第1回 ITエンジニアの人生設計とは|Tech Book Zone Manatee

マナティ

ITエンジニアのための「人生戦略」の教科書

第1回 ITエンジニアの人生設計とは

そもそもITエンジニアとはどんな職種の人を指す言葉なのでしょうか。IT業界に浸透している「35歳定年説」の真偽はどうなのでしょうか!? 今回は、ITエンジニアのキャリアパスを知り、将来の人生設計を考えてみましょう。

「ITエンジニア」ってなに?

 まず「ITエンジニア」の定義について、あなたと私の間で認識を共有しておく必要があるだろう。そもそも「エンジニア(engineer)」とは、コンピュータ、航空、自動車、音楽、医療など、様々な分野においてシステムを開発し、稼働する仕組みを作る専門技術職の人を指す広い意味の言葉だ。

 エンジニアのなかでも「ITエンジニア」という職種がある。私が定義するITエンジニアとは、「パソコンや業務用の専用のコンピュータを使ってプログラミングをする人、もしくはコンピュータシステムの環境の構築をする人」である。

 あなたが今関わっている仕事がこの業種に該当するのであれば、本書『ITエンジニアのための「人生戦略」の教科書』の内容を読んであなたなりに応用し、あなたの人生をより良くするために役立ててほしいと願っている。

 

「35歳定年説」とは

 我々の業界には、「35歳定年説」という言葉が浸透している。理由としては、

といったものが挙げられている。体力低下、吸収力低下、管理職になるために35歳以降は現場を離れざるをえないという根強い通説である。

 この点については様々な意見があると思うが、我々ITエンジニアの誰もが同意できることは、「35歳以降はどう生きていけばいいかわからない」ということだ。

 35歳という数字が極端にフォーカスされていて、35歳以降にどのようなキャリアを積んでいけば良いのかという情報が不足しているので、不安も大きいのだと思う。変化が激しく先行き不透明なIT業界において、ITエンジニアに未来はないのだろうか?

 

将来どんな進路を選択すればいいのか?

 35歳定年説とは関係なく、我々ITエンジニアは歳をとるにつれ、組織を束ねる管理職へと進んでいく道をいくのか、あくまでも現場に残ってスペシャリストとして技術・経験を磨いていくのか、という大きく2つの選択肢に迫られると言われている。

 仮に管理職の道へと進んでいった場合、会社の中での最高位は『CTO(Cheif Technology Officer/最高技術責任者)』という役職になる。ただし、当然のことながら会社の中での競争に勝ち残って初めて手に入るポストなので、そのポストに就き、また維持していくためのプレッシャーやストレスはかなりのものであろう。

 一方で、一生スペシャリストとして技術を磨いていく道を選択したいと思っても、それを認めてくれる会社は実はそれほど多くない。その理由は、人件費である。今では年功序列という言葉はあまり使われなくなり、実力主義を採用する会社が増えてきているが、IT業界においては、この実力の中に「経験」も含まれるため、実質的にはどんなに実力のあるITエンジニアでも会社に入って1年しか経っていなければ、会社の中にいる10年選手、20年選手の給料を超えることはまずない。

エンジニアは、35歳までに、徐々に経営寄りのマネジメント職に上がっていくのか、そのまま技術を極め続けるのかを決めなければならない

 

 そもそも、本当にITの会社を完全実力主義にしてしまったら、会社の古株達からしてみれば、ある日突然若くて優秀なエンジニアが入ってきて自分たちの給料を超えられたり、自分たちの仕事がなくなったりするかもしれないということであり、そんな会社には安心して所属していられないのではないだろうか?

 特にITエンジニアになる人は、短期的に成果を出すタイプの人よりも長期的に根気良く粘り強く成果を出すタイプの人が多いので、やはり会社としては本人の実力を考慮しながらも、長く働いてもらえる環境を用意せざるをえないというのが実情なのだろう。

 

独立起業という道もある

 もう1つ、我々ITエンジニアの多くが一度は検討してみるのが「独立起業」という道である。エンジニアは手に職を持っているので、そのスキルをお金に変えやすいと世間では思われているが、私の経験からもそのとおりだと思う。ただ、独立してフリーランスとなっても、結局は派遣社員や業務委託という形で企業に常駐している人が多いのが実状だ。それでは契約形態やお金のもらい方が変わっただけで実質は会社員と変わらない。逆に正社員ではなくなるので、長期的に安定して仕事が得られなくなることを不安に感じるというジレンマがある。

 そうではないパターンとして一人もしくは仲間と複数人でベンチャー企業を起ち上げ、会社を上場するところまでこぎつけたり、大ヒットアプリやサービスを開発して一攫千金を狙うという道もあるにはあるが、こういった結果を生むには、本人の実力だけではなく、時代の流れや運も大きなウェイトを占めてくるので、残念ながら再現性はかなり低いと言わざるをえない。数々の成功モデルからビジネスの本質を学ぶことはできても、同じ結果を得ることは難しいのである。

 また、もともとITエンジニアという職種の人は、自分の成功体験を世の中に発信している人がそれほど多くない。もちろん、有名サービスを開発したITエンジニアがインタビューを受けた記事はインターネット上にたくさん転がってはいるが、本人の言葉で成功体験をノウハウにまで落とし込んで語っている例が多くないし、少なくとも私はそのような情報に出会ったことがない。だから我々ITエンジニアにとっては、人生設計を考えるうえで「ロールモデル」にできる人を見つけることが難しく、このことも将来への不安を加速させる要因となっているのだろう。

 

あなたの人生設計を考えよう

 さて、ここで私の人生が登場する。私はトータルで4年半の会社員生活を経験した後独立し、会社は起ち上げているけれども上場はさせず、大ヒットアプリを作ったわけでもない。『@SOHO』というそこそこ名の知れたサービスを作ることはできたが、これも一攫千金を狙うモデルではなく、長期的に安定的に収益を得ることができるビジネスモデルだし、仮に『@SOHO』がなかったとしても会社に雇われずに生きていく道を心得ている。

 さらに私は、2010年からメールマガジンやブログやFacebookといった媒体を活用して「情報発信」という活動を行ってきた。ITエンジニアの独立起業を指南するメールマガジン『スーパーエンジニア養成講座』(会員数2万人)もその1つだ。

 2010年当時の私は33歳、ちょうど35歳定年説でいうところの2年前であったが、本書を書いている今現在は40歳と5か月であり、35歳からちょうど5年が経過している。

 つまり私が本書を通じてこれからあなたにお伝えすることは、机上の空論ではなく、すべて検証済みのことなのである。私は、

という3つの要素を満たす、かなりレアな存在なのではないかと思う。

 私と同じ人生を歩むことは不可能だとしても、私のこれまでの経験の要所要所をお伝えすることで、私と同じ人生を歩むのではなく、私の経験から得られた本質をもとに、あなたの人生を設計してほしいと思う。

著者プロフィール

平城 寿(著者)
日本最大級のビジネスマッチングサイト『@SOHO』の開発者であり創業者。大学卒業後、内定をすべて辞退し半年間起業の道を模索するも断念。消去法で福岡のIT企業に就職し在職中にショッピングカートのレンタルシステムをヒットさせ1年半で23歳で1度目の独立を果たす。フリーランスのITエンジニアとして活動しつつベンチャー企業のCTOを兼任。大規模システムの経験を積むため26歳でアクセンチュアに再就職し3年間トップ5%の評価を維持する。在職中に@SOHOを立ち上げ、軌道に乗せて29歳で2度目の独立を果たす。その後活動の場を海外に広げ、海外でのノマドスタイルを確立し『海外ノマド』という言葉を自ら定義し啓蒙活動を行う。その後ITエンジニアの独立起業をサポートする『スーパーエンジニア養成講座』を開講。2万人のメールマガジン読者にアドバイスを行う。その後業種にとらわれずに独立起業を加速させるための講座『平城式Facebook』を開講。これからはピラミッド社会ではなく球体の社会になると予見し、既存のシガラミに囚われず価値観を共有できる仲間とつながるためのオンラインを中心としたコミュニティー『成幸村』を構想し実現。一環して『個人が自己実現をするための事業活動』を行っている起業家である。

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