ストア改装から見えてくるAppleの長期的な日本戦略|MacFan

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13年続いてきたApple 渋谷がリニューアル休業へ

ストア改装から見えてくるAppleの長期的な日本戦略

文●氷川りそな

Mac Fan独自の視点で、アップル周辺の最新ニュースや話題に切り込む!

Appleユーザにとって「名所」の1つでもあるApple 渋谷が、2017年11月26日をもってリニューアル工事のため休業となった。年末商戦直前のこのタイミングに、Appleの重要な売り上げ拠点をクローズしてまで投資を行う。その背景には、より長期的な成長を見据えた日本への戦略が始まったことが透けて見えてきている。

 

単なる“改装工事”にあらず

去る11月12日、アップルは公式サイト上で直営店の「アップル渋谷」を店内改装工事のために休業(閉店)すると発表した。期間中、ユーザは同じ東京エリアの店舗を利用することになるだろうが、ジーニアスバーで受け付けた修理業務に関しては「アップル表参道」が、法人営業での購入相談はオンラインセールスチームがそれぞれ引き継いでサポートを行うことがすでにアナウンスされている。

アップルは昨年5月にサンフランシスコにオープンしたユニオンスクエアの新旗艦店を皮切りに、販売から「体験」を中心とした新しいコンセプトを持つ店内デザインを採用している。これは既存のストアにも適用され、国内でも名古屋栄では中規模なバージョンアップ工事が実施されたほか、それ以外の店舗でもアクセサリエリアを中心に改装が行われるなど、継続的にリニューアル工事が行われている。

しかし、今回の件は異なる意味合いを持っている。従来までの改装であれば店舗を営業させながら並行して行っていた。これに対して、アップル渋谷は完全に営業を停止してフロア全体を一度に改修する規模となる。期間に関しても本稿執筆時点では公式に明言されていないが、関係者によると完了は2018年末。つまり、約1年間にも及ぶ極めて大規模な工事になる模様だ。

そもそもアップル渋谷は2005年8月に国内4店舗目、東京都内では2店舗目としてのストアとしてオープンした。アクセスの良さや連日開催され続けてきた数々のイベントの成功によって、集客と知名度が急激に伸び、あっという間に銀座など旗艦店クラスに匹敵する高トラフィックなストアへと成長したのである。

規模としては平均よりも小さい店舗に、過剰ともいえる来客数。近隣である表参道に新店舗ができても混雑が改善しないという人気ぶりは、アップルにとっても想定外だったのだろう。今回の改装では、店内設備の近代化だけでなく、ビルの上層階も店舗として増床。銀座のような3フロア以上の多層構成にすることで、収容キャパシティを向上させる計画だという。

この事例は、先のサンフランシスコからユニオンスクエアへの店舗移動や、現在実施中のニューヨーク・5thアベニューの大規模改装(こちらは仮設店舗に移動して営業中)に次ぐものであり、アップルが渋谷にかける期待の表れといってもいいだろう。

 

 

昨年サンフランシスコにオプーンしたApple Union Square。販売から「体験」を中心とした新しいコンセプトを持つ新世代のApple Storeとして話題を集めている。




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