3Dプリント Vol.1-1|MacFan

レクチャー マックファンスタディ

Appleユーザのための短期集中講座

3Dプリント Vol.1-1

文●大谷和利イラスト●大野文彰

誰もが、工業製品の量産メーカーになれる可能性を秘めたメイカーズの時代の到来とともに、一躍脚光を浴びたのが3Dプリント技術です。日本でも数万円で3Dプリンタを購入できるようになり、いよいよ本格的な普及期を迎えつつあるこの頃。そこで、本誌では楽しみながら3Dプリントを学べる短期集中連載を4回に渡ってお届けします。1回目は、3Dプリントの概要を見ていきましょう。

【1時限目】3Dプリント基礎の基礎を知ろう

3Dプリントとは、主に樹脂や石膏、金属を素材として、3Dデータから実際の立体物を生成することを指し、そのための出力装置を、紙への印刷になぞらえて3Dプリンタと呼んでいます。

概念自体は80年代から存在しており、価格が数百万円クラスの業務用のものは、大手の家電メーカーや建築設計会社、デザイン事務所などに導入されて、製品開発段階でのモックアップ作製や、素早く試作品を作って検討するラピッドプロトタイピングの分野で活用されてきました。

一般の消費者が目にすることが多い3Dプリンタの出力例は、幾何学的オブジェや、キャラクターのフィギュアでしょう。前者は、メーカーが自社製品の造形能力の高さを示す目的で作られることが多く、後者はアニメファンなどを対象に、徐々に商業化の波に乗りつつあります。

メイカーズたちが製品の試作や小ロットでの量産に3Dプリンタを利用するのは、金型を作らずに済み、設計変更も容易に行えるから。一人一人に個別のフィッティングが求められる義手や義足の製造にも取り入れられ、意外なところでは、砂糖菓子やチョコレート製の飾りを造形する3Dプリンタもあります。

あるいは、電子書籍が台頭する中で、紙媒体の書籍に3Dプリントでケースを付けて販売するというユニークな試みも行われています。アメリカ在住の作家、チャンネ・リー氏による『On Such a Full Sea』の立体ケース付きリミテッド・エディションは、限定200冊を150ドルで販売したところ、すぐに売り切れました。

さらには、セメントを用いて実際に住める建築物を3Dプリンティングで建てるアイデアも実用化され、将来的には宇宙基地なども、かさばる加工済みの部材を運搬して建設するのではなく、素材や現地で精製された原料を使った3Dプリント方式で作られる可能性も論じられています。

 

ディテール再現に優れる光造形方式による3Dプリントの例。【URL】https://jp.xyzprinting.com

 

熱溶解積層方式によるカラフルな3Dプリント作品の例。【URL】http://ja.3dsystems.com




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