2017.02.10
第4回 Bitcoinについて -後編-
最も基本的なBitcoinとその論文を参考に、Bitcoinのしくみを学んでいきます(全3回、後編)
はじめに
連載第2回、第3回(前回)に引き続き暗号通貨の基本と言えるBitcoinについて、その論文を参考にBitcoinのしくみを学んでいきたいと思います。
Simplified Payment Verification (SPV)
全ブロックのデータを保持しているコンピューターのことをフルノードと言います。ですが、フルノードになろうとしても現在、Bitcoinの全ブロックの容量は約100GBにもなっており、一般的なPCやスマホなどでは入れるのが困難になってます。そこで、SPV(Simplified Payment Verification:取引の簡易検証)が考案されました。
それには、Bitcoinに用いられている、マークルツリー(Merkle tree)が役立ってます。このマークルツリーを使うと、1ブロックあたり数百にも及ぶどんな取引の中でも効率的に検証することが可能となり容量も大幅に削減できます。どうしてでしょうか。
では、実際のしくみを見てみましょう。次の図をご覧ください。
左の図の太線の枠のところがブロック内にあるデータです。Block Headerのところ以外にあるデータはTx(Transactionの略:取引データ)が1から4まであります。4つのデータですが、右の図では3つしかありません。ですがこれでも正当性があるかを検証できるのです。
普段は、チェーンの各ブロック ヘッダー(前ブロックのブロックハッシュ+Nonce+ルートハッシュ値)をフルノードに要求、保存しておきます。そして検証時にはその取引を含むハッシュツリーを要求します。
検証の流れは以下の通りです。ここでは例として先ほどの図にあるTx3を検証してみます。
1. Tx3、Hash2、hash01をフルノードに要求します。
2. Tx3をハッシュ化してHash3にします。
3. Hash3とHash2をハッシュ化してHash23にします。
4. Hash23とHash01をハッシュ化してRoot Hashにします。
5. 元々持っていたルートハッシュ値と比べます。合ってたらその取引がブロックに含まれていることが確認できたことになります。
ただし、この方法はフルノードよりは安心ではありません。
Bitcoinのプライバシー
ビットコインは、すべての取引が公開されており見ることが可能です。なので特段マネーロータリングがしやすい通貨というわけではありません。
こちらを見てみましょう。
すべて丸見えですが、名前など個人情報に結びつくようなことは全くもって記述されていません。
Bitcoinというのは、公開鍵をもとに作られるアドレスによって残高、履歴、Bitcoinの送信、受信などを管理してます。銀行における「口座番号」のようなものです。
ですが、アドレスを作るのに一切個人情報を入力する必要はありません。また、アドレスは簡単にいくらでも生成できるため、取引ごとにアドレスを変えるのがスタンダードになってきています。これにより、(取引はすべて丸見えですが)その取引を行なっているのが誰かはその情報だけではわからないのです。ですが、取引所での本人確認が進み、取引所で買われ送信されたBitcoinでは、追跡可能となってます。
Bitcoinに関して、大事なこと
Bitcoinのウォレットはきちんと管理
Bitcoinは、ウォレットというもので保管します。
たまに取引所に預けっぱなしの方がいますが非常に危険です。Mt.Goxのように取引所が破綻または雲隠れすると、あなたのBitcoinは二度と帰ってきません。決して取引所には置きっ放しにしないようにしましょう。また、秘密鍵のバックアップも忘れず、安全な環境にバックアップしましょう。
ウォレットに関しては本連載の第6回で詳しく解説します。
2段階制認証(ワンタイムパスワード)の設定
取引所へのログインはIDとパスワードによる認証だけでは不十分なので、ワンタイムパスワードによる2段階制認証を絶対に設定しましょう。基本的にどの取引所も2段階制認証に対応しています。
取引所にほぼ暗号通貨を置かないと言っても、日本円の入金など多くのお金が動きます。絶対に設定しましょう。また、複数台で2段階認証できるようにしておくと、どれか1台壊れても安心です。 また、2段階認証を設定したからって絶対安全というわけではありません。多額のコインはコールドウォレットに保管することをお勧めします。
Bitcoin価格は非常に不安定
Bitcoinの相場は、1日あたりおよそ数%の変動があります。予期せぬできごとが起きた場合は、およそ何十%も変動することもあります。Bitcoinはリスクのある資産ですので、失ったらヤバイ量のBitcoinを持つことはお勧めできません。
Bitcoinの送信受信
Bitcoinではアドレスというものがありますが、そのアドレスを間違えると二度と帰ってきません。送信する場合、QRコードを読み込むパターンも多くなりましたが、それでも念のため送信先を確認するようにしましょう。
詐欺に気をつけましょう
残念ながら詐欺を働く人もいます。Bitcoinは仲裁を働く人はいません。一度送ったBitcoinが戻ってこないかもしれません。怪しいカジノサイトや、ファンド、プロジェクトなど怪しい臭いが少しでもしたら、Bitcoinを送るのは控えましょう。
Bitcoinは壮大な実験
Bitcoinは今のところ壮大な社会実験という位置付けです。Bitcoinが今後どうなるかは誰にもわかりません。
Bitcoinに限らず暗号通貨全体に言えることですが、全て自己責任の世界です。
関連情報の収集で最適なのは、暗号通貨に関するTwitterアカウントを作ることです。暗号通貨に関する様々なプロジェクトや暗号通貨に関する仕事をしている方たちはTwitterにいることが多く、情報の素早さが素晴らしいです。また日本は外国に比べても活発だそうです。
暗号通貨の世界を楽しむために、新しくかつ正しい情報を入手するよう努めましょう。
次回は第5回「暗号通貨の入手方法」です。