第4回前編 なんでもまずは飛び込んでみよう!人との繋がりから育つ技術|Tech Book Zone Manatee

マナティ

エンジニアコンビに聞く! 技術のお仕事

第4回前編 なんでもまずは飛び込んでみよう!人との繋がりから育つ技術

ITが社会にとって重要なインフラとなって20年。おかげで、最近では、元々ITに興味を持っていた人ばかりでなく、はじめてITの世界に飛び込むような方にも、就職先として選んで貰えるようになりました。しかし、一方で、「ITの仕事」が多様化し、「どんな仕事をするのか」見えづらくなっています。
本連載は、様々な若手エンジニアと、その周りの人に取材することで、「ITには、いろんな仕事があるよ!」ということを知ってもらう企画です。

第4回目は、株式会社ゆめみで、サーバーサイドエンジニアとして働いている大森裕介さんと、その先輩である林 幸汰さんにお話を伺いました。
入社1年目※から活躍の場が多い企業であるゆめみ。大森さんも、業務だけでなく、社内外のコミュニティでも積極的に活動しています。そんな大森さんと、彼を取り巻く環境についてのインタビューです。

※インタビュー時、大森さんは入社1年目でしたが、記事公開の2024年4月時点では2年目になりました。
 
インタビュイーのプロフィール
●大森 裕介(おおもり ゆうすけ)さん
株式会社ゆめみ サーバーサイドエンジニア。2023年4月新卒入社。
公立千歳科学技術大学情報報系学部を卒業。
ゆめみでは、案件の傍らYUMEMI.growというチームに所属し他社とのコラボイベントの企画・運営などに関わる。
社外では、技術書同人誌博覧会のコアスタッフや若手ふんわり勉強部という若手エンジニア向け勉強会を主催。また、地方カンファレンスのコアスタッフも務める。

●林 幸汰(はやし こうた)さん
株式会社ゆめみ Flutterリードエンジニア。2023年5月中途入社。
2020年頃にFlutterを使い始める。FlutterKaigi 2023の広報チームリーダー兼スピーカー、東京Flutterハッカソンの運営・審査員を務めるなど、2023年はFlutterイベントの推進に努める。
ゆめみでは案件の傍らYUMEMI.grow(ゆめみグロー)というチームに所属し他社とのコラボイベント(Flutter LT会、AWS cafeteria等)の企画・運営する。
 

職務と仕事の内容について

ニャゴロウ:大森さんには、あるコミュニティでお会いして、「若いのに、活動の幅が広い人だな」と興味を持ちました。我々の頃ならいざ知らず、人口が減ったり、コロナで大学のサークル活動がしづらくなったりして、最近は若い人達が、コミュニティ活動に参加するのに、ハードルが高くなってしまっているかなと懸念していたタイミングだったので、今日は、そうした話も聞きたいなと思っています。
ニャゴロウ:まずは、現在どのような職務でどのようなお仕事をしているか教えてください。

大森:今年度新卒で入社して、サーバーサイドエンジニアとして、働いています。現在は、10 名弱ぐらいのプロジェクトに関わっています。主な仕事内容は、受注したシステムの新規開発、運用保守での既存コードの機能追加や、バグの修正などを行っています。まだ1年目なので、設計は他の方が起こしていて、それを実装することが多いです。
入社前は、ゆめみでは、特定の言語に特化したエンジニアが多いのかなと思っていましたが、実際に働きはじめると、社内には、さまざまな言語を扱ったプロジェクトがありました。なので、希望すれば、特定の期間でプロジェクトを離れて、次のプロジェクトで、また新しい言語や新しいアーキテクチャのシステムを触って、学んでいくこともできます。

ニャゴロウ:プロジェクトによってさまざまな言語を扱うということですが、それはなかなか大変ですね。今までどれくらいのスパンでどれくらいの言語に触れましたか。

大森:現在、入社してから2つ目のプロジェクトに関わっているので、1 年で 2つの言語に触れました。1つ目のプロジェクトは半年くらいでした。今のプロジェクトは、3か月目くらいです。もちろん、入社当時から同じプロジェクトで、同じ言語を触っている方もいます。プロジェクトや本人の希望によって様々です。 プロジェクトの募集があるので、手を上げて参加することもあれば、入らないか?と誘われることもあります。参加するかどうかは選べるので、自分の興味のある技術や、キャリアの方向によって、選択できます。 ニャゴロウ:1つの言語や技術をやっていきたかったらやっていけるし、さまざまなものを触りたかったらプロジェクトを移ることもできるのは、いいですね!

林:ゆめみはその辺は自由です。私はFlutterのリードエンジニアをやっていますが、私の場合は同じ技術に拘ったポジションをとっています。ゆめみでは、その人ごとの強みを生かして自由にやれると思います。大森さんはサーバーサイドエンジニアとしての業務以外にも、YUMEMI.growという、勉強会でも大活躍しています。
 
ニャゴロウ:勉強会にはどのように関わっているのですか。

大森:自分でも勉強会を開きたいと考えて、YUMEMI.growのチームに入りました。最初はチーム内で教えてもらいながら、connpass(IT勉強会支援プラットフォーム)で、参加者の募集などを担当しました。 今は、慣れてきたので、やりたい勉強会があったら、YUMEMI.growのチームの定例会で提案して企画をしたり、イベントの概要を書いたりすることも担当しています。

株式会社ゆめみ サーバーサイドエンジニア 大森 裕介さん

 
ニャゴロウ:「勉強会を開きたい」というのは、良い志ですね。頼もしいです。そう思うようになったきっかけはありますか?

大森:私は技術同人誌を頒布するイベント(技術書同人誌博覧会)に関わっているので、本をより多くの人に見てほしい、アピールしたいという思いがあります。また、本を書いていても、なかなかプレゼンをする機会はないのですが、私だけでなく私の身近にも本を書いている方がいて、そういう方に話してほしいという思いもありました。社内でも技術同人誌を出すグループ(ゆめみ大技林製作委員会)があって、皆さんと交流したいとも考えていたので、YUMEMI.growで企画しました。
※技術書同人誌博覧会 https://gishohaku.dev
※ゆめみ大技林 https://yumemi-inc.booth.pm

ニャゴロウ:私も呼んで貰った「技術同人誌を紹介LT会」ですね。その節はお世話になりました。大変楽しかったです。
connpass などを見ると、YUMEMI.growでは、随分多くのイベントを開催されているようです。社内的には、どのような位置づけなのでしょうか。

林:YUMEMI.growは、本業とサークル活動の中間的なものですね。基本的には、みんなプロジェクトの本業がありつつ、有志で集まっている感じです。普段からコミュニティ活動をしていたり、勉強会に参加するのが好きだったりする人が集まって定例を開いて、そこで各自勉強会のネタを持ち寄っています。勉強会が好きな人が集まっているので、運営ノウハウもあるから、たとえば、大森さんが執筆に関する勉強会をしたいと言ったら、配信についてサポートしてくれる人がいたりします。YUMEMI.growは、そういうさまざまなことを後押しするようなグループです。
他社とのコラボも多く、オンライン・オフラインどちらでも開催しています。
※技術同人誌を紹介LT会 https://yumemi.connpass.com/event/282484/

ニャゴロウ:他社とのコラボはユニークな点ですね。業界の横の繋がりにもなるので、良い取り組みだと思います。
それにしても、大森さんは新卒1 年目ですが、やりたい活動をすぐにやらせてもらえるのは、懐が深い会社ですね。そういう社風なのでしょうか。

大森:「勉強会をやりたい!」と思ったときに、YUMEMI.growのSlackのコミュニケーションのチャンネルがあるのは知っていたので、ここに話を出せば拾ってもらえるかなと考えました。出せる環境が整っていたので、あまり躊躇なく話を出してみたという感じです。

林:ゆめみは、全員CEO制度という制度があり、声をあげれば何でも挑戦できる社風ですね。新卒 1 年目でも何年目でも関係なく、やりたいことがあれば実現できるような体制が整っているので、どんどんやって欲しいというのが会社方針です。「チャレンジ取締役」という制度もあって、新卒 1 年目で役員になるメンバーもいます。社歴は基本的には関係ないです。

YUMEMI.growに限らずのゆめみメンバーは親切な人が多いので、勉強会開催などで困ってもすぐに助けてもらえるなど慣れないことにもチャレンジしやすい環境だと思います。

株式会社ゆめみ Flutterリードエンジニア 林 幸汰さん

 
ニャゴロウ:コミュニティ活動をすることで、本業で何か変化はありましたか。

大森:担当しているプロジェクトで直接生きるような経験はまだ今のところないです。ただ、社外コミュニティでたまたまゆめみの社員の方と会った時に、社内ではあまり接点がなかったとしても、一緒にコミュニティ活動ができるのではないかと思いを巡らせたりすることがあります。また、社内での接点と違って、社外のそのコミュニティの中の 1 人として話していると、また違った話が聞けることはよい経験になります。

ニャゴロウ:意外とエンジニアは孤独になりやすいところがあります。会社内に同じ立場の人がいるとは限らない仕事なので、さまざまなところでつながりがあるのはいいですね。

林:ゆめみはフルリモートの会社なので、普段はSlackでしか会わないような状況です。オフラインの勉強会は、チームの仲間と実際に会って交流することができるいい機会になっていると思います。また、YUMEMI.growでイベントをしていると、過去のイベントに参加してくれた人が、それがきっかけで興味を持ってゆめみに入社してくれたり、勉強会の登壇をしてくれた方が、後日仕事の担当者として来てくれて、ゆめみに案件の相談をしてくれたりすることもあります。フルリモートに特化しているので、ゆめみはオフィスが最低限しかなく、勉強会の会場がないという事情があります。ですので、他社さんとのコラボでは、勉強会のノウハウをゆめみが提供して、ゆめみは会場を提供してもらってというようなWin-Winの関係で勉強会をするので、他社の勉強会の積極的なメンバーと交流することもできて、なかなか楽しいですね。

ニャゴロウ:ノウハウを提供できるのは強いですね。私の若い頃は、大学のサークル活動などで、勉強会開催などのノウハウを学びましたが、大森さんは、どうでしょうか。

大森:大学時代は、コロナ禍でオンラインでの交流が多くて、オフラインはほとんどありませんでした。私が初めて参加したオフラインの勉強会は、私と同年代のエンジニアの方が、会社関係なく、有志でお金を集めて企画したものです。私もそこに 1 人の運営として関わりました。そこで、会場提供してもらいたい場合は会社の人事担当の方にお願いするとか、他のイベントを参考にして時間配分の目安を考えるとか、飲み物やご飯の手配とか、そういったことを他の方と一緒に経験できました。そこから学んでいって最低限何をすればできるのかというのはなんとなくわかっていたので、自分でも勉強会を開催することができたのかなと思います。

ニャゴロウ:コロナで、大学でのサークル活動が難しくなったと聞いていたので心配していたのですが、会社でこのような活動をできるのはいいですね!
 

やりがいや、楽しいこと、苦労すること

ニャゴロウ:コミュニティ活動について、たっぷり聞いた後でなんですが、仕事をする上で、やりがいや楽しいことはありますか。また、逆に大変なことや苦労していることがあれば教えてください。

大森:仕事では、書いたコードが機能に加わると、チームに貢献できたなと、やりがいを感じます。今のプロジェクトでは、既存のコードが多いので、ほかの人が作った機能を使って実装するのですが、自分が仕様の全体を理解していないので、なかなか難しいことがあります。
コミュニティ活動では、イベントを開催する際は、最初は人が集まるか、うまくいくかなどの不安はあります。それでも、やってみると楽しくなってきて、私自身が楽しめればいけるのではないかと謎の自信が生まれてきて、最終的にうまくいくようなところがあるので、とにかく、やってみるとことだと思っています。

ニャゴロウ:「自分が楽しい」は、何をやるにも大事ですね。
 
編集部より:

記事は後編に続きます。後編はこちらからアクセスしてください。

著者プロフィール

小笠原種高(著者)
小笠原種高(ニャゴロウ)
テクニカルライター、イラストレーター。
システム開発のかたわら、雑誌や書籍などで、データベースやサーバ、マネジメントについて執筆。図を多く用いた易しい説明に定評がある。綿入れ半纏愛好家。最近気になる動物は黒豹とホウボウ。

主な著書に、『仕組みと使い方がわかる Docker&Kubernetesのきほんのきほん』(マイナビ出版)、『図解即戦力AWSのしくみと技術がこれ1冊でわかる教科書』(技術評論社)など。