『将棋棋士 私の戦い方 AI時代を勝ち抜くために』レビュー|将棋情報局

将棋情報局

『将棋棋士 私の戦い方 AI時代を勝ち抜くために』レビュー

限定記事や限定動画など特典が盛り沢山!将棋情報局ゴールドメンバーご入会はこちらから

はじめに

今回は、2026年3月に発刊される『将棋棋士 私の戦い方 AI時代を勝ち抜くために』のレビュー記事をお届けします。

本書は、各棋戦で活躍している17人の将棋棋士に「現在の将棋界についてどう思うか」「その中でどう戦っていきたいか」という2つのテーマを軸にインタビューを行い、まとめたものです。

雑誌『将棋世界』で1年半にわたって続けられた人気連載に藤井聡太竜王・名人のインタビューを追加して書籍になりました。

インタビューの日付は2023年12月8日(第1回中村太地八段)から2025年3月27日(第16回佐藤和俊七段)までとなっており、藤井聡太竜王・名人が八冠制覇していた時期から、伊藤匠二冠が叡王位を奪取し、一方で藤井聡太竜王・名人が他のタイトルを防衛していく時期となります。
その過程を振り返りながら、各棋士の展望が語られています。なお、藤井聡太竜王・名人はのスペシャルインタビューは2025年11月24日のものとなります。

本書には下部に脚注があり、当時の棋界の状況などの補足がついていますので、読み進めやすくなっています。

一部、局面図と符号が入る文章はありますが、そこは軽く読み流しても、内容はつかめます。観る将の方も安心して読んでいただければと思います。

 

見どころ

どなたのインタビューが載っているかは、表紙もしくは目次をご確認いただければと思います。
新鋭や中堅で実績のある棋士がずらりと並んでいます。
トッププロの視点で、藤井聡太竜王・名人の強さをどう捉え、どのようなアプローチで日々の鍛錬をしているかが語られています。

「現在の将棋界についてどう思うか」のテーマについては、どの棋士も藤井聡太竜王・名人の圧倒的な力を認める一方、「藤井聡太竜王・名人と対局することになったらどう臨むか?」という質問に対しては、

  • 序中盤でわずかなリードを作り終盤を乗り切る
  • 真っ向勝負は避け秘策を用意する
  • 定跡形をやりつつわずかに変化する

など各棋士の個性が光りつつも、なんとか藤井聡太竜王・名人に一矢報いたいという棋士としての矜持が垣間見えます。

 

「その中でどう戦っていきたいか」というテーマに関しても、

  • 自分の強みを生かすために力戦形を指していく
  • 指し手を散らすためにAI研究が必要
  • 地力を上げるトレーニングをする

など各棋士それぞれの視点で回答をしています。

本書に登場する17人の棋士はみなさんAIを活用しているものの、AIの使い方に関しては、徹底的な研究で真理追求をするために利用する棋士、未知の局面で正しい判断ができる感覚を養うために利用する棋士、自分の頭で考えた構想をベースにAIをその補助として利用する棋士など、様々なアプローチがあることがわかります。

AIを活用しつつも、どっぷり浸かっているわけではない棋士も多くいることに驚かされました。

また、本書で興味深いのは、トップ棋士の多くが、「心」と「体」の重要性について言及している点です。
AI時代になり研究は進む一方で対局するのが人間である以上、「心」と「体」のコンディションが勝負に直結するのは今も昔も変わらないのかもしれない。

特に、佐藤天彦九段、永瀬拓也九段、増田康宏八段の記事が、それぞれの棋士の個性がはっきりと出ていて面白い内容となっていました。

佐藤天彦九段のインタビューから抜粋すると、

「何か自由に語ろうとしても、『その手はAIの最善手じゃない』とか、『AIの評価が低いからダメ』という風に言われてしまいそうな雰囲気があるじゃないですか。そうではなくて、この手はちょっと面白くない?と思ったときにAIを用いて分析してみて、自分が感じたところとどう差異があるかとか、自分が感じたことを補助してくれるツールとして使うほうが、むしろ自然なのではないかと思います」

といった内容があり、AIをうまく使ううえでの示唆に富んでいると感じました。

AIによって時代が加速してる中で、振り飛車転向を決めたエピソードを語る佐藤天彦九段

なお、本書の冒頭では藤井聡太竜王・名人のスペシャルインタビューも記載されており、絶対王者であっても現状に満足せず、自身の課題と真摯に向き合っているのがわかります。

また、本書はここ数年の将棋界を振り返るのにもよいと思います。インタビュー記事の中では各棋士の視点で、当時行われたタイトル戦について語られています。

 

おわりに

本書は、指す将の方はもちろん、将棋を指さない観る将の方、さらにいえば、将棋に関わりを持っていないけれどもAIとの付き合い方に関心がある方にも読んでいただける内容となっています。

17人の棋士の中にファンの棋士がいれば、その棋士のインタビューを中心に読んでいただければと思います。一人ひとりの棋士のインタビュー記事を読むのにはさほど時間はかかりませんので、隙間時間に少しずつ読んでいくのもよいかもしれません。

戦法書ではないので、読み物として気楽に読み進められます。
本書は、あくまで将棋に関する内容ですが、将棋以外でもAIが浸透している昨今において、我々がAIとどう付き合っていくか、この時代をどう生き抜いていくか、考えるきっかけになるかもしれません。

是非、手に取って読んでみていただければと思います。

 

本書の購入はこちら!

限定記事や限定動画など特典が盛り沢山!将棋情報局ゴールドメンバーご入会はこちらから

将棋情報局では、お得なキャンペーンや新着コンテンツの情報をお届けしています。

著者