2016.09.01
合格講座:第10回「テクノロジ系 通信ネットワーク」
2016年(平成28年)秋の[基本情報技術者試験]に合格するための重要ポイント「通信ネットワーク分野への対応と攻略」について解説します。
通信ネットワーク分野への対応と攻略ポイント
データ伝送の所要時間や、パケット交換型通信の原理、ヘッダ情報の内容まで様々な角度から問われることが予想されます。電子メールのトラブル(不着や文字化け)の主な原因についても十分に理解しておきましょう。
本試験出題例
基本情報技術者 平成21年春期問題 午前:問36
※リンク先はIPAサイトの過去問(PDFファイル)になります。
1.5Mビット/秒の伝送路を用いて12Mバイトのデータを転送するために必要な伝送時間は何秒か。ここで、回線利用率を50%とする。
ア 16 イ 32 ウ 64 エ 128
パケット交換型通信
インターネットの基礎技術はパケット交換型通信です。これは、電子メールなどの転送データを元のままの状態で転送せず、送信する際にパケット(Packet・小包)と呼ばれる細かい単位に分解して様々なサーバを次々と経由(ルーティング)しながら転送されていく仕組みです。パケットには送受信者の識別コードやデータサイズなど、転送に必要な情報が書き込まれており、受信者にパケットが到着した段階で送信されたときと同じ状態に復元されます。パケット交換型通信は、冷戦時代に世界中に展開する米軍基地が敵国から核攻撃に遭遇した場合でも、軍事用通信ネットワークが寸断させられることがない通信手段として、米空軍のシンクタンクであるRAND研究所が関発したものです。
TCP/IP
TCP/IPとは、パケット交換型通信の仕組みが定義された最も重要なプロトコルです。インターネットで利用されるプロトコルには様々な種類がありますが、特にTCP/IPはインターネットの基本プロトコルと呼ばれ、かつてインターネットの原型とされる米軍の研究用ネットワークARPANET用に開発された仕様ですが、現在ではインターネットだけでなく、コンピュータ同士の通信プロトコルとして標準化されています。
データの伝送速度計算
ディジタル伝送を行う場合、1秒間に伝送できるデータ量を表現する速度の単位がビット/秒(bps)です。またデータ伝送には伝送効率という概念があり、これは受信者側の応答確認や誤り制御などに要する時間、電気抵抗やトラフィック(回線の混み具合)など、実際のデータ伝送以外に必要となる時間の割合であり、理論上のデータ伝送速度に伝送効率(%)を掛けて現実的な実効伝送速度を求めます。回線速度(伝送速度)と伝送時間は以下の計算式で算出します。
なお、伝送計算では回線利用率という要素も加味します。これは実際に伝送するデータに対するデータ伝送速度の割合です。例えば100Mbpsの回線で50Mビットのデータを伝送する場合の回線利用率は、50Mビット÷100Mbps=0.5(回線利用率50%)となります。
解答と解説
正解:エ
転送するデータ容量である12Mバイトをビット単位に変換すると、12Mバイト×8ビット=96Mビットとなります。また、回線利用率は50%であるため、1秒間に転送できるデータ容量は1.5Mビット×0.5=0.75Mビットです。したがって、転送に要する時間は、96Mビット÷0.75Mビット=128秒となります。