2020.03.13
新刊紹介「百折不撓 木村一基実戦集」 ~顔面受けからの顔面攻め~
王位戦番勝負が始まる前に読むべし!
お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
皆さんこんにちは。編集部島田です。
今回は現在絶賛予約受付中の「百折不撓 木村一基実戦集」をご紹介いたします。
タイトル通り、木村一基王位の実戦集となっております。
目次はこんな感じです。
第1部は自戦記編13局。もちろん、悲願の初タイトル王位を獲得するまでの対局が中心となりますが、第1局で村山聖九段の絶局、第2局で羽生先生の有名な一手トン死、第3局は新人王戦の決勝と、これまでの木村先生の棋士人生のトピックをたどるような内容になっています。
また、本書の自戦記は他の本とはちょっと違う!
以下は対村山聖戦の冒頭部分ですが、これを読んでお分かりの通り、解説というよりは会話に近い文調になっています。
これがいかにも木村先生っぽくてすごくいい。皆さんぜひ木村先生の声に脳内変換して読んでください。
さて、今回はせっかくですので自戦記編から簡単にですが一局を紹介したいと思います。紹介するのは第3局として収録されている第33期新人王戦決勝三番勝負第3局、鈴木大介九段との一戦です。
木村先生の将棋はよく「強気な受け」と称されることが多いですが、この対局ではその特長が存分に発揮されます。
まず、下図を見てください。
鈴木先生に中飛車から機敏仕掛けられて、いきなり不利になっています(苦笑)。
▲3四歩は△3五角の切り返しがありますし、▲7八玉も△3五角▲6八銀△3六歩▲2五桂△4五桂ではまります。
ここで木村先生の選択は▲5八玉!!
相手が構えた銃口の前に自ら移動するような顔面受け。「千駄ヶ谷の受け師」の異名はダテじゃありません。
以下△3五角▲3六歩△2四角▲6五歩△1四歩▲6八銀と玉のいる中央から盛り上がっていきます。良い子はマネしちゃいけない指し方です。
さぁ注目してほしいのはここからです。進行順に局面を並べますので、先手玉の位置に注目して見てください。
どうですか!この玉の力強すぎる進軍!
先手玉の「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーーッ!!」という声が聞こえてきそうです。
そしてよく見てみると最後の方は玉自体が立派な攻め駒になってます。これが「顔面受け」ならぬ「顔面攻め」です。
一局の中で「顔面受け」と「顔面攻め」を同時に成立させたのは木村先生くらいでしょう(当社比)。
そのまま攻め切って以下が投了図。
二段目に飛車が利いているので、この図も相当怖いと思うんですけどね。木村先生の「強気の受け」は一歩間違うと簡単に空中分解してしまうので、かなりスリリングな指し方といえます。だからこそ魅力的です。
この勝利で木村先生は新人王戦初優勝。そして本局の自戦記が以下のように締めくくられているのもいいところ。
「ここで優勝し、森内俊之名人との記念対局も勝てた。この17年後に弟子の髙野が新人王戦で優勝し、私と記念対局をやることになるとは、このときは思いもしませんでした」
ということで、自戦記編から一部を紹介しました。本当は王位のタイトルを獲得した自戦記の最後の文章が本当に素晴らしくて、涙なしには読めないので紹介したいのですが、それは本書を買った方のお楽しみということで。
今回は第1部しか紹介できませんでしたが、第2部の棋譜解説編(49局)の解説者はなんと弟子の髙野智史五段!木村将棋を熟知している棋士ですからこれ以上の適任はいないでしょう。
中には「中盤▲4二銀が鮮烈な一手で、そのまま師匠の快勝となった。さぞかし美味しいお酒を飲まれたのだろうなと、つい思ってしまう」というようなコメントも。思わずほっこりしちゃいます。
というわけで第1部が本人による熱のこもった自戦記、第2部が弟子による棋譜解説という素晴らしい内容の「百折不撓 木村一基実戦集」を紹介させていただきました。
来るべき次の王位戦七番勝負、誰が挑戦者になるのかまだわかりませんが、本書で予習しておけば、観戦の楽しさが10倍アップするのは間違いないでしょう。
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今回は現在絶賛予約受付中の「百折不撓 木村一基実戦集」をご紹介いたします。
タイトル通り、木村一基王位の実戦集となっております。
目次はこんな感じです。
第1部は自戦記編13局。もちろん、悲願の初タイトル王位を獲得するまでの対局が中心となりますが、第1局で村山聖九段の絶局、第2局で羽生先生の有名な一手トン死、第3局は新人王戦の決勝と、これまでの木村先生の棋士人生のトピックをたどるような内容になっています。
また、本書の自戦記は他の本とはちょっと違う!
以下は対村山聖戦の冒頭部分ですが、これを読んでお分かりの通り、解説というよりは会話に近い文調になっています。
これがいかにも木村先生っぽくてすごくいい。皆さんぜひ木村先生の声に脳内変換して読んでください。
さて、今回はせっかくですので自戦記編から簡単にですが一局を紹介したいと思います。紹介するのは第3局として収録されている第33期新人王戦決勝三番勝負第3局、鈴木大介九段との一戦です。
木村先生の将棋はよく「強気な受け」と称されることが多いですが、この対局ではその特長が存分に発揮されます。
まず、下図を見てください。
鈴木先生に中飛車から機敏仕掛けられて、いきなり不利になっています(苦笑)。
▲3四歩は△3五角の切り返しがありますし、▲7八玉も△3五角▲6八銀△3六歩▲2五桂△4五桂ではまります。
ここで木村先生の選択は▲5八玉!!
相手が構えた銃口の前に自ら移動するような顔面受け。「千駄ヶ谷の受け師」の異名はダテじゃありません。
以下△3五角▲3六歩△2四角▲6五歩△1四歩▲6八銀と玉のいる中央から盛り上がっていきます。良い子はマネしちゃいけない指し方です。
さぁ注目してほしいのはここからです。進行順に局面を並べますので、先手玉の位置に注目して見てください。
どうですか!この玉の力強すぎる進軍!
先手玉の「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーーッ!!」という声が聞こえてきそうです。
そしてよく見てみると最後の方は玉自体が立派な攻め駒になってます。これが「顔面受け」ならぬ「顔面攻め」です。
一局の中で「顔面受け」と「顔面攻め」を同時に成立させたのは木村先生くらいでしょう(当社比)。
そのまま攻め切って以下が投了図。
二段目に飛車が利いているので、この図も相当怖いと思うんですけどね。木村先生の「強気の受け」は一歩間違うと簡単に空中分解してしまうので、かなりスリリングな指し方といえます。だからこそ魅力的です。
この勝利で木村先生は新人王戦初優勝。そして本局の自戦記が以下のように締めくくられているのもいいところ。
「ここで優勝し、森内俊之名人との記念対局も勝てた。この17年後に弟子の髙野が新人王戦で優勝し、私と記念対局をやることになるとは、このときは思いもしませんでした」
ということで、自戦記編から一部を紹介しました。本当は王位のタイトルを獲得した自戦記の最後の文章が本当に素晴らしくて、涙なしには読めないので紹介したいのですが、それは本書を買った方のお楽しみということで。
今回は第1部しか紹介できませんでしたが、第2部の棋譜解説編(49局)の解説者はなんと弟子の髙野智史五段!木村将棋を熟知している棋士ですからこれ以上の適任はいないでしょう。
中には「中盤▲4二銀が鮮烈な一手で、そのまま師匠の快勝となった。さぞかし美味しいお酒を飲まれたのだろうなと、つい思ってしまう」というようなコメントも。思わずほっこりしちゃいます。
というわけで第1部が本人による熱のこもった自戦記、第2部が弟子による棋譜解説という素晴らしい内容の「百折不撓 木村一基実戦集」を紹介させていただきました。
来るべき次の王位戦七番勝負、誰が挑戦者になるのかまだわかりませんが、本書で予習しておけば、観戦の楽しさが10倍アップするのは間違いないでしょう。
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