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細かすぎて伝わらない!『令和3年版将棋年鑑』藤井聡太インタビューの微妙なニュアンスの補足 第2回

(1)タイトル保持者とは?
(2)同じと思ったら違う
(3)素敵な片思い

『令和3年版 将棋年鑑 2021』予約受付中! トレカ、小冊子、動画など限定特典満載 こんにちは。「喜びは分かち合うことによって倍になり、悲しみは分かち合うことによって半分になる」でおなじみの編集部島田です。

『令和3年版将棋年鑑』に掲載する藤井聡太二冠インタビュー。そのインタビュー時の藤井二冠の微かな息遣いまで(島田のフィルターを通して)再現する野心的な試みの第2弾です。



第1弾が想像以上に気持ち悪かったと思うので、今これを読んでいるあなたは「気持ち悪さのふるい」を通過してきた勇者ですね(笑)。まだ30人くらいは残っていると信じて書き進めていきます。

さぁ、では今宵もまいりましょう。
第2回のMENUはこちらになります。
 
(1)タイトル保持者とは?
(2)同じと思ったら違う
(3)素敵な片思い

今回も和・洋・中、すべて取りそろえております。
早速(1)からいってみましょー!

(1)タイトル保持者とは?

今まさに棋聖のタイトル戦を戦っている藤井二冠。タイトル保持者として初めての番勝負となるわけですが、インタビューでは藤井二冠のタイトルに対する一風変わった考え方が披露されました。

――挑戦と防衛では違いがありますか?
「防衛というと維持か減るかどちらかということになってしまうんですけど(笑)、タイトルを取るかどうかについてはスーパーシードで決勝戦から出られるということではあるので、減るかどうかではなく、それ自体がありがたいことだと思って、そういう意識でやりたいと思います」

・・・どうですか?すごく面白いと思いませんか?
まず、タイトル保持者はタイトルを維持するか減らすかしかない。0かマイナスしかないという見方が面白いです。タイトルを持ってるってすごいことだと思うんですけど、それに対する気負いやプレッシャーを全く感じさせない数学的視点。

言われてみると確かに、タイトルを持っている人は0かマイナス1、逆にタイトルを持っていない人は0かプラス1なので、あれ?タイトル保持者ってそんなによくないのか?とさえ思えてきます。

さらに面白いのが後半で、タイトルホルダーというのはそのタイトル戦を一つのトーナメントとしてみた場合、いきなり決勝戦から出てくるスーパーシードだと。

・・・なるほど確かに。そういう見方があるんですねぇ。そう考えるとやっぱりタイトル保持者っていいのかなと思えてきます。

この短い回答の中で2つの両極端な視点を提示しているわけですけど、2つとも全く考えたことがなかったので、聞いていて振れ幅がスゴイ(笑)。
頭いいなぁ~と思いつつ、ここでも藤井二冠の手のひらの上で踊らされる私。

前回の明太子の細巻きもそうでしたけど、藤井二冠は普通の人とはちょっと違った視点で世界を見ているようです。


(2)同じと思ったら違う

さて、続いては「同じと思ったら違う」です。これはあれ?藤井先生、私と一緒じゃん!と思った次の瞬間に「やっぱり違うか」と思わされた部分です。こちらになります。

――テレビやネットを見ていて気づいたら夕方になっていたことはありませんか?私はそうなんですが(笑)。
「時計を見て、時間を浪費しないように気を付けています。スマホなどは危険なので・・・」
――スマホに集中して電車を乗り過ごしたことは?
「奨励会の頃なんですけど、ネット対局をやっていて乗り過ごしたことはあります」

スマホでネットを見ていたら時間がたつのを忘れてしまう。
ネット対局をしていたら電車を乗り過ごしてしまった。

ここまでは完全に私も一緒だったんです。私も藤井二冠と同じことがあったのかと思って喜んでたんですけど、喜びもここまででした。この回答には続きがあります。

「奨励会の頃なんですけど、ネット対局をやっていて乗り過ごしたことはあります。対局が終わらないと降りるのは難しいので(笑)。気付いていても降りられないという」
――あ!駅に着いたことに気づかずに乗り過ごしたのではなく、わかっていたのに降りなかったんですね。
「はい。ただ、それで負けたらアツいですけど(笑)」
――損に損を重ねてますからね(笑)。

いやいやいや、気づいてるのに降りないってどういうことですか! ネットでどんな対局してても気づいたら慌てて電車から降りるでしょう。

うーん。やっぱり違いますね、藤井二冠は。指しかけの将棋があったら、何があろうと最後まで指すという強い意志を感じます。

私、「損に損を重ねてますからね(笑)」とか笑ってますけど、これを言っているとき一抹の寂しさが心に宿ったことを覚えています。


(3)素敵な片思い

さて、本日のラストオーダーは「素敵な片思い」です。先に断っておきますが、ここからかなり気持ち悪くなりますので心の準備をお願いします(笑)。

ベタな質問シリーズで、「好きな動物」を聞いたときの一幕です。

――好きな動物はなんですか?
「動物に馴染みがないんです。あえて言うなら猫ですかね。猫は家の庭でたまに見ることがあるんですけど、目が合った瞬間逃げられちゃうので、向こうからは好かれてないと思います(笑)」

猫が好き。でも目が合った瞬間逃げられちゃうので、向こうからは好かれてない。って、藤井先生、どんだけ可愛いんすか・・・!



・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・



(矢倉で△5四歩を保留する指し方については、これでよし)

研究がひと段落したところでパソコンのモニターから目を離した。

時計を見るともう4時になっている。思ったより時間が過ぎていた。

少し休憩、とコーヒーに手を伸ばしたそのとき、家の庭から塀の上にジャンプする一匹の猫が見えた。

黒とグレーの縞模様の猫だ。最近庭に来るのをよく見かける。スマートな体、軽やかな身のこなしが好きだった。

優雅に塀の上を歩く様子を眺めていると、不意に猫が振り返って目が合った。

綺麗な目。

好意を伝えようと微笑んでみた。が、次の瞬間プイっと顔を背けて塀の向こうに飛び降りてしまった。

(・・・また振られちゃったか)

苦笑してパソコンのモニターに視線を戻す。

コーヒーを一口飲んで腕まくり。
もうひと踏ん張り。次は、角換わりだ。



・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・


危ない危ない! 妄想世界の彼方に走り出すところでした。
ただいま、現実世界に戻ってまいりました。

いったん落ち着いて、改めて藤井二冠の回答を見てみましょう。

――好きな動物はなんですか?
「動物に馴染みがないんです。あえて言うなら猫ですかね。猫は家の庭でたまに見ることがあるんですけど、目が合った瞬間逃げられちゃうので、向こうからは好かれてないと思います(笑)」

ここで私が好きなのは「逃げられちゃう」ですね。「逃げられてしまう」じゃなくて、「逃げられちゃう」。

非常に微妙なニュアンスなんですけど、ここに猫に対する無邪気な好意と若干の照れを感じるのは私だけでしょうか。私だけかもしれません(笑)。

ちなみに「向こうからは好かれてないと思います(笑)」というところも、たまらなく好きですね。

片思いで、両思いになりたいけど全然脈がない。でもそれでいい、みたいな。そしてちょっと照れてるっていう。

相手猫ですからね。

良すぎますよね。

しかもこの回答には続きがあります。

――猫のどこが好きですか。
「猫以外見ないので(笑)。野良犬って最近いないじゃないですか。猫は完全な野良かはわからないですけど、いるので」

動物の中で猫が好きなのは、猫以外見ないから。
いいですね~。シンプルでいい。

動物園で見たライオンとか、パンダとか、そういうのじゃないんですよね。
自分の周りにいないとダメ。

これを聞いて少し安心したのは、藤井二冠はアイドルとか、タレントとか、そういう人を好きにならないで、自分の周りにいて気ごころが知れた人を好きになるんだなと。ちゃんと性格を知った上で付き合う、みたいな。

いやいや、誰目線だよ、お母さんかよって感じなんですけど(汗)

将来、両想いになった猫のような、素敵なお相手が見つかるといいなーと、将棋と全く関係ない夢(妄想)を抱きつつ、連載第2回の締めのご挨拶とさせていただきます。

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一部脱線がありましたが(笑)、皆さん楽しんでいただけましたでしょうか?

まだついてきてくださる方がいるようでしたら第3回でお会いしましょう。


(いつか来るかもしれない第3回に続く)



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