第4回後半 なんでもまずは飛び込んでみよう!人との繋がりから育つ技術|Tech Book Zone Manatee

マナティ

エンジニアコンビに聞く! 技術のお仕事

第4回後半 なんでもまずは飛び込んでみよう!人との繋がりから育つ技術

第4回目は、株式会社ゆめみで、サーバーサイドエンジニアとして働いている大森裕介さんと、その先輩である林 幸汰さんにお話を伺いました。前編の記事はこちらよりご覧ください。

勉強したこと、ためになったこと

ニャゴロウ:これまで特に勉強したことや、ためになった経験があれば、教えてください。今の技能を身につけるためにどのような経路を辿ったのかというのを知りたいです。

大森:大学の授業ではカリキュラム通りのプログラミングをしていましたが、サークル(現「CIST IT COMMUNITY」。当時のサークル名は「cistLT」)に入って、実際に大学では学ばない言語であるPHP から自主的に学び始めました。実際に世の中にあるブラウザで遊べるようなアプリケーションだったり、実際に動いていそうなプロジェクトや、サーバーサイドとフロントへの分けるものを作ってみるというような、大学の授業では学ばないものを、自分たちでやってみるということをしていました。
それがきっかけで、企業が主催している1Weekのインターンシップやハッカソンに参加して、実際にエンジニアのアルバイトとして働かれている方とチームを組んでアプリケーションを作ったりしていって、実践的なものを学んでいきました。大学時代にはJavaには触れていましたが、入社するまでは、Go言語もKotlin(コトリン)も触れたことがなくて、今、全く知らない言語という感じで勉強をしています。

ニャゴロウ:新しい言語を学ぶのに抵抗はありませんか。

大森:新しい言語を学ぶのは、今のところ抵抗はないですね。むしろ新卒だから、1 つの言語を勉強してきたわけでもないので、これまでの資産を気にせずにはじめられます。ですので、離れるとなったら、次のプロジェクトにスッと行くような感じでやっています。

株式会社ゆめみ サーバーサイドエンジニア 大森 裕介さん


林:私の場合は個人アプリを作ったのが成長に役立ったという感じは感覚的にありますね。今はFlutter(フラッター)エンジニアをしていますが、もともとは業務でFlutterをやっていませんでした。個人でアプリ作りたいと思って、そこで初めてFlutterに触ったのがきっかけで、Flutterにはまりました。それまでエンジニアはやっていましたが、すごく技術が好きというわけではなかったのですが、個人でアプリを作ったら、たまたまFlutterにはまって、それがきっかけで、今、ゆめみに入ったという感じです。そういった経験が生きることもありますね。

ニャゴロウ:個人的な活動が、仕事に生きるというのは、良い経験ですね。コミュニティ活動はどうでしょうか。

大森:大学の時に先生から勧められたオンラインのコミュニティ活動が始まりでした。社会人の方がほとんどを占めて、学生は私1人でしたが、先生が一緒にオンラインで登壇してくださったので、安心して参加することができました。社会人の方が、たとえ業務で使っていなかったとしても、好きな技術を話すというようなLT会がとても楽しくて、そこがきっかけで、LTは抵抗なくできるようになったのかなと思います。
オフラインのコミュニティに参加したのは、JANOG(ジャノグ)というネットワークのカンファレンスが最初です。大学が北海道なのですが、JANOGが函館で行われたので、参加しました。JANOGには学生支援があって、旅費を負担してくださったり、学生向けに懇親会も開いてくださって、学生にとても優しい会なのです。その他には、YAPC(ヤップシー)という京都で行われたPerlのカンファレンスにも学生支援で申し込んで、参加したこともあります。

関心のあること、取り組みたいこと

ニャゴロウ:今のお仕事に関わらず、技術的なことや開発に関わることで、どのようなことに関心があり、今後どういったことに取り組んでいきたいと考えているか教えてください。

大森:今、興味があるのは、技術的にはAWSや、CI/CD、IaaSです。Terraformとか、AWSのCDKというものがあるのですが、インフラをコードで再現する(IaC=Infrastructure as Code)も、今後挑戦していきたいと思っています。
ニャゴロウ:コミュニティ活動では、今後どのようなことに取り組んでいきたいですか。

大森:私は業務で使わない言語や技術にも興味があります。特に言語や技術に縛りを持たずに学んでいって、コミュニティ活動で発表できるくらい頑張ろうと思っています。SNSなどで、さまざまなコニュニティの様子を見ていると、その技術に興味が出て、勉強してしまいます。コミュニティに参加したいために勉強するみたいなところもあるかもしれません。

ニャゴロウ:コミュニティ駆動!新しいですね。でも、悪くないです。私も、取材などで、コミュニティに参加するうちに、深まった技術も多いです。Dockerなんて、まさにそうです。LinuxCon(現:OSS=Open Sauce Summit)で、周りが「すごい!すごい!コンテナは凄い!」というから、意味もわからずDockerを勉強しはじめて、本まで出してますから。
林さんは、大森さんと一緒にコミュニティ活動などをされていて、今後大森さんに期待したいことや、こういう方面で伸びていくといいなということはありますか。

林:もうすでにさまざまなことを開発してくれているので、それは継続していってもらいたいです。また、もうすぐ 24年卒の新卒の方も入ってきて、同じように勉強会をしたいという人も出てくると思います。そういう人を大森さんが先輩として、いろいろ教えて導く側になってくれるといいですね。

YUMEMI.growではconnpassの登録者10000人を目標としているので、大森さんにさらに企画力を高めてもらって、ランキング上位になるような数百人規模の勉強会を開催してもらい登録者をどんどん増やしていきたいです。

株式会社ゆめみ Flutterリードエンジニア 林 幸汰さん

今後、どのようなエンジニア人生を送りたいですか?

ニャゴロウ:さて、最後の質問です。あなたは今後、どのようなエンジニア人生を送っていきたいですか。

大森:コミュニティ活動であったり、何かのイベントに参加したり、それをその1回きりではなくて、その次の成長の機会に繋げていきたいと思っています。そうした経験が業務に生きてきたり、ほかのメンバーに影響を及ぼすことができたりすればうれしいです。同じ業務をしている人と、その業務で使っている技術について学んだことを一緒にイベントに参加して発表したり、一緒に本を書いたり、同じプロジェクトにいる人とコミュニティに参加できたらいいなと思います。そのコミュニティベースで、私自身も成長していきたいです。
ニャゴロウ:サーバーサイドエンジニアとしてはどうでしょうか。将来的にできるようになりたいということはありますか。

大森:サーバーサイドのエンジニアとして、クラウドや、Terraformを深めたいです。あとはエンジニア歴が長くなっていったら、チーム全体を見られるように、スクラム開発など、マネジメントの勉強もして、チームがまとまって価値を生み出せるようなエンジニアになっていきたいです。スクラムマスターになりたいと思っています。

林:YUMEMI.growで勉強会の開催をリードしていただいたり、コラボ時には他社の方と調整していただいている経験は、今後案件での活躍にもつながるのではないかと期待しています。

ニャゴロウ:これだけアクティブで、さまざまなことに挑戦できるのですから、もう何にでもなれますよ。やればやっただけ身に着くに違いありません!

ニャゴロウ感想

冒頭にも書きましたが、私が彼に興味を持ったのは、あるコミュニティの場で会ったのがはじめです。最近では、大学のサークル活動も難しくなり、電話よりもメールやチャットの機会も増え、「実際に会う場」「実際に会話する」ということのハードルが上がっています。そんな中で、一人でコミュニティ活動に飛び込んできた大森さんは、「どうやって、そのハードルを越えたのだろうか」と疑問に思ったのです。
インタビューでは、彼個人の資質もさることながら、ゆめみという会社における「あらゆる社員がさまざまなことに挑戦しやすい文化」を感じます。リモートが中心であるという、オフラインから最も遠い業務形態を取りながら、コミュニティ活動が盛んに行われているという実態が面白いですね。
何かをしたいと思ったら、まず飛び込んでみるのが大事!であることが、わかるお話でした。

著者プロフィール

小笠原種高(著者)
小笠原種高(ニャゴロウ)
テクニカルライター、イラストレーター。
システム開発のかたわら、雑誌や書籍などで、データベースやサーバ、マネジメントについて執筆。図を多く用いた易しい説明に定評がある。綿入れ半纏愛好家。最近気になる動物は黒豹とホウボウ。

主な著書に、『仕組みと使い方がわかる Docker&Kubernetesのきほんのきほん』(マイナビ出版)、『図解即戦力AWSのしくみと技術がこれ1冊でわかる教科書』(技術評論社)など。