藤井竜王が快勝で1敗をキープ、順位戦B級1組|将棋情報局

将棋情報局

藤井竜王が快勝で1敗をキープ、順位戦B級1組

狙われた金がトドメの駒に

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中

渡辺明名人への挑戦権を争う第80期順位戦、(主催、朝日新聞社・毎日新聞社)、11月16日にはB級1組の藤井聡太竜王―松尾歩八段戦が東京・将棋会館で行われました。結果は89手で藤井竜王が勝ち、リーグ成績を7勝1敗としました

B級1組の藤井竜王は全勝の佐々木勇気七段に続く二番手。自力昇級の圏内とは言え、順位上位の2敗に千田翔太七段がいるため、ここで敗れるとA級昇級が遠のく状況でした。

■最強の応酬

本局は藤井竜王の先手番で、相掛かりに。そこから角交換が行われたことでお互いの飛車先が交換されている角換わりのような形とも言えます。夕食休憩の直前に指された松尾八段の△5五銀が、先手から動かれることを百も承知で、あわよくばリードを奪いに行こうという力強い一着でした。対して藤井竜王も▲6五桂と最強の応手で臨みます。以下、この銀と桂が交換となる展開に。これだけでは後手の駒損ですが、代わりに松尾八段は先手玉を不安定にすることに成功しました。そして取った桂を使って王手銀取りを掛けます。こうなると駒損を回復し、玉を不安定にさせたという実利だけが後手に残るとしたものですが……。

■後手の攻めが空を切る

果たして、△8六桂と銀を取り返した瞬間は後手の桂得。さらに銀を取った桂が金にも当たっているという、一目は後手を持ちたくなる局面でした。ところがここで金取りをかわす、▲7七金とフワリと立つ一手が好手。これを指されてみると後手の攻めが空を切った格好です。以下も松尾八段は手を尽くしますが、藤井竜王の着手は正確で、ついに一息入れざるを得なくなりました。

後手の攻めが止められた局面、駒の損得は歩の枚数を除くと全くないのですが、後手の持ち駒が歩1枚だけなのに対し、先手は角銀桂歩と豊富です。それを生かして▲7一角から攻めに転じた藤井竜王は、あっという間に松尾八段を投了に追い込みました。最終手の▲7五金は、前述した▲7七金が▲8六金、そしてもう一マス進んだ形で、狙われていた守備駒を攻め駒に使って勝つというのも「勝ち将棋鬼のごとし」と言った進行です。

藤井竜王は竜王としての初陣を白星で飾りました。タイトル戦の連戦による疲れなど、全くなさそうです。次の対局は19日に行われる王将リーグの近藤誠也七段戦で、勝てばリーグの一戦を残して挑戦が決まります。若き竜王の快進撃はどこまで続くのでしょうか。

竜王獲得後初めての対局を制した藤井竜王(提供:日本将棋連盟)

相崎修司(将棋情報局)

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
将棋情報局では、お得なキャンペーンや新着コンテンツの情報をお届けしています。