2017.02.01
第2章 組織の目標にあった業務内容になっているか? ~サービスストラテジ~(2)
IT知識不要!、小説型ITILの指南書『新人ガール ITIL使って業務プロセス改善します!』から、「第2章 組織の目標にあった業務内容になっているか? ~サービスストラテジ~」の後半を紹介します。
需要管理
~リソース、多めにしとく? 少なめにしとく?~
■ここで学習すること
需要(=サービスの要求)を適切に把握し、業務(サービス)の「やりもれ」「やりすぎ」が起こらないようにするためのコントロール。
☆こんな悩みを解決しよう!
・人手が足りず、いつもてんやわんやしている。
・業務繁忙期と閑散期の山谷が大きく、閑散期に人が遊んでしまっている。
・会社のビジネス規模が来年から拡大するが、いまの人手ややり方で対応できるのかとても不安…。
需要管理とは、現在の需要を把握(および将来の需要を予測)し、適切なキャパシティ(人や物やシステムなど)でサービスを提供できるようにする、あるいは現在のキャパシティにあわせるために需要をコントロールする活動をいいます。
鉄道会社を例にとってみましょう。ラッシュ時には列車の運転本数を増やしたり、車両を増結して編成を長くしたりして、キャパシティ(輸送力)を増強していますよね。
とはいえ、増やせる本数や車両数には限界があります。そのため、オフピーク時の割安の回数券を発行して(プライシング)、乗客数を分散させるような需要の平準化を図っています。
需要管理の活動は次の4つです。
①過去の需要を把握する。
②未来のイベント(業務繁忙期の到来、ビジネス規模の拡大など)を把握し、需要を予測する。
③必要なリソースやキャパシティを見積もる。
④キャパシティコントロールまたは需要のコントロールを策定し顧客に提案する。
需要を把握および予測するための主なインプットは次の3つです。
①過去のサービス要求件数 ⇒「要求実現」(215ページ)で測定したデータを参照する
②過去のインシデント(トラブル)件数 ⇒「インシデント管理」(176ページ)で測定したデータを参照する
③将来のサービス計画 ⇒「サービスポートフォリオ管理」(70ページ)で把握する
◎キャパシティコントロールと需要コントロール
キャパシティコントロールをする場合、キャパシティ管理(120ページ)のプロセスで増減の調整と準備を行います。
財務管理
~何にどれだけお金かかっているんだっけ? かかるんだっけ?~
■ここで学習すること
需要に見合った適切な財務コントロールを行うための考え方。
☆こんな悩みを解決しよう!
・不必要な業務(サービス)に過剰に投資している。
・必要な業務(サービス)に適切な投資がされていない。
・予算計画に対して実績がいつも乖離している。
財務管理は、サービス提供にかかるコストを可視化し、需要および費用対効果に見合った投資コントロールを目指します。
その会社や部署にとって重要度の高い業務(サービス)が、人手が足りないあるいはシステムがすぐ止まってしまうなどの理由で提供不能になってしまったら一大事ですよね。逆に、まったく需要のない仕事に10人も20人もはりつけて、なおかつ高価なシステムを使っていたらお金が無駄になります。
財務管理でのポイントは次の4つです。
①サービスごとの費用内訳を明確にする。
②投資対効果を明確にする。
③課金の仕組みも取り入れてみる(サービス要求の多い部署からお金を取るなど)。
④月別の実績管理をする。
こうした管理を行うことで、各サービスを今後どう取り扱っていくか?~「継続」「強化」「合理化」「廃止」の判断がしやすくなります。
◎コストの可視化と財務コントロール
なお、財務状況や投資の管理は何らか皆さんの現場で行われていると思いますので、本書では財務管理方法の説明は省略します。