2016.08.12
「旅する鈴木」が世界を歩いて見つけたもの、出会った風景。
エジプトの旅を終えた僕らは、すっかり人間不信に陥っていた。観光大国のこの国はなかなかに手強い。街を歩けば客引きがひっきりなしに声をかけてくる。何か物を買うにも、根強い交渉が必要だ。稀に親切を受けたかと思えば、やっぱりお金を要求される。
そんなこんなで純真さを失った僕らは、南へ下りスーダンへと向かった。国境を越えてすぐ、朝食をとっていた僕らに一人の青年が声をかけてきた。
「スーダンへようこそ」。そう言うと彼は、なんと僕らの分まで支払いを済ませてしまった。何事かと驚き疑ったが、結局、彼と別れるまで楽しい会話だけが続いた。すれた僕らにとって、これは衝撃だった。