第2回 独立を果たす4つのステージ|Tech Book Zone Manatee

マナティ

ITエンジニアのための「人生戦略」の教科書

第2回 独立を果たす4つのステージ

手に職を持っているITエンジニアは「独立しやすい」職種ですが、技術はあってもビジネスのことがよくわかっていないのがネックです。筆者が独立するまでに辿ってきた道を体系化し、再現しやすい道筋をつけて解説しましょう。

スムーズに独立を果たすには

 私は、自分の経験をもとに、我々ITエンジニアが会社に依存せずに生きていけるようになるための「4つのステージ」というものを定義している。私は大学時代に将来は独立起業するということを決意し、試行錯誤しながら生きてきたが、振り返ってみれば無意識のうちに辿ってきた道も、実はなかなか再現性が高いのではないかということがわかった。まずはこの4つのステージについて説明したい。

 私は合計4年半の会社員生活を経験しているが、いずれの期間も常に何らかの副業をやっていた。実はこれが、スムーズに独立をして安定的な人生を手に入れるための重要な要素だった。確実に収入が入る仕事を本業にしつつ、自分が本来やりたいことを副業にしてじっくりと育てていくスタイルだ。一攫千金を目指すような狩猟民族的な生き方ではなく、最初は小さくとも少しずつ右肩上がりに成長し、長期的に安定的な繁栄をもたらしてくれる農耕民族的な生き方が、我々ITエンジニアには向いているのではないかと思う。この4つのステージにおいては、何を本業として何を副業にするかがキーポイントとなる。

 

本業を「正社員→常駐型フリーランス→受託案件→自社ビジネス」、副業を「受託案件→受託案件→自社ビジネス→なし」に移行していくことで、最終的に自社ビジネス専業を目指していけばスムーズな独立が可能になる

 

ステージ1 本業[正社員] + 副業[受託案件]

 まずは会社員をやりながら、『@SOHO』やクラウドソーシングなどのサイトから、副業で「在宅でできる案件」を取りにいく。日中は会社の仕事をしっかりとやり、「アフター9」や土日など、忙しいエンジニアといえ確保できる時間を遣って、副業により収入を稼ぐとともに、顧客との信頼関係を構築していく。

 

ステージ2 本業[常駐型フリーランス] + 副業[受託案件]

 ステージ1で受託系の副業で顧客を開拓しながら、ある程度スキルに自信がついてきたら思い切って会社員を辞め、派遣社員でも良いので常駐型の案件に参加する。このスタイルの良いところは、

といった点が挙げられる。 例えば、「自分はひたすらSAPの道を極めたい」と思っていても、会社員の場合には会社都合で全く関係のないプロジェクトに配属されてしまうこともある。また、派遣社員の場合は残業代が必ずつくかどうかも重要視する。唯一のデメリットは、「将来への不安」であろうか。それも、次のステップを読んでいただければ和らぐのではないかと思う。

 

ステージ3 本業[受託案件] + 副業[自社ビジネス(B2C)]

 受託案件の固定の顧客が増えてきたら常駐型の案件を減らすか完全に辞める形をとり、B2Cの自社ビジネスを立ち上げていく。B2Cの自社ビジネスのメリットは何といっても安定性で、B2Bといえる常駐型、受託型の案件は、相手があってこそのものなので、リスクがあるのだ。

 例えばいくらこちらがきちんとやっていても、顧客のビジネスがうまくいかなくなれば、来月からの売上は0(ゼロ)になってしまう可能性もある。実際、私が2度目の独立を果たした2006年当時は毎月のように顧客から新規開発の相談が来ていたのだが、2008年のリーマン・ショック以降、パタリと止まってしまった。

  一方、B2Cの自社ビジネスというものは、B2Bよりも顧客が多くなるので、売上がある日突然0(ゼロ)になることはない。

 きちんと納めれば確実に収入が見込める受託案件をこなしつつ、空き時間を確保して自社ビジネスを如何に早く軌道に乗せられるか?がこのステップのキーポイントになる。

 

ステージ4 自社ビジネス専業

 自社ビジネスが軌道に乗ってきたら、受託案件は新規開拓をいったん止め、既存の顧客を維持する形にシフトしていく。

 この頃になると、受託系の案件も引っ張りだこになってしまっている可能性があるが、そこはぐっとこらえて、自社ビジネスを育てて行くことが重要となる。受託系の案件は短期的にはお金になるが、所詮は「時間の切り売り」だしストレスフルでもある。

 私も現在はステージ4にいるが、新規の顧客は取らずに既存の顧客からのリピート案件だけ責任を持ってお手伝いし、それ以外は自社ビジネスに集中することにしている。

 

4つのステージにおいてやっておくべきこと

 4つのステージにおいてやっておくべきことを16のポイントに絞って説明しよう。

 

Point 1 理想のライフスタイルを描く [ステージ1]

 「思考は現実化する」という言葉があるが、確かにそのとおりで自分が考えてもいないことはまず起こりえない。成功者へのインタビューで、「こんなことが実現するなんて思ってもいませんでした」という回答を耳にすることがあるが、それはそういう時期があったというだけで、実現する過程では必ずどこかで意識するタイミングが来るものだ。

 私はこの頃から、「将来はホテルで仕事するようになりたい」と思っていた。そしてこの願望がやがて「海外ノマド」というワークスタイルの実現につながっていった。例え実現手段がわからなくても、まずは「願望」として脳に認識させることが重要だ。ぜひあなたにとっての最上級の、理想のライフスタイルを思い描いてほしい。

 

Point 2 武器になるスキルを身につけ1点集中で磨く  [ステージ1]

 まずは何か1つで良いので、「これだけは自信を持てる」と思える技術を極めることだ。私の場合はPerlという言語だった。私が初めて会社に入社したのは1999年。当時はまだPHPも日本に入ってきていなかった。私は大学時代に研究室に置いてあったパソコンを使って自分のホームページを立ち上げたことがあり、自分のホームページに掲示板を設置していた。掲示板を動かすためには、CGIという仕組みが必要であり、CGIを組む言語で当時主流だったのがPerlだったのだ。当時会社の上司には、「Perlでは食えないよ」と言われたが、自分の考えを信じてPerlを極めた結果、副業でたくさんのPerl案件を獲得できたし、私の処女作であったショッピングカートのレンタルシステムもすべてPerlで組むことができたし、Perlにはたくさん稼がせてもらうことができた。また、このおかげでその後Web開発の現場で主流となったPHPもスムーズにマスターすることができた。

 

Point 3 マネーリテラシーを身につける [ステージ1]

 ❶家計簿をつけること ❷簿記を学ぶこと この2つをやっておけば大丈夫だ。私は子どもの頃に母が家計簿をつけているのを見ていたので、大学時代に一人暮らしを始めた時に家計簿をつけ始めた。家計簿をつけることのメリットとしては、自分が毎月、毎年、何にいくら遣っているかを把握できることだ。給料が固定である会社員時代には特に重要で、収入は一定なので手元になるべく多くのお金を残すためには支出を減らすことが最も簡単だ。家計簿をつけていないということは、会社でいえば帳簿がないということだ。何にいくら遣っているか全く把握していない会社にお金が残るはずがないということは理解できると思う。いつも「お金がない」と言っている人はかなりの確率で家計簿をつけていない。また私は大学時代に友人の勧めで簿記3級の試験に合格した。その後この資格を持っているということで何かの役に立ったということはないが、簿記の基礎を理解することができ、自分の頭の中に「バランスシート」の感覚を持つことができた。このおかげで、個人事業主として独立した時に青色申告もスムーズにいったし、節税することもできた。「家計簿」「バランスシート」の2つの感覚が身についているかどうかが、やはり独立してからのお金のやりくりに大きく影響しているように思う。

 

Point 4 資産運用をスタートする [ステージ1]

 私は資産運用というものはまとまったお金がないとできないものだと思い込んでいた。本格的に資産運用を開始したのは33歳の時で、その時までに貯めた3,300万円を元手にスタートした。ところがいろいろと詳しくなってくると、実は月々数万円もあれば運用できるものがたくさんある。月1万円以下でも、ETFや積立型の商品で運用することができる。資産運用もビジネスと同じで、初心者の頃は失敗もする。むしろ失敗することのほうが多い。つまり、まとまったお金を作ってから運用をスタートするよりも、資金が少ないうちからスタートすることで、少しずつ経験を積むことができ、さらに資金が少ないうちにスタートしておけば、失敗をしても損失額は小さくて済む。また、株式市場などの相場は地合い(相場の調子)がとても重要で、数年単位で流れが変わっていくので、たとえ資金が豊富にあっても地合いが悪ければ儲けることが難しい。逆に地合いが良ければ誰でも儲かる。アベノミクスがスタートした2012年11月から2015年の5月にかけて、日経平均は約2倍になった。つまりこの期間に株を買った人は、よっぽど変なことをしない限りほとんどが儲かったということだ。少額でも良いので常に参戦できる状態を作っておくことが重要なのだ。

 

Point 5 世界を見て廻って視野を広げる [ステージ1][ステージ2]

 我々が使っているプログラミング言語は世界共通だ。つまり外国語がわからなくてもプログラミング言語を通じて意思疎通ができるということだ。実際、私はインドのチェンナイ、コルカタの現地企業を訪問してITエンジニアと交流したことがある。会話は片言でも、共通のフレームワークを使っていたり、開発手法に共通点を見出すことができてとても刺激になった。日本は島国で単一民族、言語も1つしかないので、様々な価値観や文化に触れることが少なく、我々は固定観念に凝り固まった生き方をしている。世界を見て廻ることで、世の中には様々な生き方があることを体感し、自分の人生についての思考の幅を広げよう。私の場合、2001年11月にラスベガスで開かれた『COMDEX』という世界最大のコンピュータ・カンファレンスを見に行き、その後知り合いのつてでロサンゼルス在住の日本人を紹介してもらいホームステイしながら現地企業を訪問することで、本場米国のITエンジニアの多様な働き方を目の当たりにし、選択肢を増やすことができた。

 今はPCのスペックやネット環境が発達したおかげで世界中どこでも仕事ができるようになった。航空会社も格安のローコストキャリアが増えているので、とても安い金額で海外に行けるので、積極的に海外に出て旅をすることをおすすめしたい。

 

Point 6 独立するか会社に残るか決める [ステージ1][ステージ2]

 私は本当に満足のいく人生を手に入れるためには独立するしかないと信じて独立し、結果的に本当に良かったと思っているが、それは万人に共通するものではないかもしれない。人によっては、どこかの会社に所属するほうが合っているかもしれない。それはあなた自身が決めることだ。決断は焦らないでいい。人それぞれにふさわしい時期がある。早ければ良いというものでもない。私の場合は1度目は24歳、2度目は29歳と2回独立をしているが、1度独立した後に再就職したということは、やはり時期尚早であったということだ。ただし、24歳で独立したことを失敗だとは思っていない。私にとっては必要な過程だったのだと思う。独立を焦る必要はないけれども、いざという時はあなたの直感に従って行動すれば良いということだ。

 

Point 7 クレジットカードをできるだけ作っておく [ステージ1][ステージ2]

 これはよく言われていることだが、私も痛切に実感することになった。独立して年収が2,000万円、3,000万円になっても、年収600万円程度の会社員のほうが、金融機関からの信頼度は圧倒的に高いのだ。今では各社の最上級のカードを手に入れることができるようになったが、独立初期の頃は某社のゴールドカードの申請書類に年収1,200万円と書いて落とされた時には非常に驚いた。

 

Point 8 ビジネスの基礎を身につける [ステージ1][ステージ3]

 現役のITエンジニアの人たちとやり取りしていて感じるのは、ビジネス感覚が圧倒的に不足しているということだ。この感覚は、プログラミングばかりしていては決して身につかない。私の場合、大学時代にレストランでの接客、ナイトクラブの調理場、イベントの会場案内、新聞広告のテレアポ、携帯電話の販売員、家庭教師など様々なアルバイトを経験し、社会人になってすぐに覚えたてのPerlを武器にインターネット上の掲示版で自分で営業して仕事を開拓してきた。最初は数千円から数万円程度の小さい仕事だったが、営業、見積、設計、開発、納品までの一連の工程をすべて1人でやっていたことが、ビジネス感覚を身につけるのに大いに役に立ったと思う。この感覚を身につけるには、少額でもいいのでとにかく数多くの取引をこなしていくことだ。

 

Point 9 資金を貯める [ステージ1][ステージ3]

 独立するかしないかに関わらず、貯蓄が豊富にあるにこしたことはない。独立を前提とする場合、最低1年は無収入でも耐えられるだけの貯蓄を作っておくことをおすすめしている。私の場合、20代の頃に友達に貸したお金が帰ってこなかったり、私が100%出資して起ち上げた会社をたたむことになったり、ビジネス・パートナーとトラブルになって高額な弁護士費用を支払うことになったりしてかなり失ったお金も大きかったが、それでも29歳で2度目の独立をした時には800万円の貯蓄を作ることができた。また、独立した時点で『@SOHO』からの広告収入が月に最低20万円はあったので、当時独身だった私1人分の月々の生活費程度は十分に支払えたので安心して独立することができた。

 

Point 10 人生のパートナーを見つける [ステージ1][ステージ4]

 最近、「草食系」という言葉にも象徴されるように、結婚願望が強くない人が増えている。私達の親世代の頃は結婚していないと一人前じゃない、人間的に問題があるかのように扱われていたようだが、今はそういった風当たりは減っているように感じる。また、長引く経済不況のため、家族を養う自信を持てない人も増えているようだ。私は結婚を強要するつもりはないが、結婚とは無条件で周囲から祝福される人生最大のイベントであり、また「家族を支えたい」という気持ちが自分の活力になることを、自ら経験してみて強く実感した。私は2度目の独立直後に妻と出会い2か月後にプロポーズした。独身時代は横浜に住んでいたが新居は東京都内(品川区)に構えることにした。私達が住もうと思ったマンションの家賃は27万円。「家賃は収入の3分の1以内に抑えるのが望ましい」という言葉があるが、そこから逆算すると月に最低100万円は稼がないといけない。会社員時代の収入は副業を合わせても、多い時で80万円程度。独立してコンスタントに100万円を超える自信はなかったが、妻と一緒にここに住みたいという気持ちが自分の中でのコミットメントを高めることになり、死にものぐるいで仕事に注力することができ、結果的に独立直後から月収100万円を超えることができた。

 ITエンジニアはどちらかというと異性関係には奥手な人が多いが、愛のある人生はまさにバラ色、愛のない人生と比べると充実度は天と地ほどの開きがある。結婚しないとしても、「人生のパートナー」と言える人をぜひ開拓してほしいと思う。それでもやはり結婚したほうが自分にとってコミットメントが高まるので、結婚をおすすめしたいのだが。人によってベストな婚期は様々なのでこのテーマはステージ1からステージ4と幅広く設定している。

 

Point 11 世界の中で住む場所を決める [ステージ2][ステージ3]

 Point5で世界を廻って視野を広め、自分のビジネスの方向性も検討しながら、人生のパートナーのことも考えつつ、どの国で生活をしていきたいか考えてみてほしい。会社員を貫き通す場合であっても、何も日本にとらわれずに、海外で直接採用してもらえる可能性はいくらでもある。私は2011年から「海外ノマド」という世界中どこにいてもインターネットに接続できれば仕事ができるというスタイルを確立し、多くの国に滞在してきた。その経験から言えることは、日本人はやはり優秀である(世界で通用する)ということと、日本でなくても意外に住めるということだ。日本は食事も美味しいし物も何でも手に入るしインフラも整っているので、やはり住みやすい国であることは間違いない。ただ、海外にも住めると思える自分を作っておくことは、思考や行動の幅を広げることになり、「生きる力」をつけることにもなる。

 

Point 12 自分の城(会社)を持つ [ステージ2][ステージ4]

 最終的に独立するかしないかに関わらず、会社という城を持つことは重要な意味がある。ビジネスへのコミットメントが高まるし、個人とは別の財布(銀行口座)を持つことで、なぜかお金が貯まるようになるのである。それは日々お金を出し入れする個人の口座と物理的に分かれていることで、手を付けなくて良いという点もあるかもしれない。生活費は会社からの給料でまかない、副業で稼いだお金は会社の口座に入れておいて起業資金にしたり資産運用に回してもいい。会社の維持費としては、仮に赤字だとしても年間7万円の法人税(法人住民税 2017年1月段階)がかかるが、会社という器を使えば上手に節税ができるので7万円はすぐに取り戻せる。

 また、取引先の会社の規模が大きくなればなるほど、こちらも会社でないと取引をしてもらえない場合が多くなる。私にしてみれば、会社を持たずにビジネスをすることはモグリでビジネスをするようなものだ。

 また、世間一般的には「売上1,000万円以下であれば個人事業主のほうがお得」と言われているが、これは税金面だけにフォーカスした話であり、ビジネスへのコミットメントが高まることや、法人化しないことによる機会損失が考慮されていない。この点についてはChapter5で詳しく解説する。

 

Point 13 社会に貢献できるサービスを立ち上げる [ステージ3][ステージ4]

 ITエンジニアになる人の特徴として、真面目で世の中のためになることをしたいという方が多いと思う。ぜひその意思を貫き通して、社会の発展に寄与できるようなサービスを立ち上げていってほしいと思う。私の持論に、「世の中のためになるサービスを立ち上げれば、必ずお金になる」というものがある。世の中のためになるということは、ニーズがあるということだ。後はそのニーズがどれだけ強いかによる。お金を払ってでもあなたのサービスを使いたいというニーズがあれば、ビジネスとして十分に成り立つだろう。美術や音楽といった芸術活動はお金にならないと考えている人が多いが、それはアーティストがビジネスを理解していないからお金にならないだけであり、きちんとビジネスを理解している人が手がければ、確実にお金を生むことができるだろう。ITエンジニアの場合は「売れない自作アプリ」を作る人が多いが、これもビジネス感覚を磨き、ニーズを正確に捉えて作ることできちんとお金を生むアプリに仕上げることができる。ITエンジニアにとっての「自己実現」は、自分が作りだしたアプリやサービスが世の中に広く利用されることではないだろうか?

 

Point 14 ビジネスパートナーを開拓する [ステージ3][ステージ4]

 人間は1人でできることには限界がある。ビジネスが成長していけば必ず誰かとパートナーシップを組む必要が出てくる。ただ、ビジネスパートナーと組んでも良い条件として、(1)1人でもプロとしてある程度仕事ができる (2)お金の管理がしっかりできる この2つは絶対に押さえておきたい。最近はよくスタートアップ系のイベントが開かれており、そこに参加していれば何かのビジネスになるかもしれないという淡い期待感で参加している人も少なくないと思うが、いくら半人前同士が集まっても決して本物のビジネスは生まれないと思う。自分がまだ半人前だと思えば、会社の仕事や1人副業で結果を出すことでひたすら自分を磨くことをおすすめしたい。

 また、私は20代の頃に1度友人と会社を起ち上げたことがあるが、友人は消費者金融からお金を借りて食いつないでいるような状態だったので、金銭感覚が合わず1か月でケンカ別れするハメになってしまった。そういう相手と組んでしまったのも、当時の私が未熟だったということなのだが。ということでビジネスパートナーの開拓はステージ3以降の後半に据えている。

 

Point 15 「自分チーム」を作る [ステージ4]

「自分チーム」とは、パートナーとは違い自分のビジネスを手伝ってくれるメンバーのことだ。それはあなたの会社の社員としてかもしれないし、外部スタッフとしてかもしれない。我々ITエンジニアは手に職があるために、何でも自分でやらないと気が済まず、仕事を人に振るのが苦手という傾向がある。私は20代にビジネスパートナーとの関係において何度も失敗してきたことから、「1人ビジネス」を徹底的に追求するようになった。『@SOHO』の運営においてもデザインはさすがにプロのデザイナーに依頼したものの、日々のお問い合わせ対応やプログラミングはすべて1人で対応していた。「自分がやらないといけない」という固定観念にとらわれていた。今ではお問い合わせ対応もプログラミングもチームメンバーに任せてしまっている。そうすることで私自身は自分の時間に余裕ができ、複数のビジネスを運営できるようになった。今では「どうしてもっと早くこの体制を作らなかったのだろうか?」と後悔するばかりである。ただし、自分のチームを作るタイミングはやはりビジネスがある程度軌道に乗ってからにしないとメンバーにきちんと報酬を支払えなかったり、メンバーへの指示が不明確になったりするので、ステージ4に据えることにした。

 

Point 16 次世代を育成する [ステージ4]

「マズローの欲求5段階説」にもあるとおり、人はステージが上がっていくと最終的には「人に与える」ことに喜びを感じるようになる。1人前のITエンジニアとして活躍できるようになった後はぜひ、それを若い世代に伝えていってほしいと思う。セミナーやワークショップ形式で直接指導する形でも良いし、ブログなどの媒体を通して広く発信していく形もアリだ。私は2012年に「エンジニアがビジネスを学べば最強!」をコンセプトに、『スーパーエンジニア養成講座(http://super-engineer.com)』を立ち上げ、将来独立を目指しているITエンジニアや、すでに独立しているけどよりステップアップしたいITエンジニアにビジネス構築の方法をお伝えする活動を行っている。

著者プロフィール

平城 寿(著者)
日本最大級のビジネスマッチングサイト『@SOHO』の開発者であり創業者。大学卒業後、内定をすべて辞退し半年間起業の道を模索するも断念。消去法で福岡のIT企業に就職し在職中にショッピングカートのレンタルシステムをヒットさせ1年半で23歳で1度目の独立を果たす。フリーランスのITエンジニアとして活動しつつベンチャー企業のCTOを兼任。大規模システムの経験を積むため26歳でアクセンチュアに再就職し3年間トップ5%の評価を維持する。在職中に@SOHOを立ち上げ、軌道に乗せて29歳で2度目の独立を果たす。その後活動の場を海外に広げ、海外でのノマドスタイルを確立し『海外ノマド』という言葉を自ら定義し啓蒙活動を行う。その後ITエンジニアの独立起業をサポートする『スーパーエンジニア養成講座』を開講。2万人のメールマガジン読者にアドバイスを行う。その後業種にとらわれずに独立起業を加速させるための講座『平城式Facebook』を開講。これからはピラミッド社会ではなく球体の社会になると予見し、既存のシガラミに囚われず価値観を共有できる仲間とつながるためのオンラインを中心としたコミュニティー『成幸村』を構想し実現。一環して『個人が自己実現をするための事業活動』を行っている起業家である。

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