藤井聡太二冠が豊島将之叡王に先勝! 驚きの辛抱から終盤一気に抜け出す 第6期叡王戦五番勝負第1局|将棋情報局

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藤井聡太二冠が豊島将之叡王に先勝! 驚きの辛抱から終盤一気に抜け出す 第6期叡王戦五番勝負第1局

王位戦を含め、十二番勝負を戦っている藤井二冠と豊島叡王。これで藤井二冠が3連勝

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豊島将之叡王に藤井聡太二冠が挑戦する将棋のタイトル戦、第6期叡王戦(主催:株式会社不二家)五番勝負第1局が7月25日に東京都「江戸総鎮守 神田明神」で行われました。結果は95手で藤井二冠が勝利。タイトル奪取に向け幸先のいいスタートを切りました。


第6期叡王戦五番勝負の勝敗表

両者は王位戦七番勝負を並行して戦っており、2つのタイトル戦を合わせて夏の十二番勝負の真っ最中。王位戦では藤井二冠が開幕戦に敗れたあと、2連勝としています。

前期は豊島叡王が4勝3敗2持将棋(1千日手)の死闘の末、永瀬拓矢王座からタイトルを奪取した叡王戦。今期から主催が不二家に変更になり、それに伴って棋戦方式も変わっています。タイトル戦は七番勝負から五番勝負に。そして持ち時間は変動制からチェスクロック方式の4時間固定となりました。

開幕局のため行われた振り駒で、先手になったのは藤井二冠。藤井二冠は王位戦第3局に続いて角換わりを連採しました。

先手番角換わりは藤井二冠がデビューしてからずっと得意としてきたエース戦法です。ところが、昨年7月9日に行われた第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局での敗戦を最後に、1年以上採用していませんでした。1年ぶりの実戦投入となった王位戦第3局で勝利を収め、藤井二冠は手ごたえを得たのでしょうか。中2日での連投となりました。

両者が少し欲張った駒組みをした結果、序盤から飛車角交換の乱戦になりました。豊島叡王は飛車2枚、藤井二冠は角2枚で戦う形に。互いに大駒を自陣に打ち込まれないよう、細心の注意を払いながら陣形を整えていきました。

戦いが起きたのは2筋でした。藤井二冠が歩を▲2四歩と垂らすと、それに合わせるように豊島叡王も△2七歩と打っていきます。△2七歩は▲2九歩の受けが利かなくなった絶妙のタイミングでの垂らしです。

次に△2八歩成とと金を作られてしまうと、先手陣はガタガタになってしまいます。そうかと言って、歩を銀で取ると今度は飛車を打ち込まれて先手不利。先手の対応が難しそうに見えたところで、藤井二冠はなんと▲3九角と打ちました。

この角は△2八歩成を受けただけの一手です。本来なら攻めに使いたい大駒を、ここに投入してくるとは。多少の棋力がある人なら、受け一方の角打ちは良くないという先入観から、この角を打たないか、打たなくてすむような手の組み立てをするでしょう。▲3九角を打てるのは、藤井二冠並みの棋力の人か、逆に大駒の価値が分かっていない初心者かと言えそうです。それほどまでに非凡な構想でした。

豊島叡王はこの角を封じ込めるために6筋を突き捨てた後、△5五銀直と上がって盤上中央を制圧します。長引けば長引くほど、戦力の差で後手が良くなっていく局面です。

ゆっくりしていられない藤井二冠は、▲2三歩成と成り捨ててから、角を打って2筋から攻め込んでいきます。歩を持っていない相手に歩を渡す攻め。もう退くことはできません。

藤井二冠が歩で金を入手した間に、豊島叡王は歩で桂を入手。そして△2八歩成と歩を成り捨てて、△2四飛で角の両取りをかけました。駒の損得だけなら角桂と金の交換で豊島叡王が駒得です。しかし、2八の竜が一瞬、攻めにも受けにも利かない中途半端な駒になっています。

2八竜が働いていないため、乱暴に言えば、後手は持ち駒の飛車が角に変わっただけとも評価できます。そして角を取るために後手が手数を要した間に、先手は敵玉近くに馬とと金を作ることに成功しました。藤井二冠が打った3九角は、取られることによって立派にその役目を終えたのです。

馬とと金でヒタヒタと豊島玉に迫っていく藤井二冠。豊島叡王は馬を取りに行く受けで応対しましたが、これが敗着になったようです。玉を早逃げして、相手の攻め駒から遠ざける方が勝りました。

馬は失ったものの、金と桂を入手した藤井二冠。早速桂を打って豊島玉に詰めろをかけてから、金2枚を連続して盤上に打ち付け、相手の飛車を奪います。これで攻めが途切れることがなくなりました。

攻め合いは望めない豊島竜王は2八竜を自陣に引き揚げて受けに回りますが、藤井二冠の攻めは正確。着実に豊島玉を追い詰めていき、最後豊島叡王が反撃に出たタイミングで、相手玉を即詰みに打ち取って勝利となりました。

本局は藤井二冠の常識外の受けが光った一局でした。いったん相手の攻めを受け止めてから、攻め合いに持ち込んで一気に寄せ切る、まさに横綱相撲の会心譜となりました。

この勝利で藤井二冠は王位戦と合わせて、対豊島戦3連勝。王位戦開幕前は1勝6敗と大きく負け越していましたが、4勝7敗にまで星を戻しています。豊島叡王としては早く連敗を止めて、悪い流れを断ち切りたいところでしょう。

両者による夏の十二番勝負の日程は以下の通りです。王位戦はしばらく中断で、叡王戦の対局が続きます。

8月3日:叡王戦第2局
8月9日:叡王戦第3局
8月18、19日:王位戦第4局
8月22日:叡王戦第4局
8月24、25日:王位戦第5局
9月6、7日:王位戦第6局
9月13日:叡王戦第5局
9月28、29日:王位戦第7局


開幕局を制した藤井二冠(提供:日本将棋連盟)

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