2026.02.20
東大将棋部の穴熊退治! 今日から指せる藤井システム①
こんにちは。前回、大学将棋について記事を書かせていただきました金田夏輝です。
前回:東大将棋部員が語る大学将棋の世界 第1回「大学将棋部の生態」
現在東京大学将棋部に所属しています。
今回は私の得意戦法である四間飛車の戦術記事を書かせていただきます。
多くの四間飛車党の方々は穴熊に悩まされていると思います。
確かにガチガチの穴熊に対して美濃で戦っていると時に理不尽さを感じることもありますよね。
ですので、今回は先手四間飛車で穴熊に組ませずにどんどん仕掛ける藤井システム調の戦い方を紹介します。
初手から
▲7六歩 △8四歩 ▲7八銀 △3四歩
▲6六歩 △6二銀 ▲6八飛 △4二玉
▲1六歩 △1四歩 ▲4八玉 △3二玉
▲3八銀 △5四歩 ▲5八金左△5二金右
▲6七銀 △8五歩 ▲7七角 △5三銀
▲3九玉 (第1図)
四間飛車の囲いは大きく分けて3つあります。美濃、穴熊、ミレニアムの3つです。
このうち最初の2つは昔からありましたが、振り飛車ミレニアムは最近出てきた指し方です。
さらには3八に玉をとどめて金無双のような囲いで戦うことを含みにした耀龍四間飛車もありますね。
今回は四間飛車側が美濃で、穴熊に組ませずに速攻を狙う戦い方を紹介します。
第1図までの指し手でポイントとなるのは先手の▲1六歩の端の打診に後手が△1四歩と受けてきていること。
昔は居飛車側が穴熊を目指す際には受けないのが主流でしたが、近年はAIが△1四歩と受ける手を有力視するため、△1四歩と受ける人が多い感覚があります。
受けない手ももちろん非常に有力ですが、今回は受ける形を紹介したいと思います。
先手の駒組みのポイントは玉をすぐには2八に入城しないこと。これが重要です。
第1図以下の進行
△3三角 ▲4六歩 △2二玉 ▲3六歩
△4四歩 ▲3七桂 (第2図)
第1図から第2図は後手が穴熊を目指すと自然な進行です。
先手は藤井システム調の仕掛けを狙っています。
このときに玉が2八だと当たりが強いので、後手が急戦か持久戦か分からない第1図では先手は玉を3九に保留しているのです。
なお後手が急戦の姿勢を見せてきた場合はもちろん2八に入城します。
第2図からは△3二金、△4三金、△1一玉が考えられます。それぞれに対し▲5六銀と▲6五歩を比較しながら順番にみていきましょう。
第2図以下の指し手①
△3二金(第3図)
△3二金は先手の仕掛けを警戒した手です。他に△4三金、△1二香と指す手も有力なので、次回以降解説いたします。
第3図以下の指し手
▲5六銀(第4図)
△3二金に対しては▲5六銀が有力です。
代えて▲6五歩として次の▲2五桂△4二角▲4五歩の筋の仕掛けを狙う手も有力そうに見えます。
しかし▲6五歩以下、△1二香▲2五桂△4二角▲4五歩△2四歩▲4四歩△2三玉(参考1図)の進行は△2四歩~△2三玉と後手に柔らかく受けられてしまうと先手の攻めがあまりうまくいっていません。
以下、▲4三歩成△同金右▲1一角成と進めても△2二金(参考2図)と馬を封じられると後続の手段に窮しています。
1筋の突き捨てをあらかじめ入れておいて参考1図で▲1三歩とすれば桂損は避けられるのですが、△1三同桂▲同桂成△同香でやはり先手の攻めが少し細い印象です。
また、第3図で▲6五歩△1二香に▲4五歩も△同歩▲同桂△7七角成▲同桂△4四銀▲7一角△4五銀▲8二角成△5五角(参考3図)で後手が指せます。
ただし後手は▲6五歩~▲2五桂を恐れて△4三金右とするのはあまりよくありません。
そこで先手が▲5六銀(参考4図)と進軍すると、以下△1二香▲2五桂△4二角▲4五歩(参考5図)の進行は先手が指せます。
参考5図で、先手は▲5六銀で攻めが厚くなっている一方で、後手の△4三金右はかえって当たりが強めていることが参考1図と比較するとわかっていただけると思います。
かといって参考4図で▲2五桂を防ぐために△2四歩と突くのは▲2六歩△1二香▲2五歩△1一玉▲2四歩△2二銀▲4五歩(参考6図)が一例で攻めが続きます。
難解ながら先手満足の分かれでしょう。
後手は参考4図で△1二玉と指せば▲2五桂の筋には対応できるのですが、これでは穴熊は放棄したことになります。
後手の穴熊を封じることができたので、この展開は囲い合って一局でしょう。
穴熊に組ませないのが1つの目標なので、これもいちおう先手満足とします。
参考4図が△1二香を待って▲2五桂と跳ねるイメージで後手は穴熊に組みにくいというのは重要なので銘記しておいてほしいです。
なお、参考4図の▲5六銀に代えて▲6六銀と上がる手も有力で、△7四歩(▲7五銀の防ぎ)に▲5六歩と突いて好機に5筋からの仕掛けを狙う展開になります。
長々と書きましたが、いずれにせよ、第3図で▲6五歩は△1二香がよい手で居飛車に穴熊に潜られてしまうのでした。
そのため第3図では▲5六銀とします。
第4図以下の指し手
△1二香 ▲4五歩 △1一玉 ▲4四歩
△同 角 ▲4五銀 △5五角 ▲3四銀(結果1図)
第4図で△4三金右は▲6五歩で参考4図に合流し、一応先手満足です。
したがって▲5六銀には△1二香としますが、▲4五歩と仕掛け、△4三金右には▲2五桂△4二角▲6五歩が相変わらずあるため、△1一玉と潜ります。
以下、▲4四歩△同角に▲4五銀~▲3四銀と1歩をかすめ取って先手が攻勢を取ることができます。
結果1図も難しい戦いですが、1歩得で銀を急所に進めている先手が満足な分かれとみたいです(なお最近も2026年2月4日の第84期順位戦B級2組▲久保利明九段-△古賀悠聖六段戦で類型が現れ、先手の久保九段が短手数で攻め倒しています)。
手順中△1二香▲4五歩△1一玉▲4四歩の局面は△同銀も有力に見えますが、▲1五歩△同歩▲1三歩(参考7図)が刺さります。
「△1一玉と潜ってハッチを閉める前に▲1五歩△同歩▲1三歩と叩ければ、振り飛車満足」と覚えておいていただけるとよいでしょう。
▲1三歩に△同香は▲2五桂ですし、▲1三歩に△同桂もありますが、いずれにせよ後手は1三に桂馬が残る形になります。この形には一歩手に入れて▲1四歩と打てば激痛です。後手はこのキズを抱えたままでは戦いきれないでしょう。
このように、第3図からは▲5六銀~▲4五歩の仕掛けで先手が攻勢を取れます。
次回は第2図で△4三金とされたときの対応について解説いたします。
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