます。「横歩取り」とは、お互いの飛車が中段にとどまって、飛車角桂馬を中心とした空中戦になることが多い戦型です。お互いの玉が薄いので一手一手の価値が高く、一発のパンチで一気にKOまで持っていかれる可能性も十分にはらむスリリングな戦いが予想されます。

横歩取りは、ここ数年のタイトル戦ではあまり登場しなくなってきています。それは先手番の「青野流」と呼ばれる攻撃的な対策が優秀で、後手側に工夫が求められている状態のためです。阿久津八段がこの大事な1局で横歩取りを選択したということは、入念な準備の裏付けがあることは想像に難くありません。一方藤井竜王もこの戦型選択は十分に予想してきたでしょう。

これまで藤井竜王は横歩取りの将棋を19局戦っており、11勝8敗という成績が残っています。毎年8割越えの勝率が当たり前の藤井竜王にとっては「鬼門」とも言える戦型です。

藤井竜王の横歩取りの将棋といえば、2020年9月22日に行われた王将リーグの▲藤井竜王-△羽生善治九段戦を思い浮かべる方もいると思います。鋭手△4八歩をきっかけに羽生九段が抜け出し、最後は見事な即詰みに討ち取った一戦で、この期藤井竜王は王将リーグ陥落の憂き目を見ています。とはいえ藤井竜王もその敗局以降は横歩取りの将棋でも6戦6勝。もはや横歩取りへの苦手意識は払拭しているかもしれません。

注目の一戦は持ち時間6時間で行われ、終局は本日深夜または翌日未明になる見込みです。

唯一の2敗で首位に立つ藤井竜王 (写真は第80期順位戦B級1組6回戦のもの 提供:日本将棋連盟)

大石祐輝(将棋情報局)

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