藤井聡太二冠が山崎隆之八段を破って竜王戦決勝トーナメントベスト4に進出 緩急自在の完璧な受けを披露|将棋情報局

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藤井聡太二冠が山崎隆之八段を破って竜王戦決勝トーナメントベスト4に進出 緩急自在の完璧な受けを披露

次局では挑決三番勝負進出を懸けて、久保利明九段-八代弥七段の勝者と対戦

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第34期竜王戦(主催:読売新聞社)決勝トーナメントの▲山崎隆之八段(1組3位)-△藤井聡太二冠(2組優勝)戦が7月10日に関西将棋会館で行われました。結果は94手で藤井二冠が勝利。竜王戦では自身初のベスト4進出を決めました。


第34期竜王戦決勝トーナメント表

振り駒の結果、山崎八段が先手番となり、戦型は相掛かりになりました。山崎八段は飛車先の歩を交換した後、飛車を2五に構えます。そして飛車の横利きを生かして5五の位を取り、銀でこの位を支えました。

5八玉の頭に5六銀、5七銀と銀2枚が乗っかる珍しい陣形の山崎陣に対し、後手の藤井二冠は金銀を自陣三段目以内に収める低い陣形で対抗します。攻めの形としては6筋と7筋の位を取って、先手の角を封じつつ、中段飛車の横利きを通しました。

後手に先攻される前に、先手の山崎八段は▲7六歩△同歩▲6六歩と後手の位に反発していきました。相手が△8四飛と浮いたタイミングで、その飛車を目標にしつつ角を働かせる狙いです。

対する藤井二冠は△4一玉と引いて玉を戦場から遠ざけます。そして△5四歩と突いて、いよいよ本格的な戦いに突入です。

この構想を藤井二冠は局後に「△4一玉から△5四歩と瞬間の堅さを生かして攻めていければと思ったんですけど、その後先手玉の広さを生かされる展開になってしまった。終盤は自信のない局面が長かった気がします」と振り返りました。確かに本譜は、山崎八段の攻めを誘発することになりました。

山崎八段は一度▲6六角と飛車取りに角を飛び出してから、▲5四歩と取り込んで角交換を挑みます。相手に5筋を歩と銀で制圧される代償に、藤井二冠は△7六歩と打って桂の入手を確定させました。

65手目、山崎八段は残り30分の持ち時間のうち、12分を使って▲2六角と打ちました。6二の金取りをかけつつ、5三の地点を狙う味のいい一手です。素人目には攻めが決まったように見えましたが、ここからの藤井二冠の受けが正確でした。

まず、△7二金と寄って金取りを受けます。ここでは金を引く手もあるところ。金が玉から遠ざかるだけに読みにくい手ですが、最善だったようです。山崎八段は「角(▲2六角)が利けばちょっとはいいんじゃないかなと。利くか考えてて、時間を使いすぎて。金寄り(△7二金)を軽視していて、しまったなと。ちょっと考えすぎてしまった。角を打つなら早めに打っとくんだったなと。そのあたりで決断が遅かった。(読みの)本命ではない変化になってしまって、その後間違えたのかなと」と終局直後のインタビューで語りました。

しかしながら、薄くなった5三の地点を狙う山崎八段の攻めは迫力満点。歩を成り捨てて銀をおびき寄せてから▲4五桂と跳ねていきます。藤井二冠はここはしっかりと△5二歩と受け、▲5三桂成△同歩▲5四歩の攻めに対しては一転、△7七歩成と踏み込んでいきました。5三にと金を作られてしまうだけに、怖い順です。

と金を作られた手に対しても、藤井二冠は△7八とと金を取って攻めていきます。そして▲2二歩と攻めてこられたタイミングで、銀でと金を払いました。▲5三同角成で銀を取られつつ馬を作られてしまいますが、そこで△5二歩が受けの決め手。これで相手の攻めをシャットアウトしています。

馬を逃げていては勝負にならないとみた山崎八段は、銀と馬を捨てて藤井玉を薄くします。さらに桂を入手して藤井玉を寄せようとしますが、藤井二冠の反撃は鋭く、正確でした。自玉に詰めろがかからないことを読み切って、飛車を成り込んで攻めていきます。そして、角打ち、桂捨ての2手で一気に山崎玉を受けなしに追い込み、勝利を収めました。

本局は5筋の攻防が見どころの大熱戦でした。山崎八段の攻めに対し、藤井二冠の受けの強さが光りました。受けと言っても受け潰して完封するタイプのものではなく、受けるべきところでは受け、手抜けるところでは攻めに転じるという、メリハリのある受けでした。受けの手を指すタイミングが少しでもずれていたら、結果は逆になっていたかもしれません。それだけ藤井二冠の受けは正確でした。

1時間以上行われた感想戦で、山崎八段が良くなる順は見つかりませんでした。ではどこがまずかったのか。ABEMAの中継で表示されていたAIによると、藤井二冠が△7二金とかわした手に対し、▲8五桂!という手を指していれば互角だったようです。いざ攻めようというタイミングで、桂をタダで取られる位置に跳ねるという驚愕の一手。ここまで何時間も集中して盤に向かい、持ち時間も切迫している中で、到底発見できるものではありません。

異次元の手を引っ張り出さないと本局の山崎八段の敗因を語れないとは。山崎八段にとっては不運だったと言わざるを得ません。逆に言えば、このような手を指さなければ勝てないほどに、本譜の藤井二冠の指し回しは完璧だったということです。

この勝利で藤井二冠はベスト4に進出です。「竜王戦ベスト4まで進んだのは初めてだと思うので、次は非常に大きな一局になりますけど、しっかりいい状態で臨めるようにしたいと思います」と藤井二冠。次局では挑決三番勝負進出を懸けて、久保利明九段(1組2位)-八代弥七段(2組2位)の勝者と対戦します。


大熱戦の将棋を制した藤井二冠

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