【実機レビュー】エレコムの新しいトラックボールマウスシリーズ「IST」|MacFan

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【実機レビュー】エレコムの新しいトラックボールマウスシリーズ「IST」

文●小平淳一

Mac・iPhone・iPadと使える新作アクセサリを徹底レポート!

ISTシリーズ

 

私が検証しました!
小平淳一

長野県で暮らすITライター&編集者。10年以上トラックボールを使い続けていたので、細かなグラフィック作業もトラックボールだけでグイグイいけます。

 

[SPEC]
【発売】エレコム
【価格】オープン価格 【実売価格】7480円(Bluetooth接続/人工ルビーモデル)
【主な仕様】[サイズ]約96(W)mm×126(D)mm×52(H)mm、[ボタン数]5個(ホイールボタン含む)、[ホイール数]1個、[ボール径]直径約36mm、[センサ分解能]500DPI、[電源]1本(単3形アルカリ乾電池、単3形マンガン乾電池、単3形ニッケル水素二次電池のいずれか)、[URL]https://www.elecom.co.jp/products/M-IT10BRBK.html

 

 

腕を浮かせずに済むから長時間でも疲れにくい

読者の皆さんはトラックボールマウスを使ったことがありますか? トラックボールマウスを使うメリットとしては、一般的なマウスのように腕を浮かせて動かしながら使う必要がないため、長時間使用しても手首や腕、肩周りが疲れにくい点が挙げられます。また、マウス本体を大きく動かすために広いスペースを確保する必要がなく、限られた作業スペースで扱いやすい点も利点でしょう。

かくいう筆者も、かつて10年以上トラックボールマウスを愛用していました。雑誌の編集者時代、長時間におよぶ作業では腕や肩への負担が少ないトラックボールマウスが不可欠だったのです。現在はトラックボールを備えないマウスと純正「マジックトラックパッド(Magic Trackpad)」を使っていますが、エレコムからトラックボールマウスシリーズ「イスト(IST)」が発表されたとのニュースを聞いたことで、トラックボールマウスを使いたい気持ちが再燃。今回、製品をお借りしました。

このシリーズは、交換式の支持ユニット(トラックボールを支える機構)を利用できるのが特徴です。製品購入時には「人工ルビー」と「ベアリング」のどちらか一方の支持ユニットを選ぶのですが、両者ともに別売りの交換用ユニットが用意されています(人工ルビーは2277円前後、ベアリングは4235円前後)。

また、デバイスとの接続方法も3種類が用意されており、ブルートゥース(Bluetooth)、USBレシーバを介した無線接続、USB有線接続から選択できます。さらにそれぞれのカラバリはブラックとホワイトの2種類と、これらの組み合わせで全12モデルがラインアップされています(今回、筆者は人工ルビーモデルとベアリングモデル両方をお借りしています)。

 

滑らかな操作感とクセになる回転音

トラックボールマウスを吟味する際、私がもっとも注目するのはボールの動きです。滑らかかつ思いどおりに動かせるかどうかで、操作の快適さと効率性が大きく変わってくるからです。

人工ルビー採用モデルは、非常に滑らかにボールが転がります。さらに動作音も静かなので、場所を問わず使えるでしょう。一方のベアリング採用モデルは、ベアリング特有の「シャー」という回転音が聞こえます。静かなオフィスでは少し目立つかもしれませんが、ベアリングを使ったマウスやトラックボールに慣れ親しんだ世代には、この音と使い心地にたまらない懐かしさを感じるはず。ボールを転がしたときの感触も心地よい抵抗があり、転がす必要のないときでも、ついついボールを転がしたくなります。

操作精度も、個人的に十分に納得のいくクオリティでした。トラックボールマウスは、ボールの直径が大きいほど操作が安定し、細かい操作もしやすくなります。親指操作用のトラックボールは直径34ミリ程度というケースが多いですが、本製品の場合は直径36ミリ。従来品よりひと回り大きいことで操作体験も変わってきます。

長時間使ったときの疲れにくさについても触れておきましょう。本体は天面が斜めに傾斜しており、手を自然な姿勢で置くことができるので、長時間使用しても疲れにくいと感じました。ボールを転がす親指にも、ボタンをクリックする人差し指や中指にも余計な力がかかることはありません。私の場合、使い心地の悪い入力デバイスを使うと腕に余計な力が入って肩が凝ってしまうのですが、この製品を検証している間は肩凝りに悩まされることがありませんでした。

さらに、ボタンのカチカチっというクリック音も気持ちいいです。こうした身体的な心地よさは、日常的に使用するデバイスにとって非常に重要な要素だと思っています。

 

マウスジェスチャの活用で作業効率が向上

本製品は、1ホイール+5ボタンという構成で、メーカー公式のマウスユーティリティソフト「エレコム マウスアシスタント5」を使うことで各ボタンに自由に機能を割り当てられます。また、本製品およびこのソフトのユニークな点が、独自のマウスジェスチャを設定できる点。たとえば「ジェスチャ用のボタンを押しながらポインタを左右に振ることでウインドウを閉じる」といった設定が可能です。どのような動作を設定するか、またどのような機能を呼び出すかはユーザ次第で、好みに応じて何種類でも追加できます。この機能を活用することで、ボタンの数に制限されることなく多彩な機能をトラックボールから呼び出せるようになり、日常の作業効率が向上するでしょう。

このように、本製品はハード面でもソフト面でも、使えば使うほど手になじむ設計になっています。「トラックボールマウスを長年愛用している」という愛好家はもちろん、これからトラックボールマウスを使ってみたいという方にも大いにおすすめできそうです。なお、トラックボールマウスをはじめて使う方は、最初はポインタを思いどおりに動かせないかもしれませんが、これは使い慣れていくうちに解消していくもの。本製品であれば慣れるのも早そうですし、手首や肩の疲れ軽減効果も徐々に実感できるはずです。

なお、人工ルビーモデルは現在発売中ですが、ベアリングモデルは発売日が延期されています。そのため、まずは人工ルビーモデルを運用しておいて、あとから別売りのベアリングを買い足すという流れでもよいでしょう。メーカーさんの発表によれば「さらなる品質向上のため、ベアリング支持ユニットの設計を見直おす」ということなので、筆者も発売を楽しみに待とうと思います。

 

【POINT】傾斜が手首への負担を軽減

親指から小指にかけて斜めに傾斜したデザインを採用しており、手を自然な角度で置くことができます。力を入れない姿勢をキープできるので、腕や肩への負担が非常に少ないと感じました。

 

【POINT】2タイプの支持ユニットを用意

支持ユニットは人工ルビー(写真左)、ベアリング(写真右)から選べます。支持ユニットは取り外しでき、あとからもう一方のユニット(別売り)に交換することも可能です。

 

【POINT】ボールは大きめの36mm

従来のボールが直径34mm程度なのに対して、本製品は大きめの36mm。ボールが大きくなることで、精密な操作がしやすくなります。

 

【POINT】ユーティリティソフトの使い勝手も良好

ユーティリティソフト「エレコム マウスアシスタント5」は、エレコムのWebサイトから無料でダウンロードできます。本製品の各ボタンにさまざまな機能設定できるほか、任意のキー入力を割り当てることも可能です。

 

【POINT】ジェスチャ機能が便利!

ユーティリティソフト「エレコム マウスアシスタント5」を使って、マウスジェスチャを割り当てられるのもユニーク。複雑なジェスチャを登録することも可能です。ただし、複雑すぎると呼び出すのが難しくなる面もあるので、しっくりくるまで試してみるとよいでしょう。

 

検証報告

□支持ユニットは「人口ルビー」と「ベアリング」の2種類から選択できます。ベアリングモデル特有の回転音が懐かしく心地いい!
□ユーティリティソフトを使えば、5つのボタンに機能を割り当てられます。さらに、ジェスチャ機能を活用すればより便利に。

 

製品貸与●エレコム