細かすぎて伝わらない!『令和3年版将棋年鑑』藤井聡太インタビューの微妙なニュアンスの補足 第1回|将棋情報局

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細かすぎて伝わらない!『令和3年版将棋年鑑』藤井聡太インタビューの微妙なニュアンスの補足 第1回

(1)おにぎりの弱点
(2)コンマ1秒のじらし
(3)チーム永瀬は回避

電子書籍やソフトが大幅割引! 将棋情報局夏祭り開催中 こんにちは。「わずかなもので満足できぬ者は、何ものにも満足できぬ」でおなじみの編集部島田です。

昨年から始めたこの連載。今年も読んでくれる方がいると信じて書き綴っていきたいと思います。



例年通り『将棋年鑑』の巻頭特集で藤井聡太二冠のインタビューを行いました。渾身の特集なのでぜひ読んでいただきたいと思うのですが、インタビューを文字にしてしまうと色々なものが失われてしまうのも事実。それは会話の間であったり、語気の強さだったり、雰囲気や表情だったりします。そういう微妙なニュアンスを補足しようというのが本稿の試みです。

ただ、問題はそのようなニュアンスには多分に「個人の解釈」が含まれるということです。私の場合、藤井聡太二冠が好きすぎるので、気持ち悪い解釈になることが多々あります。温かい目で見守っていただければ幸いです。

さぁ!では参りましょう。
本日のMENUは以下の通りです。
 
(1)おにぎりの弱点
(2)コンマ1秒のじらし
(3)チーム永瀬は回避

早速(1)から行ってみましょー!!

(1)おにぎりの弱点

はい。まずは「おにぎりの弱点」です。これは藤井二冠の独特の視点が垣間見える部分で、インタビューの以下のやり取りに表れます。

――続いて、好きなおにぎりの具は?
「おにぎりの具・・・。明太子ですね。ただ、おにぎりって結構具に当たる比率が低い、ご飯だけの部分が多いので、おにぎりよりも細巻きのほうが好きです。細巻きは常に具があるので」

「おにぎりは具に当たる比率が低い」「細巻きは常に具がある」なるほど。
これまで生きてきて一回もこういう風に考えたことがなかったので、すごく新鮮でした。

ここで細かい補足として言っておきたいのは、質問は「好きなおにぎりの具」で藤井二冠の答えは明太子だったわけですけど、「明太子ですね」と「ただ」の間隔がほとんど0秒だったったんです。「ただ」から先が早く言いたかったんですね。つまり、藤井二冠が主張したかったのは「自分の好きな具は明太子である」ということではなく、「おにぎりは具に当たる比率が低い」というこちらの部分。

考えてみると、「おにぎりについてどう思うか」ということについては全く質問していないわけですからね。よほど言いたかったんだなと(笑)

さて、この会話には続きがあります。

――では、明太子の細巻きがベスト、ということになりますね。
「でも明太子の細巻きってあまりないですよね」
――確かにありませんね。提案しましょう。藤井先生が提案したら話題になって商品化されるかもしれません。藤井聡太開発、明太子の細巻き。
「(笑)」

と、いうわけで、できました。藤井聡太開発の新商品「明太子の細巻き」。
これをきっかけにどこかのコンビニで発売されたりしないですかね?(笑)


(2)コンマ1秒のじらし

続いては「コンマ1秒のじらし」です。先に言っておきますと、これについてはかなり気持ち悪くなります(笑)。

以下のやり取りで表れます。

――朝日杯、銀河戦、アベマTVトーナメントと早指しでも結果を残された1年でした。
「早指し棋戦に関しては今年特に内容が良かったというわけではないので。結果が出たのは幸運だったと思っています」

はい。一見して何の変哲もないやり取りなんですが、コアな藤井ファンの皆様ならピンとくるものがあるかもしれません。藤井二冠には数々の「藤井語録」がありますが、その中でもデビューから20連勝を達成した対局後の「連勝できたのは僥倖としか言いようがない」は特に有名です。当時中学生だった藤井四段が「僥倖」という難しい言葉を使ったことが大きな話題になりました。今となっては懐かしいですね。

さて、それを踏まえて藤井二冠の回答を見てください。そうなんです。この回答の「幸運」のところは、「僥倖」を使うのに絶好のタイミングなんです。

そして、私だけが感じたんだと思うんですが、この「幸運」を言う前にほんのわずか、コンマ1秒の間があったんですよね。その一瞬、私は「あ、これ僥倖出るかも!」と思いましたよ。期待しましたよ。

・・・でも言ってくれないんですよね。「幸運だったと思っています」。くぅ。いけず。

さっきの一瞬の間は何だったんだよ!そう思いましたね。

藤井二冠の頭の良さを持ってすれば、私が「僥倖」のフレーズを知っていることも、藤井二冠の口からそれが発せられるのを待っていることも、わかっていたはずです。その上で手のひらで踊らされる私。

でも、この直後、もう一回ビックチャンスが巡ってきました。

以下の部分です。

――朝日杯はいかがでしょう?
「特に準決勝、決勝は苦しい時間が5割超えていたので、優勝は・・・」

さっきは早指し棋戦全般についての質問でしたけど、今度は朝日杯に限った質問です。朝日杯と言えば皆さんも記憶に新しいでしょう。準決勝・決勝で見せた奇跡の2連続大逆転。
「苦戦だった」ということを「苦しい時間が5割超えていた」と表現するのも面白いなと思いましたが、そう。朝日杯の優勝こそ「僥倖」そのものじゃありませんか!

しかもまたもや「優勝は」のあとの一瞬の間。これは来た!そう思いましたよ。

結果は!?

「・・・幸運だったとしか言いようがなかったと思います」

ちくしょーーーー!!!しかも今度は文末を「僥倖としか言いようがない」に寄せてきてるし!完全に確信犯でしょ、先生!

いや、正直かなり妄想ではあるんですけど、今回の「幸運」2連発のわずかの間で藤井二冠と

「島田さん、僥倖って言ってほしいんでしょ?」
「はい、先生、言ってほしいです!」
「やですー」

っていうやり取りをしていたような気がします。
たぶん妄想だと思います。


(3)チーム永瀬は回避

3つ目は「チーム永瀬は回避」です。これは第4回ABEMAトーナメントについての質問で表れたものです。

――チーム永瀬はやはり強敵ですか?
「そうですね、永瀬王座と増田六段は前回同じチームでその強さはよく知っていますので、できれば決勝まで回避したいです(笑)」

これは、簡単に言うとチームバナナの3人はとても仲良しということですね。
仲良しの男友達同士が「いや、お前とだけは一緒になりたくないわー」って笑いながら言ってるあれです。

この回答を聞いた時、将棋会館の応接室だったんですけど、「あれ?ここ中学校の教室だっけ?」っていうくらい、一瞬でノスタルジーの世界に引き込まれましたね。

休み時間に教室の後ろのほうで笑っている、学生服姿のチームバナナの3人が見えた気がしました。

将棋って個人競技で、何年、何十年にわたって同じ相手と勝った、負けたを繰り返すメンタル的にはあまりよろしくない世界なんですけど、その中にあってこんないい関係が生まれることがあるんだなと。将棋界、いいところじゃんって思いましたね。

もう、これだけでありがとうです。

泣いちゃいますね。

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さて、本当は昨年同様4つ書こうと思ったんですけど、思いが強すぎて長くなってしまったので3つにしておきます。

好評でしたら第4回くらいまで行こうと思いますので、読んでいただければ幸いです。

(あわよくば第2回に続く)


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