2016.12.19
最終回:中国におけるO2O活用事例
年々拡大を見せる中国のインターネット人口。その巨大な市場に対してどのようなマーケティングを行っていくのか。『いま押さえておきたい 中国ネットマーケティング最前線 ~WeChat(微信)を活用した最新プロモーション事例』(田中千晶・山本達郎著)は、中国のWebやSNS事情やWebにおけるプロモーション戦略から、中国で定番となっているメッセンジャーアプリ「WeChat」(微信)の機能の紹介や活用例まで、詳細に解説しています。 この連載では同書の中からいくつかのトピックをピックアップして、掲載してきました。最終回は中国におけるO2O活用事例をご紹介します。
QRコードの活用
中国現地のある輸入品スーパーでは、新店オープン際にイベントを実施。中国では定番の爆竹を鳴らし、セレモニーを行い、そして店舗を開店。日本では、そのまま入口からお客様が入っていくのが一般的ですが、ここでは入口の横に大きなQRコードの立て看板を設置したところ、約半数の人がそこでQRコードをスキャンしてから入店。中国では、店舗アカウントをフォローすると割引になったり、ノベルティをもらえたりすることが多いため、わりと高年齢の人たちでも、何も言わなくともフォローしてくれます。フォローしたらプチギフト、シェアしていいね!を10件集めたら、さらに良いプレゼントがもらえるというキャンペーンもよく見られます。
地下鉄の駅では、看板広告や大型ディスプレイ、地下鉄の柱に貼ってあるポスターなど、いたるところにQRコードが出ています。
デパート
北京市内のデパート内では入口、エスカレーター、エレベーターの出入口にQRコードを掲載。日本の商業施設では、顧客導線に入るためありえない配置です。
館内の垂れ幕にも全てQRコードを入れるほどの徹底ぶりです。
飲食店の例
最もよくQRコードからのSNS導線を使っている場所とも言えるのが、飲食店です。
中国でお店に入るとかなり高い確率でQRコードを見つけることができます。この時、QRコードを貼って効果があると言われている場所が4つあります。
①入口 - パっと目につき、何かお得なサービスが受けられそうという期待感を演出。
②机の上 - 飲食店では一番滞在時間が長い場所。例えば、注文を受けた段階で、料理を待っている間にフォローすると特典が得られると伝えるのも効果的。
③トイレ - 1人になれる場所であり、周りに気兼ねなくスマホを出して、QRコードを読み取ることが可能。
④レジ - 必ず訪れる場所。ちょっとした時間や、会話するタイミングも生まれやすい。ここでフォローすると割引が受けられ、フォロー率の向上も見込める。
そして、QRコードを貼ることと並んで最も大事なのが、声掛けです。QRコードがあるだけだとなかなかフォローされにくいのが実際です。フォローすると特典もあるので、ぜひどうぞと一言薦めると、フォローしてくれる確率も格段に上昇することになります。
ペイメントに関するキャンペーン
最近はペイメントの機能(WeChatペイメントやアリペイ)を導入しているところもかなり多くみられます。これはWeChat側がお金を出し、WeChatペイメントで支払うと、5元安くなるといったキャンペーンです。飲食店でも多く見られます。中国に進出している日系のコンビニ、セブンイレブンやローソンでも、WeChatペイメントやアリペイ、そして、最近ではApple Payにも対応するところも出来ています。
WeChatシェイクに関するキャンペーン
地下鉄の大きな液晶画面に、Levi'sのCMが流れ、その途中にWeChatシェイクのロゴが出現します。その時WeChatをシェイクすると、Levi'sのアカウントに自動的に飛んで、すぐにフォローできるというものです。この仕組みはCCTV(中国中央電視台)の番組内でも活用されており、番組の途中やCMにて、このシェイクボタンが表示されます。人の耳では聞き取れない周波数で信号が送られており、この間にシェイクするとアカウントに飛ぶという形です。TVとスマホの融合事例として、注目が集まっています。
上記のように中国でこのOfflineとOnlineを結ぶ流れはかなりバリエーション的にも豊富で、各社が色々な手段を考えて実施されています。今後もますます新たなテクノロジーを活用した例が増えていくでしょう。