合格講座:第18回「ストラテジ系~企業会計」|Tech Book Zone Manatee

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熱血!藤井講師の基本情報技術者試験 合格講座

合格講座:第18回「ストラテジ系~企業会計」

2016年(平成28年)秋の[基本情報技術者試験]に合格するための重要ポイント、ストラテジ系・企業会計について解説します 利益の比率によって経営状態を表現するキーワードや、各財務諸表の定義について明確にしておきましょう

連載第18回「ストラテジ系~企業会計」

企業会計分野への対応と攻略ポイント

利益の比率によって経営状態を表現するキーワードや、各財務諸表の定義について頻繁に出題されています。個々の用語の定義を明確にしておきましょう。

本試験出題例

基本情報技術者 平成23年秋期問題 午前:問78

※リンク先はIPAサイトの過去問(PDFファイル)になります。

財務諸表のうち、一定時点における企業の資産、負債及び純資産を表示し、企業の財政状態を明らかにするものはどれか。
 株主資本等変動計算書   キャッシュフロー計算書
 損益計算書        貸借対照表

企業会計の目的と方法

企業が活動することで、商品の売買や不動産の取得、社員に支払う人件費などによって常にお金が動くことになります。そういった活動を取引といいますが、取引に関する情報は取引ごとに1枚の伝票として記録されます。そして伝票を勘定科目ごとに仕訳した上で決算時に財務諸表(一般に会計帳簿とも呼ばれ、損益計算書、貸借対照表、利益金処分計算書、付属明細書、営業報告書などの総称)と呼ばれる書面を作成します。これによって企業はその年度(会計年度)の経営状態を把握でき、今後の活動の方針を決定する際の重要な検討資料とすることができます。この一連の手続きを企業会計といいます。

貸借対照表と損益計算書

企業はその決算において、貸借対照表損益計算書の作成が法的に義務付けられています。この両者を組み合わせたものを残高試算表といいますが、それらの記載内容の内訳は以下のような対応関係にあります。

貸借対照表B/S)…貸借対照表とは、決算の末日における企業などの財政状態を表す財務諸表の1つであり、すべての資産(流動資産、固定資産、繰延資産)・負債(流動負債、固定負債)・純資産の残高を一覧で記載する。B/Sともいう。

損益計算書P/L)…損益計算書とは、一定期間の企業の経営状態(損益状況)を表す財務諸表の1つであり、当該期間の収益から費用を差し引いて純利益を得るまでの流れを記載する。P/Lともいう。

残高試算表…各勘定科目の残高金額を、各勘定科目の借方または貸方に記入して集計し、取引の記録を検証するために作成される。期末の残高によって期末の財政状態と損益の発生状況を把握することができる。

その他の財務諸表

キャッシュフロー計算書C/S)…会計期間(財務諸表の作成対象となる期間)の資金の増減(収入と支出)を営業活動、投資活動、財務活動に区分して記載します。キャッシュフロー計算書によって、資本の活用状況や借入金の利息負担能力などを明らかにすることができます。

精算表…企業会計における残高試算表の内容である資産・負債・純資産・費用・収益の5つの勘定科目を、損益計算書と貸借対照表に区分し一覧表の形式で表示することによって、決算手続きの流れを視覚的に把握するための集計表です。

利益の比率によって経営状態を表現する重要キーワード

各種利益率を表す以下のキーワードの定義や算出方法などもたびたび出題されています。

ROE…自己資本に対する利益の比率であり、自己資本利益率もしくは株主資本利益率とも呼ばれる。
【算出】 ROE = 利益(当期純利益)÷株主資本(総資本×自己資本率)

ROA総資産利益率)…企業の経営活動に投下された資本の運用効率を示す。
【算出】 ROA = 利益(当期純利益)÷総資本( = 総資産)

ROI投下資本利益率)…企業全体、個別投資プロジェクト、事業部などの投資効率を判断する指標であり、それらの事業に関して投下した資本から発生する利益の比率を表す。
【算出】 ROI = 事業利益(経常利益+支払利息)÷投下資本(借入金+社債発行額+株主資本)

経営資本営業利益率…企業が本来の経営活動に運用している資本(投下財産)がその活動によってどれだけの利益を上げたかを表すもので、基本的な考え方はROIと同様。
【算出】 経営資本営業利益率 = 営業利益÷経営資本(総資本( = 総資産))-本業に使用されていないもの(繰延資産、遊休固定資産、建設仮勘定、投資資産等))

解答と解説

正解:

 株主資本等変動計算書は、貸借対照表において株主資本を示す純資産の部の変動を表す財務諸表です。

著者プロフィール

藤井淳夫(著者)
事務官として防衛庁に入庁し、システム開発及びシステム管理業務に従事。1998年に独立、IT系社会保険労務士としてITコンサルティング、ITを駆使した人事労務管理及び情報処理技術者育成事業を展開する。大学・企業等における講義講演時間数が1万時間を超える「カリスマ講師」。著書多数。
ホームページ:http://www.ilovepc.jp