2016.10.12
合格講座:第20回「ストラテジ系~関連法規」
2016年(平成28年)秋の[基本情報技術者試験]に合格するための重要ポイント、システム開発業務に従事する労働者の様々な働き方に関する各種法令の重要事項が出題されています。
関連法規分野への対応と攻略ポイント
システム開発業務に従事する労働者の様々な働き方に関する各種法令の重要事項が出題されています。特に労働基準法の主な規定事項、労働者派遣法における派遣元事業者の役割と責任などに重点を置いて学習しましょう。
本試験出題例
基本情報技術者 平成26年春期問題 午前:問80
※リンク先はIPAサイトの過去問(PDFファイル)になります。
労働者派遣における派遣元の責任はどれか。
ア 派遣先での時間外労働に関する法令上の届出
イ 派遣労働者に指示する業務の遂行状況の管理
ウ 派遣労働者の休日や休憩時間の適切な取得に関する管理
エ 派遣労働者の日々の就業で必要な職場環境の整備
労働法と労働基準法
わが国における労働関係の法律は、労働基準法を筆頭に労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、雇用対策法など30法令以上にも及びます。これらを総称して労働法といいますが、数多く存在する労働法の中でも労働基準法は最も基本となる重要事項を規定する法律で、労働時間や休憩、休日など様々な労働条件の最低基準等を定めています。
労働基準法の主な規定事項の例
●労働者が女性であることを理由として男性と差別的取り扱いをしてはならないが、その場合の労働条件は、賃金についてのみに限定されている。
●会社側(使用者側)に責任がある理由で休業する場合、使用者はその休業期間中、労働者に対して平均賃金の60%以上の休業手当の支払いが義務付けられている。
●アルバイトやパートタイマについても1週間あたりの所定労働日数によって比例的に定められた日数の年次有給休暇の付与が義務付けられている。
●労働基準法では法定労働時間を超える労働の実施について禁止しているが、36協定と呼ばれる労使協定書の作成および労働基準監督署への届出によって認められる。
●法定が定める労働時間の制限は、原則として1週40時間以内であるが、サービス業などの第3次産業の多くは特例によって1週44時間まで認められている。
労働者派遣という働き方
労働者派遣とは、労働者派遣事業者(派遣元事業者)が自ら雇用する労働者を派遣契約を交わした派遣先事業者の指揮・命令および管理の元で、派遣先事業者のための労働に従事させることいいます。派遣元事業者の2つの事業形態と、派遣元事業者・派遣先事業者・労働者の三者の関係はそれぞれ以下のとおりです。
労働者派遣法
労働者派遣法は、上記のような派遣労働を規制するために定められた法律です。そこでは、派遣先企業と派遣元企業間で労働者派遣契約を締結し、労働者が従事する業務内容、勤務場所、勤務時間等に関する事項を定めなければならないと規定されています。また派遣労働者の福祉の増進や適正な派遣就業の確保のための措置、就業条件の明示や派遣元および派遣先責任者の選任などについて定められています。
派遣元と派遣先の役割
労働者派遣法だけでなく、労働基準法の通達でも労働者派遣に関する事業者の責務について定められています。例えば、派遣労働者に関する36協定(サブロク協定といい、時間外および休日の労働に関する労使協定、労働基準法第36条に由来)の締結および届出は派遣元の使用者に義務付けられていたり、派遣労働者に指示する業務遂行状況の管理や、派遣労働者への休日、休憩時間の適切な付与は派遣先の使用者の責任で行うべきこととされています。
出向契約の2タイプ
労働者派遣とは異なり、社員が所属している企業から他の企業へ移って労働する出向という働き方があります。出向には次のような2つのタイプがあります。
●在籍型出向…出向元の事業者と雇用関係を保ちながら、出向元と出向契約を交わした出向先の事業者との間において、新たな雇用関係に基づき相当の期間継続して勤務する形態
●移籍型出向…出向元と出向先の事業者との間において出向契約を交わすとともに、出向元の事業者との雇用関係を解消し、労働者と出向先の事業者の間に新たな雇用関係を設ける形態
解答と解説
正解:ア
派遣労働者に関する、いわゆる36協定の締結および届出を指し、これは派遣元の使用者の責任となります。労働基準法では週40時間、1日8時間以内などの法定労働時間の制限がが定められているため、これらの時間を超過する労働を行う場合は、労使協定(いわゆる36協定)を締結し、所轄の労働基準監督署長に届け出ることが規定されています。